1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

6次産業化(現農山漁村発イノベーション)について

2024-09-01 15:11:18 | 独り言
6次産業化に関する提案を以前「大阪農業時報」に投稿したことがあります。実際の掲載内容はBLOGの「6次産業化への課題」からを短縮したものですが、加筆修正した内容全文を掲載します。6次産業化は現在農山漁村発イノベーション事業と名称変更されていますが、6次産業化の方が分かりやすいと思いますので、ここではそのまま6次産業化という言葉を使います。

「地域に雇用増をもたらす6次産業化について」
(1)少ない成功事例と成功の基準
農業に真剣に取り組む若者たちの姿を見るにつけ、何とか事業として成功することを祈り、少しでもその役に立てればと私は6次産業化の支援活動を続けています。
 「6次産業化総合化事業」の認定事例は数多く発表されていますが、成功事例がまだまだ少ないのが現実です。
 成功の基準は道の駅や産直市場で販売するのではなく、全国スーパーマーケット(以下SM)、百貨店は究極の販売先であるとしても、少なくとも「地場SM」、「地方SM」の定番商品になることにあります。なぜなら、地場SM、地方SMの売場に定番品として並ぶということは、「品質優×量産化に成功×コストダウンの実現×価格体系の設定×味が良い×原材料の安定確保×企業組織の確立」といったことが確立された証左であるからです。
 6次産業化がなかなか成功という状態にならない理由を、今までの支援の経験から見ていくことにし、事業を成功に導く提案をしたいと思います。
 そもそも6次産業化とは、農家や農業法人が1次産業としての農林水産物の生産、2次産業としての加工、3次産業としての販売までを行う一気通貫の体制を指しています。
 農産物の生産に関してはプロであるのですが、なんといっても課題はその後の加工→販売の工程にあります。すべてを自ら行うのではなく、誰と組むか、どのようなビジネスモデルを選択・構築するかで、結果は大きく異なってくるのが経営というものです。
 上に示したように成功の基準は明確になっています。ここに到達するのは至難のわざですが、これにチャレンジしているのが、6次産業化であるのです。地域にお土産品が一つ増えたという次元で喜ぶ人はいないと思います。雇用が増えてこそ、意義のある6次産業化であるといえるのです

(2)6次産業化への課題
 6次産業化の課題としては次のものがあります。
①安全・安心なモノづくり→品質面において消費者が求める安心・安全な商品になっているか?
②加工場の衛生・工程管理→加工場が安心・安全なモノづくり対策が十分できているか?HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行っているか?
③セグメンテーション→開発する商品が既存の商品に対して、差別化されているか?優れた特性を有しているか?
④流通チャネルの設計・設定→加工した商品を目指す流通チャネルに乗せることができるか、販路開拓ができているか?
⑤商品の出来栄え→ネーミング、パッケージ、ブランドなど流通に乗るレベルの商品になっているのか?
⑥商品の生産量→消費者やバイヤーに的確に商品や情報を届けることができるか?
⑦価格体系→流通に乗るコストであり、かつ価格体系を確立しているか?
⑧マーチャンダイジング→ブランド戦略、ネーミング、原材料の確保など商品づくりの手立てはできているか?
⑨そもそも「経営能力」を有しているのか?経営能力を養成しようとしているのか?

(3)経営課題と、その解決法
1)ものづくりについて
たとえば、農産物の規格外品を「もったいないから」という理由で、ジャムやジュースなどをつくっても、SMや百貨店では売れません。
売れない理由は
・(規格外のため)安定的な供給がむつかしい
・セグメンテーションを行って他の商品と差別化していない
・原価が高く、流通に乗らない
・味・香り・栄養素などを吟味していないから、消費者やバイヤーから支持を得られない
ということになってしまうのです。
食品にとって
・おいしいのは当たり前
・異物混入がないのは当たり前
・食品の材料、添加物、加工方法等が吟味され、安心・安全というのも当たり前
というのが、日本の消費者の現実です。
 このような基本的なことができた上で、既存商品との差別化が必要とされているのです。
 しかし、6次産業化農家のほとんどが、家内手工業的な加工場で細々と手作りで、加工品作りを行っているのです。保健所の許可を一応は得ていたとしても、一連の作業の中で、加工環境に心もとない場面を多々見てきました。加工については農業法人といえども例外ではありません。
重要なことは、顧客価値を意識したものづくりであるのです。6次産業化の推進を図るのなら、元の農産物の生産に対するこだわり(環境、土壌、水、農薬など)の上に立ったおいしい農産物、新鮮な農産物から加工品を作り、流通ルートに乗せるべきなのです。
 加工場については、集塵機、無塵衣、エアーシャワーなどは当たり前のことです。密閉による外から虫よけ、常に頭巾やマスク、手洗いの励行、清潔な手ぬぐい、こうした心遣い、気遣いがどこまで行われているか、製造業でいわれる4S(整理、整頓、清潔、清掃)が、躾というよりも「習慣づけ」を加えて、5Sとして守られているでしょうか。そのうえでHACCPの考え方に基づく衛生管理が行われているか、データをきちっと取って生かしているかが重要です。

