1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

農山漁村発イノベーション

2022-04-29 10:58:26 | 独り言
農水省のHPによると、「農山漁村発イノベーションとは、農林⽔産物や農林⽔産業に関わる多様な地域資源を活⽤し、新事業や付加価値を創出することによって、農⼭漁村における所得と雇⽤機会の確保を図る取組のこと」と説明されています。
「これまで農林水産省では、農林水産物の付加価値を高め、農林漁業者の所得向上に資する重要な取組の1つとして、農林漁業の6次産業化の推進に取り組んでまいりました。今後の農村施策の実施にあたっては、農業以外の所得と合わせて一定の所得を確保できるよう、多様な機会を創出し、安心して農村で働き、生活できる環境を整えていくことが重要です。そこで令和4年度からは、この6次産業化を発展させて、地域の文化・歴史や森林、景観など農林水産物以外の多様な地域資源も活用し、農林漁業者はもちろん、地元の企業なども含めた多様な主体の参画によって新事業や付加価値を創出していく『農山漁村発イノベーション』としての取組を支援してまいります。」
これだけでは内容がよく分からないと思いますので、農山漁村振興交付金の全体像を見てみたいと思います。
●農山漁村振興交付金の事業全体像を見ると次の8つの事業があります。
①地域活性化対策
②中山間地農業推進対策
③山村活性化対策
④農山漁村発イノベーション対策
⑤農泊推進対策
⑥農福連携対策
⑦最適土地利用対策
⑧情報通信環境整備対策
この中から④の農山漁村発イノベーション対策についてみると、3つの事業があります。

【1】農⼭漁村発イノベーション推進⽀援事業
農⼭漁村発イノベーションを推進し、農⼭漁村における所得と雇⽤機会の確保を図るため、農林⽔産物や農林⽔産業に関わる多様な地域資源を新分野で活⽤した商品・サービスの開発やこれらに係る研究開発等の取組を⽀援するということで、2次・3次産業と連携した加⼯・直売にかかる商品開発、農林⽔産物や農林⽔産業に関わる多様な地域資源を新分野で活⽤した商品・サービスの開発、これらにかかる研究開発等の支援に上限500万円/事業実施主体の支援が行われます。
●事業内容
農⼭漁村発イノベーションの実施に必要な経営戦略策定、販路開拓、ビジネスアイデアの創出、研究・実証事業等の取組にたいしての支援として次の5つの支援項目が挙げられています。
(⽀援対象の取組)
① 2次・3次産業と連携した加⼯・直売の推進
新商品開発・販路開拓の実施
直売所の売上向上に向けた多様な取組
④ 多様な地域資源を新分野で活⽤する取組
(※取組に係る簡易な施設整備も⽀援対象
【事業期間︓上限2年間、交付率︓1/2(上限500万円/事業期間)】
⑤ 多様な地域資源を活⽤した研究開発・成果利⽤の取組
【事業期間︓上限2年間、交付率︓定額(上限500万円/事業期間)】