2)展示会について
 展示会などのマッチング会を開いても
・希望する流通企業と商談が成立しない
・「また連絡します」とバイヤーに言われてただ待っている
という状態が多いのです。
農水省にフード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)という組織があり、そこが「ベーシック16」という考えを打ち出しています。それに基づいて商談会用のシート(FCPシート)が作成されています。しかし、6次産業化農家からすると、経験上当たり前だと思っているのか、このシートが未だに完全に作成されていないのです。自分では普通と思われている生産過程を見直して、しっかり記述をしてほしいものです。そこには実はバイヤーや消費者が知りたい情報が隠れていることがあるのです。
 さらに商談会を開く側にも責任があります。ただ農家や農業法人を集め商談会を開き、いろいろな企業のバイヤーを呼んでも、どれほどのマッチング機会を生み出すことができるのか、流通の事情も分からないまま、展示会を開催するところがあります。やらなければならないからやっているということでいいものなのでしょうか?

3)流通事情
 百貨店とSMのバイヤーの行動は違います。
百貨店のバイヤーは、長年の経験から、いつどこでどのような農産物や加工品等が作られ市場に出てくるかを知っています。このため、旬を売場に反映すること、珍しい商品などに眼目を置いています。一方、SMのバイヤーは、季節ごとに売場基本レイアウト図を変更して、品揃えを刷新し、売上の最大化を図っています。
バイヤーが忙しいのは、限りある自店の棚を最大限に効果的に活用するために、天候・温度・湿度などを想定しながら、超稼ぎ筋、超売れ筋、特売品、新商品などを組み合わせて、売場に表現しているからです。
SMや百貨店では、よく見られる農産物直売所や道の駅のように、午後になると空きスペースが出てくるようなことは許されないのです。年間20億円以上販売する直売所や、それ以上の売上高を獲得しているSM、百貨店などは、常に商品の品出しを行って、売場を維持・充実させています。
 朝商品を納め夕方引き取りに来るような取引では集客や売上には限界があり、運営方法等の見直しが必要なのです。
6次産業化に挑戦する場合、欠品を起こさない、ロスを出さないというものづくりの原点からの意識改革が必要です。
 開発商品はどこでどのような顧客にどのように食べて欲しいのか、しっかり考えたうえで、生鮮品の販売、加工品の販売について工夫し、集客方法についても努力していただきたいところです。

4)6次産業化を成功させるために
 6次産業化事業を成功させるためには、次の対策が必要とされています。
①既存商品に対する差別化点を明確にする
②土、苗や種、農薬、肥料等元となる生産物のものづくりへのこだわりをもつて、「おいしさ」を追求する
③消費者・バイヤーがなるほどと思う展開ストーリーが必要である
④徹底してHACCPの考え方に基づく衛生管理を行い「安心・安全」の加工品を作る
⑤セグメンテーションを行い、既存商品とは異なる特長をもっている
⑥将来の取引拡大を意識した加工場への設備や機器の整備・投資を考慮する
⑦ネットワークを生かす
⑧まず顧客をイメージし、どのような顧客にどこでどのような商品について食べてほしいか、買ってほしいかを考える→使用場面
⑨商品のネーミング、パッケージ、シール、チラシに至るまで、総合的な基本計画を作成したうえで、情報発信を心掛け挑戦していく

5)支援センター(サポートセンター)や行政への提案
支援センターや行政等、事業の認定側も以上述べてきましたように
・商品のセグメンテーション・ストリー性
・異物混入を防ぐ方法の確立、HACCP支援
・材料の安定的な確保
・商品の特長・こだわりの明確化
・販路・販売チャネルの設定
・継続的な取引が可能な安定的な製造
といった点まで支援しながら認定にもっていき、事業を成功させてほしいものです。 
単に「自分で生産し、加工し、販売しなさい」ではなく、どのようなものづくりをし、どのような販路で販売するように工夫するかまで、支援センターがあり農山漁村発イノベーションプランナー(旧6次産業化プランナー)がいるのですから、そうした支援の工夫を行った上で認定にもっていっていただきたいものです。
 6次産業化への農家等の挑戦を成功させるためには、いろいろな方法はあると思われますが、行政もいかに日本の農業の活性化を進めるか、支援活動を行っていくか、6次産業化(農商工連携等も含め)の認定方法や推進方法に対してより一層の工夫をしてほしいと思います。
 それは、単に生産者の支援だけではなく、食や観光等との総合的な連携も必要となります。個人や企業等、点で支援を行うだけでなく、今後はもっと面的な支援の必要性もあるのではないでしょうか。地域資源の活用は本当にできているのか、単に認定に終わっていないか、そのまま認定して放置されていないか、いろいろな県や市町村と仕事をするたびにアフターフォローの重要さを感じます。
6次産業化は、日本の農業生産に経営そのもののあり方、ビジネスプランの策定、マーケティングなどの知識を据えないと6次産業化は成功しないと思います。
 前回でふれましたが、事業再構築補助金のように加工場などにも補助金が出る支援は限られています。行政の皆さんに対しても企業の加工場支援のための補助金はありますが、何といってもせっかく農山漁村発イノベーション事業として名称変更されたのですから、加工場等への投資に関して前年度に計画をヒアリングし、次年度に予算化するのではなく、毎年申請に対しての認定を行う事業再構築補助金のような内容に制度変更していただきたいと切にお願いする次第です。今のままでは応募はしりすぼみで終わるのではないかと危惧します。
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【5】「農山漁村発イノベーション」と6次産業化・農商工連携