【2】農⼭漁村発イノベーションサポート事業
農⼭漁村発イノベーションの取組を強⼒に推進するため、専⾨的な知識を有する⼈材を活⽤・派遣する中央・都道府県サポートセンターの取組や、地域の課題と都市部の起業家をマッチングし地域資源の付加価値を⽣み出す取組、施設給⾷の地産地消を進めるコーディネーターの育成・派遣等の⽀援が目的です。
① 中央サポートセンターにおいて、都道府県サポートセンターと連携した⽀援を実施するとともに、⾼度な専⾨家の派遣を通じた重点的な伴⾛⽀援や農⼭漁村で新事業を興す起業家と農⼭漁村のマッチングの取組等を⽀援します。
② 都道府県サポートセンターによる農⼭漁村発イノベーションに取り組む事業者への伴⾛⽀援や地⽅公共団体による農⼭漁村発イノベーションに取り組む⼈材の育成等の取組等を⽀援します。
●事業の内容をもう少し詳しくみると以下の通りです。
1.農⼭漁村発イノベーション中央サポート事業
① 中央サポートセンターにおいて、都道府県サポートセンターと連携し、中央プランナーやエグゼクティブプランナーの派遣を⾏うことで、農⼭漁村発イノベーションに係る⾼度な課題に対する重点的な伴⾛⽀援の取組等を⽀
援します。
② 農⼭漁村で新事業を興す起業家と農⼭漁村のマッチングの取組等を⽀援します。
③ 施設給⾷において、地産地消を促進するためのコーディネーターの育成・派遣の取組等を⽀援します。
【事業期間︓1年間、 交付率︓定額】
2.農⼭漁村発イノベーション都道府県サポート事業
各都道府県のサポートセンターにおける、農⼭漁村発イノベーションに取り組む事業者の経営改善等の多様な課題に対しての伴⾛⽀援や農⼭漁村発イノベーションに取り組む⼈材の育成等の取組等を⽀援します。
【事業期間︓1年間、 交付率︓定額】

【3】農⼭漁村発イノベーション等整備事業
農⼭漁村の⾃⽴及び維持発展に向けて、地域資源を活⽤しつつ、農⼭漁村における定住・交流の促進、農業者の所得向上や雇⽤の増⼤を図るために必要となる農産物加⼯・販売施設、地域間交流拠点等の整備を⽀援します。
① 農⼭漁村活性化法に基づき、都道府県や市町村が作成した活性化計画の実現に向けて、農産物加⼯・販売施設、地域間交流拠点等の整備を⽀援します。
② 六次産業化・地産地消法に基づき、農林漁業者の組織する団体等が作成した総合化事業計画等の実現に向けて、加⼯・販売施設等の整備を⽀援します。
●事業内容は以下の通りです。
1.定住促進対策型、交流対策型(旧 農⼭漁村活性化整備対策)
都道府県や市町村が計画主体となり、農⼭漁村における定住・交流の促進、農業者の所得向上や雇⽤の増⼤等、農⼭漁村の活性化のために必要となる農産物加⼯・販売施設、地域間交流拠点等の整備を⽀援します。
2.産業⽀援型(旧 ⾷料産業・6次産業化交付⾦のうち6次産業化施設整備事業)
農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築し、制度資⾦等の融資⼜は出資を活⽤して6次産業化に取り組む場合に必要となる、農産物加⼯・販売施設等の整備に対して⽀援します。
なお、⾮接触・⾮対⾯での作業に対応した加⼯・販売施設等の整備も可能です。
再⽣可能エネルギー発電・蓄電・給電設備については、1⼜は2の施設整備と同時に設置する場合に加え、既存の活性化・6次化施設に追加して設置する場合も⽀援の対象とします。
注:施設の整備事業には従来同様まず6次産業化の認定が必要です。

支援内容が多様化するとともに、複雑ではありますが、いろいろなニーズに応えようとする支援内容に変化しているのではないでしょうか。
コロナ禍事業に大きな影響を受けている事業化の皆さんにとって、早期に本年度の事業を見直し、少しでも補助金等を活用し、事業の再構築を行い早期の事業復活、ステップアップを図りましょう。
地元のサポートセンターを検索し、まずはご自身の思いを伝え、相談をしてはいかがでしょうか。
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農山漁村発イノベーションサポートセンター(旧6次産業化)支援対象者に公募要領が発表されました