2024-07-29 22:53:42 | 独り言
国の農林水産業に対する支援策の内容は毎年改善されていきますが、平成4年から6次産業化を発展させて、「農山漁村発イノベーション」事業としての取り組み支援を推進することになっています。ただ6次産業化の本質に変更はありません。
 6次産業化総合化事業を推進するにあたり、いつもお話することがあります。事業で成功するためには、まず1次産品の生産に成功する必要があります。成功とは、消費者が求める安心安全でおいしい農産物がまずできていることです。そこに「ストーリー」がないと1次産品は売れません。もったいないからB級品をジュースやジャムにという発想は全国にありますが、一農家でそうした商品を加工しても成功するでしょうか。毎年どれほどB級品のジュースやジャムが生産できるでしょうか。1次産品の生産効率が良い年はどうなるでしょう。そうしたB級品である商品をブランド化するのは至難の業です。消費者が「B級品で作ったジャムですが」とか、「ジュースですがいかがですか」と言われて購入するでしょうか。さらには、家内手工業的な「工場」で衛生管理の行き届いた安心安全の確保は本当にできるのでしょうか。小さな虫や埃など、さらには髪の毛1本混入しない設備になっているのでしょうか。道の駅でオリジナル加工食品をレストランの厨房などで作っているところがあります。ドアは1枚扉、「虫さんいらっしゃい」の状況で、百貨店やスーパーなどのバイヤーがその商品を購入するとは思えません。もし小さな虫が入っていたら、クレームの元、バイヤーはそうした状況は事前に防ぎたくなるものです。
 6次産業化を進めるためには、何度も申し上げますがまず1次産品である農産物をしっかり栽培する必要があります。そこに「ストーリー」があり、「ブランド化」ができれば、2次加工品についても、販路開拓は比較的行いやすくなります。ただし、家内手工業的な環境ではいくら保健所の認可を受けても、簡単ではありません。都道府県やJAの方に提案するのですが、いろいろな農家の味はおいしくても商品化できない1次産品を集め、しっかりと衛生管理等がされた加工場で2次産品への加工を行うことをなぜしないのでしょうか。現在6次産業化では加工を自園でなく安心・安全な加工場に委託することも許されていますが、「餅は餅屋」という言葉があるように、しっかりした管理下で製造することのほうが重要です。しかも、供給量をまとめることで、販路の拡大が見込めます。令和5年度の農水省の農山漁村振興交付金の内容を見ても、「農山漁村発イノベーション対策」として、農林水産物やの農林水産業に関わる多様な地域資源を活用し、新事業や付加価値を創出することによって、農山漁村における所得と雇用機会の確保を図る取り組みを支援する目的で、6次産業化を発展させて、
農林漁業者はもちろん、地元の企業なども含めた多様な主体の参画によって新事業や付加価値を創出していく「農山漁村発イノベーション」としての取組を支援することになっています。ただ、6次産業化の認定を受けさらに施設整備事業へと展開する支援は従来通りでハードルが高いです。前年に各都道府県で次年度の施設整備事業に関する予算化を図っておく必要があり、農家や農業事業者にとって申請書の作成、その審査などに大変手間がかかるからでもあります。
6次産業化を推進するため加工品を作りたい場合、
①同じ加工品づくりを近所の農家と連携し共同で行う
②その際、「加工場」としての環境を整備すること、もしくは安心安全管理の行き届いた専門の加工場に委託すること、自身で加工場を管理する場合は、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実践すること
③連携や共同でできない場合は、単独で委託できる安心安全な衛生管理のできた「加工場」に依頼すること
④資金的にゆとりがある場合には、自園で身の丈に合った、将来の拡張を考慮した「加工場」を設置すること
などが、選択肢として考えられます。
しかし6次産業化に挑戦する場合、最初のハードルはここにあります。
実は施設整備事業に関して、「六次産業化・地産地消法に基づき、農林漁業者の組織する団体等が作成した総合化事業計画等の実現に向けて、加工・販売施設等の整備を支援」とあり、従来の農家や農業事業者では難しくなっている点です。一番見直しを図ってほしい部分ではあります。
さらには計画した商品が消費者目線で、受け入れられる商品づくりになっているのか、よく判断する必要があります。
 2次加工においても、キーワードは「連携」です。それなりの圃場の広さを持たない農家では、自園で残ったB級品や1次産品を処理するのではなく、栽培方法の似通った近隣の農家といかに連携して、売れる2次産品の加工を行うか、そのほうがブランド化を図りやすく、知名度の向上にもつながり、販路開拓も進めやすくなります。自己完結型で行う場合は、1次産品にも優れ、しかもその一定の割合を2次加工に回すくらいでないと成功しません。B級品では供給量も限られ、販路開拓もむつかしくなります。
しかしもったいないのですから、その処分の方法について、工夫が必要となります。自園のみで考えないことが大切です。もちろん資金的にも余裕があり、広い栽培面積を誇り、それなりに2次加工品としての供給量が確保できるのであれば、ぜひ直接加工から販売まで挑戦していただきたいものです。そうした場合に、6次産業化に関わる補助金は、農商工連携も含め大いに活用の仕方があります。では小さな圃場でB級品の取り扱いはどうすればよいでしょうか。それはそれで方法があります。例えば、しっかりとした衛生管理の下、ジャムやジュースに加工して、自園訪問者や取引先に販売したりギフトとして配布したり、道の駅などに出荷するなどの方法があります。その際、出来上がる量で工夫する必要があります。
 ここで注意していただきたいのは、農商工連携といっても、国が支援するものと都道府県で行うものがあるということです。(年度によって異なる場合があるので、注意してください。)国の支援を受ける場合はかなり申請へのハードルが高く、商品は国内で初めて生産されるような新規性が求められます。現状国内初の新規性ある商品開発はむつかしくなっていると思われ、中小機構の担当者に問い合わせをしたところ、最近は新規性についてはあまり問わないとの話ではありました。確かに直近の認定結果を見てみると、新規性のない案件が認定されているケースも見られるようになってきています。それでも平成5年度2月の農水省発表では全国で1件愛知県の認定でした。
 少し詳しく申し上げますと、農商工連携は6次産業化の一形態ですが、農業者が生産・加工・販売を一体的に行う狭義の6次産業化とは内容が異なります。 
 6次産業化の目的は、農業者が生産・加工・販売を一体化し、所得を増やすことにあり、当初農業者と商工業者がお互いの技術やノウハウを持ち寄り、新商品開発などを行う農商工連携は含まれていませんでした。 
農水省の説明によると、『「6次産業化」とは、農業者が生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)、流通・販売等(3次産業)に主体的、総合的に関わることで、付加価値を得ようとする取り組みのことで、「農商工連携」とは、農林水産業者と商工業者がそれぞれの経営資源を持ち寄り、新商品・新サービスの開発等に取り組み、それぞれの収益拡大、消費者の便益向上、さらには地域経済の活性化や食料自給率の向上を目指す』というものです。
両者の大きな違いは「6次産業化」が農林水産業者を支援対象としていることに対し、「農商工連携」は商工業者と農林水産業者の「連携体」を支援対象としているということです。またハード(設備等)に対する補助金に対しても、「6次産業化」はハードとソフト(試作開発・販路開拓等)の両方を補助金の対象としていますが、「農商工連携」は基本的にはソフトに対する補助金であるということです。
また、農商工連携といっても、都道府県、独立行政法人中小企業基盤整備機構、地元金融機関、農業団体等が出資した「農商工連携応援ファンド」があります。国の支援と比較すると金額的には少なくなりますが、考え方によっては申請のハードルはやや低いといってもよいかもしれません。
さらには地域資源活用事業などを利用してハードにかかわる事業に関しても、国の支援があります。小生はその支援実績で、中小企業診断士として弁護士や税理士と並び経産省の経営革新等支援機関に認定され、事業再生やモノづくり・商業・サービス補助金などの支援活動が可能となっています。
しかし最近、6次産業化総合化事業の申請支援に携わることがありますが、以前に比べ、ハードルが高くなってきた感じがします。農家や農業法人の方でも申請書の記述がむつかしくなってきています。安心・安全に対する要求が高くなり、また申請後の事業の成果を厳しく問われることが原因かもしれません。ハード事業を行う際には当たり前ではありますが、申請前の事前準備にしっかり取り組んでおく必要があります。国や県の少しでも認定しようという気持ちは感じられますが、認定に至るハードルの高さを超える努力が求められるようになっています。ここ数年、年に1件は6次産業化事業への申請のお手伝いをしてきましたが、最近の申請に当たっては農政局の担当の方から非常に丁寧な申請書に対する支援を行っていただいています。申請を受理するためには細かな気が付かない点の指摘などもありますが、何度かやり取りをする中で認定に向けた申請書の「完成」に至り、農家の方に喜んでいただくことが増えてきました。
再び増加していますが、残念ながらコロナの影響もあり最近は伴走支援よりセミナーが多く、個別の支援は「事業再構築補助金」による申請支援の方が増えています。ただこの補助金も12回目が終了、あと数回は続くと予測されますが、加工場建設などに補助金が引き続き13回目も使えるのか、心配な点もあります。ただ事業を拡大し、生産加工の充実を図るためには活用していただきたい補助金ではあります。むしろ唯一といっていい建物に対する補助金のため、前向きに取り組んだいただきたい補助金です。
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余談ですが・・・・・

2024-06-22 11:38:41 | 独り言
 実は製造業の方を中心にデザイン・シンキング(思考)のセミナーを開きワークショップなども担当いたしましたが、ふとある怖さに気が付きました。
 ある時のワークショップで受講生に課題を出した際、参加した皆さんが一斉に作業を開始します。その際にパソコンやモバイル端末など自由に使うことを許可していました。作業開始にあたっての最初の動きはまず「検索」から始まります。
驚いたのはその時の参加者の画面です。同じキーワードの入力、同じ画面での情報収集、個性のある検索画面を見ている人は全く見当たりませんでした。「知識のコモディティ化」という言葉が頭をよぎりました。
 デジタル社会になって、韓国がとりわけサムソンなどが日本の電機メーカーを凌駕していった「失われた30年」を振り返らざるを得ません。
 すでに彼ら韓国企業はアメリカのIDEO社やfrog(フロッグ・デザイン)社などのデザイン会社というよりも「デザイン・シンキング(デザイン思考)」をツールとして事業戦略を構築するデザイン・コンサル企業と連携し、ものづくりを行い、事業戦略においても、そのデザインにおいても日本企業を凌駕していったのではと思われます。実際IDEO社はスタンフォード大学で、frog(フロッグ・デザイン)社はハーバード・ビジネススクールで授業を持っています。デザインを教える芸術系大学ではない大学で授業を持ち、ツールとしての「デザイン・シンキング」を教えているわけです。遅まきながら気が付いた電通や博報堂などの日本企業も彼らと連携し、今では出資や業務提携等をしているやに聞いていますが、その後の彼らの海外HPも昔の情報発信内容が制限され、つまらなくなっていました。以前はどのような考えに基づいてクライアント企業の商品づくりを行ってきたのか、それぞれの事例が非常に面白く拝見できたものです。デザイン・シンキングをツールとして教えても活用方法がまずい日本の企業で、これがその結果という成功事例にはまだお目に掛かっていません。商品的にアップル社のiphoneのような成功事例が生まれているでしょうか。ある企業の若手デザイナーに聞いた話ですが、デザイン系の大学では10年以上前から「デザイン思考」の授業はあったようです。しかし先輩デザイナーは勉強しておらず、言えなかったり使えなかったりしたと話していました。最近は「アート思考」といって問題解決型ではなく、デザイナーの発想を重視した商品開発方法なども注目されています。
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【4】―2スマート・アグリ(農業)とICTについて 追補つづき