2022-04-25 22:33:49 | 独り言
新しい6次産業化事業が始まりました。
その目的は次の通りです。
昨年度は、6次産業化サポートセンターが6次産業化に取り組む農林漁業者の皆さんの中から5年間の経営改善目標を自ら掲げる「支援対象者」を選定し、その方に対してプランナーを派遣してきました。
しかし、今年度より6次産業化だけでなく、それらを発展させ、地域の文化・歴史や森林、景観など農林水産物以外の多様な地域資源も活用し、農林漁業者の方はもちろん、地元の企業なども含めた多様な主体の参画によって新事業や付加価値を創出していく「農山漁村発イノベーション」の取組を支援対象としています。
農山漁村発イノベーションに取り組み、3~5年間の経営改善目標を自ら掲げる事業者の中から「支援対象者」を選定し、その方に対して農山漁村発イノベーションサポートセンターよりプランナーを派遣することになっています。
そこで、「農山漁村発イノベーション」に取り組んでいる方、または今後取り組みたい方で、プランナーによる支援を希望される方を対象に、サポートセンターでは支援対象者の方を募集します。
全国で始まっていると思われます。
各都道府県の「農山漁村発イノベーションサポートセンター」で検索し、ぜひ申し込みをされてください。
費用は掛からず、時間だけいただければ大丈夫です。
小生もそうした皆さんを引き続きプランナーとして応援するつもりです。
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事業再構築補助金に思うこと

2022-04-17 22:48:25 | 独り言
事業再構築補助金の申請締め切りが終わり、そろそろ審査が行われていると思われます。
申請の手伝いをした中でちょっと問題だなと思って修正したり、金融機関の方にお願いした点を振り返り、新たに始まる際の参考にしていただきたいと思います。
申請する際の投資金額が3,000万円を超す場合、金融機関の支援確約書が必要なのですが、ひどい金融機関は2週間以上前にお願いをしていたのに、締め切り前日に本部からまだ認可が下りていないという担当者の訪問を受けた企業がありました。
申請書作成のため、企業は事前に担当の方に話をしていたにもかかわらず、それも締め切りぎりぎりになっての返事。
それなら他行にお願いしていたのにと思われます。
申請企業は財務的に問題ない企業で、コロナの影響を月によっては受けていても黒字企業でした。
あきれてものが言えません。
取引の変更を提案しました。
しかしもっとひどいのは金融機関の確約書はあるのですが、記述がなく勝手に出したらという確約書。せめて資金繰り等の支援を行うと書いてほしかったのに、せっかく申請する企業を甘く見ているのかと憤りをこちらも感じました。
認定支援機関として申請の手伝いをしており、直接話ができる金融機関はいいのですが、締め切り直前に申請書の内容のチェックを依頼してくる企業があります。
こうしたほとんどの企業の内容は平均点以下と思われる完成度です。
誰がどこでどのようなスケジュールで、どのような目的で事業再構築をどのような組織や連携体で行うのか、しっかり書けていません。
建屋にも補助金が出るため、できるだけ図面を申請書の中に入れてもらっています。
図面もなく見積もりはできないはずです。
Google Mapは非常に便利で、場所や競合を示し、市場ニーズやライバルのベンチマーク、比較などに使うようにしています。
導入機械類もメーカー名や型番、導入理由やそれぞれの機器の配列、製造プロセスなどを明示します。
審査員も人の子、審査項目に従って分かりやすく書く必要があると思います。
製造業の方は専門用語を説明なく書かれることが多く、持ってこられても言葉が分からない時が多々あります。
そんな時は注釈を入れるようお願いしています。
ものづくり補助金や事業再構築補助金の募集がまた開始されますが、必ず公募要領に目を通し、審査項目に対して抜け漏れがないかチェックしましょう。
今回の支援企業様の認定はまだですが、過去2度目の挑戦もありますが全社認定を受けていますので、企業様だけでなく金融機関の方にも喜んでいただいています。
これから挑戦される方は公募要領の内容が変わるといわれていますので、よく読んで挑戦してください。
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食品ロスに対する思い違いに気づかされた記事

2022-04-08 10:13:30 | 独り言
4月8日付の日経新聞朝刊のやさしい経済学の中で早稲田大学の下川準教授が、食品ロスを難しくする要因について書かれていることに、自分自身の考えの甘さに気づかされました。

環境省によると、国内では毎年、食材の可食部が約600万トン(2019年度農水省の発表では570万t)、不可食部が約2000万トン廃棄されているとみられており、半数は肥料や飼料になるが、残りの大半は焼却・埋め立て処分されているとのこと。そんな中、昨年「捨てられる野菜や果物が建物の一部に――」という記事を小生の所属する大阪デザインセンターの方から紹介されました。
「植物由来の廃棄食材から、最大でコンクリートの4倍近い強度の建材をつくる技術を開発したと、東京大生産技術研究所のチームが発表した。食べられるのに廃棄される「食品ロス」の削減や、タマネギの皮など元々食べられない部分の有効活用につながるとしている。」ということで、チームの酒井雄也准教授(持続性建設材料工学)らは、キャベツやイヨカン、アオサなど15種類の植物・藻類を乾燥して粉砕。約100度、約200気圧の条件で熱圧縮し、コンクリートより頑丈な素材に加工することに成功したとのこと。熱で軟化した糖類が、粉末同士の隙間を埋め、強度を高めたと考えられるということですが、原料の色や香り、味を残すことも可能なうえ、タイルやブロックなど様々な用途に使えるとのこと。木材と同様の耐水処理をすれば雨に濡ぬれる屋外でも使用できるとされ今後の開発に注目していました。クロアチアの復興などのため低コストで利用できれば日本の貢献につながり言うことはないと思っています。
こうした食品ロス対策に大きな関心を寄せていたわけですが、「もったいない」というだけでなく食品ロスの発生を完全にゼロにすることは難しく、食品ロスのリサイクル活動などが行われてもいるわけです。
小生が下川準教授の記事から気づかされたのは、食品ロス削減やリサイクルでは必ず追加のコストが発生し、誰かがそのコストを負担することになるという指摘です。コストに見合うだけの便益が得られなければ、社会全体にとって有益な活動とは言えないということ。確かにリサイクル活動を行っても十分な需要がなければ、結局はその製品はロスになり、リサイクルに使われた追加の資源はさらなる無駄になるという指摘です。
食品ロスを堆肥にしリサイクルしていても、品質などの問題からそのような堆肥への需要が十分なければ、確かに食品ロスは使われない堆肥に姿を変えただけのこと。食べ残した食品が堆肥になればこんな良いアイデアはないと思っていましたが、需要がなければ無駄を減らしたことには確かになりません。消費者ニーズを把握し一方的な思い込みでは製品は売れないことに改めて気づかされ、マーケティングの重要性を再度実感させられた下川準教授のやさしい経済学の内容でした。
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スマート農業の主な取り組みについて

2022-04-07 10:18:07 | 独り言
スマート農業の取り組みにはいったいどのようなものがあるのか、調べてみました。。
追肥をやるために1m掘るのも疲れてくる年になり、まずはどのようなロボット技術が開発されているのか見てみましたが、奥の深さに驚かされることが多いことを改めて感じさせられました。

①ロボット技術と農業
高齢者や女性でも力をあまり出さずに農作業ができるのなら、今後新たな農業に進出する若者も増えるのではと思います。狭い面積だと小型の耕運機など土地を耕すための機械の導入が難しく、ロボットを装着して力を入れずに土を掘る仕事などができるとよいのですが、本格的な農作業となるとロボットの自動操縦技術によって省力化を図ったり、収穫作業などをロボットで自動化を図ったりすることが可能です。
ただロボットとひとことで言っても、カメラやセンサーを搭載して収穫や熟成度合いを見るための画像分析に活用するロボットもあれば、農薬散布など重労働を担う自動飛行ドローン、小生が栽培しているような柑橘類や畑のレタスなどの作物の自動収穫ロボット、収穫した農作物の選果や箱詰めをするロボット、箱詰めした農産物を運搬するロボットなどそれらの機能には様々な目的や用途があります。
経営継続補助金の審査を行った際、従来は大規模農場や食品工場などでしか使われなかったこれらのロボットが、安価で身近な農家レベルでも使えるような導入コストの低減も進み、多くの農家が申請していた記憶もまだ新しいものがあります。
こうしたロボット技術の開発が進めば24時間365日、様々な作業をさせることが可能で、老若男女誰でも使いこなせるようになり、力仕事に限らず生産性の向上や市場規模の拡大も見込め、人間が行う作業のほとんどをロボットが肩代わりするようになると思われます。
さらにこうした実作業だけでなく、人間でしかできなかったような例えば小玉トマトの摘果する選別の判断や、色や形やサイズの選別といった仕事も、AIと組み合わせることでロボットに任せることも可能となります。
小生のような高齢者に限らず、新しく農業に取り組む人や女性などでもこうしたロボットの活用や導入はこれからの農業そのものを変えてくれる可能性があります。
 デザインセンターで理事会にヤンマーの方などと参加していることを以前書きましたが、ヤンマーなどの農機具メーカーの開発状況には大きな変化が見られます。
 参考にヤンマーのHP(下記HP ヤンマー・スマート農業参照)などをご覧ください。ただそれなりの規模の土地には向いていますが、中山間地や山奥、また家庭用の狭い土地などにどこまで活用できる機械が開発されているのか、まだまだ勉強する必要がありそうです。
https://www.yanmar.com/jp/agri/agri_plus/information/100_2.html

②ビッグデータと農業
以前滋賀県のトマト農家の方から実際に導入したコンピューター制御によるオランダの栽培方法について教えてもらいましたが、ハウスに限らず露地栽培等においても最近カメラやセンサーを使った農法の開発が進んでいます。圃場の状況を撮影したり、センサーで計測したりして集めたビッグデータを解析し、効率的に栽培管理する方法を提示する農業が進められています。いわゆる「精密農業」といわれているものです。
 ただオランダのハウス栽培と違い露地栽培等によるデータ収集は天候などの影響もあり、むつかしい面もあると思われます。それでも生育状況や病気、日照などの状況による変化が、蓄積されたデータ解析により誰でも手軽に分かるようになります。野菜の収穫可能時期は一定濃度の炭酸ガス(CO2)の量によりある程度予測することができますが、こうした野菜の炭酸ガスの量などを測定することで、従来農家のノウハウでもあった暗黙知でもある収穫・出荷時期を予測することが可能となります。
さらに、最近のより精度の上がった気象データなどのビッグデータを解析していけば、栽培に関するリスクを予測することも可能になり、過去のデータから生育の傾向を導き出し、確実に成熟した作物の収穫に結びつけることができるようになります。
オランダのハウス栽培に限らず日本でも滋賀県の少量土壌培地耕作システム等ハウス内の環境をコンピューターが判断し、水や栄養分をコントロールしていますが、さすがに天候のコントロールは人間にはできないため、露地栽培等におけるビッグデータをどのように集め農産物の栽培等に活用していくかは、まだまだ大きな課題であると思われます。

③IoTと農業
昔、流通業に従事していた時、POSレジによる顧客データの収集は、商品を販売する際の大きな武器となりました。これからの時代はIoTの力によりいっそう市場動向や消費者ニーズの把握を可能とし、そうしたニーズに合った農産物の生産が可能となります。6次産業化の一番の課題である販路開拓に関して、需要予測が成り立てば、必要とする消費者に確実に野菜など商品を届けることが可能となります。ホールフーズを買収し新たにスーパーなどを立ち上げているAMAZONなど規模の大きな事業者は、アメリカの事例だけでなく日本でも生産・流通・販売を連携させ新たなサプライチェーンを構築し、輸送コストを低減、スピードアップによる鮮度保持や効率化、収益拡大を目指しています。
IOTの活用は将来のスマートアグリの一連の動向を左右するだけでなく、環境対策、食品ロス問題の解決など今後の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。一層視野を広げて学ぶ必要のある課題だと思われます。

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スマートアグリ(農業)について 

2022-04-03 14:46:11 | 独り言
もう少しスマートアグリ(農業)について触れておきたいと思います。
農林水産省は「スマート農業」を「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」と定義しています。
大阪デザインセンターの理事をヤンマーの方などと担当していますが、会合でいろいろなことをそうした企業の方から教えていただいています。鍬や鋤による手作業から、ロボットの介助を受けたり補助器具によるサポート、さらには耕運機やトラクターといった機械の活用へと力仕事は移行し、収穫した作物等の運搬も車やコンベアーを使った自動化・省力化が進んでいます。しかもそうした機械類のデザインの進化は目を見張るものがあります。しかし、農作業において人間が判断しなければならない部分はまだまだ残されており、この部分をこれから「スマート農業」が担っていくわけでもあります。
現在「スマートシティ構想」に興味があり、ラストワンマイル競争における自動運搬ロボット(車)などを研究していますが、日常でもスマートという言葉を使ったスマートフォン、スマートウォッチ、スマートスピーカーなどという言葉が盛んに使われるようになってきました。
そうしたなかで農業は、これまでITやICTといった技術とあまり縁がないと思われがちだった分野でしたが、導入が難しいとされていたのに、ここ数年の間に一気に加速、規模の大小を問わず、導入も急速に拡大しています。
スマート農業といってもいろいろなことが考えられますが、一番先に考えられるのは、農作業の省力化や労力の軽減です。小生は家で柑橘類を栽培していますが、追肥をやるために1m掘るのも最近はつらくなってきました。農作業における省力・軽労化は日本の農業の現場を3Kから解放し、ロボットやICTなどを活用して改善していくことが求められています。
 さらには、日本の栽培技術力の継承のため、プロ農家が個人個人で保有しているノウハウ等を、システム化を図ることで若い方たちや新規就農者の皆さんに伝承していく必要があります。
 嫌な事実ですがロシアのウクライナ侵攻は現地の一般市民の食料や水不足等非常に深刻な状況を生んでいます。
もし日本がどこかの国からこうした侵略を受けたとしたら、海に囲まれた現状ではひとたまりもありません。そのためだけではなく、食料品の輸送費に掛かるコスト削減・エネルギー対策等も考え食料自給率の向上を図る必要があります。
そうした日本の食料自給率対策の一つとしてもスマート農業を考える必要があります。日本の食料自給率(カロリーベース)は2020年度で37%、横ばい状況で推移しているようですが、農業における人材不足のなかで収量を上げ自給率を高めるためには、オランダなどのように少ない人員で農産物を確実に育てる自動化や植物工場といった仕組みが必要です。
 コロナ禍における農家の皆さんと流通・小売業などのバイヤーとのマッチングにおいて、最近特に求められるのは地球環境保護の観点などから化学肥料や農薬の使用量の削減の努力、もしくは使用しない栽培です。生産性を維持しつつ、環境保全にも役立つ農業を実現することが求められています。そのためGAPやHACCP対応の姿勢も求められれています。
 こうしたいろいろなバイヤーへの対応を考え、しかもそのうえでおいしさを追及しなければならない厳しさ、消費者は更に商品のインスタ映え等1次産品の例えば旬のギフトセットなどにも「彩」による「映え」を要求します。
そうした消費者欲求の変化への対応は、一層の品質向上にもつながり、栽培のための最適な環境や状況を把握し、栽培のたびに再現する必要が出てきます。こうした作業は個々の農家で長年積み重ねてきた知識やノウハウなどによるものでしたが、これからはスマート農業によって栽培履歴を集め管理し、ビッグデータとしてそれらを日本各地の気候や土壌の環境データと組み合わせることで、いつでも最適な食味をもつ米や野菜を栽培することを目指す必要があります。
 コロナ禍首都圏から九州までいろいろな施設を見て回りましたが、レストランやスーパーでも、売れているものは必ず存在し、集客しているレストランも予約でいっぱいという状況の店が存在していました。
 厳しい環境の中で生産者も消費者も同じ状況の中で生活しているはずです。競争を勝ち抜くために、工夫を重ね努力を惜しまない人たちが、この厳しい環境を生き抜いています。いかに「スマート」に、そうしたことができるのかがこれからの課題でもあります。
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