2024-06-22 11:36:23 | 独り言
 話を戻しますが、デジタル化社会におけるデータの活用方法、コミュニケーション能力は非常に求められているはずなのに、まだまだ活用されているとは言えないのが日本の現状ではないでしょうか。これから農業や製造業等に就職される若い方達には、いかにそうしたツールやデータを活用するか、また活用しながら学びを深くしてほしいと切に願わざるを得ません。
 実は、自動車に興味があり、次に買い替えるときは安心・安全にこだわった車にしようといろいろと勉強していると、ドイツのdSPACE社のTargetlinkというソフトウエアの存在を知りました。実はこのソフトはドイツの農機具メーカーであるCLAAS社のコンバイン収穫機などに採用されているのですが、機械が収穫の最適な状況を判断して人間よりも的確に自動で行うというものです。航空宇宙産業向けなどにも開発されているこのソフトは、いろいろな分野に応用されているようで、自動車における「サービス・デザイン」の進化同様、いろいろな分野に影響をもたらすかもしれません。頼もしくもあり、日本のメーカーには頑張ってほしいとしか言わざるを得ません。最近、こうした海外の先進事例に良くぶつかるケースが増えてきました。気のせいなのか、歳のせいなのでしょうか。しかし最近HPを見ると日本のトヨタや日産、日立、三菱電機などのユーザー名が出てくるようになりました。
 こうしたドイツのソフトウエアだけではなく、オランダやイスラエル等の環境に合ったものづくり技術にも追いつきぜひ追い越して、食料自給率を上げ、安心・安全でおいしい野菜や果物などを生産し、輸出するまでにもっていっていただきたいものです。
 またそうした生産の際に、筋力ではなく知力を使う努力をしてほしいものです。女性の農業への進出、若年層の農業への進出、そのためには農業も働きやすい環境の下での仕事場に変える必要があります。ICTの活用だけではなく、最新のロボットやAI、ドローンなどの活用が必要になってきます。自動化できる部分やロボットの着用や活用による軽作業化など、農業実務の課題解決に関してまだまだ課題も多いと言わざるを得ない状況です。オランダのハウス栽培の現場を見て、その大きさや天井高に驚くのではなく、なぜヨーロッパへの食品工場になっているのか、生産効率が高くなぜ輸出国になっているのか、根本的な部分を学び違いを理解しながら超えていってほしいものです。オランダの栽培方法と日本の大きな違いは、データを活かした病害虫対策だと思っています。日本では病害虫の発生後の対策に優れていますが、オランダではむしろ予防対策が進んでいるといわれています。リスクを最小限に抑えるデータの活用方法は日本でも学びたいものではないでしょうか。

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【4】―2スマート・アグリ(農業)とICTについて 追補

2024-06-22 11:33:37 | 独り言
 近年統計学が見直され、ビッグデータの活用などデータ・サイエンティストの存在がクローズアップされています。
 最近はITよりもICTという言葉が使われるようになっていますが、ITを「総合的な情報技術」ととらえ、ICTは「情報伝達技術」ととらえると、情報は伝達するだけではなく、蓄積された情報の分析も必要と考え、むしろそちらへの重きを置いてICTとここでは触れていきます。
 小生もある漬物屋さんの支援を行うとき、当時健康志向の強い消費者がどのような言葉を検索用語としてみているのか調べたことがあります。ヨーグルト、ポリフェノール、乳酸菌など健康志向の消費者が毎月どのようなキーワードで検索しているのか研究し、トマト農家が摘果したミニトマトを漬物にして販売したことがあります。農家と漬物屋さんがコラボし、新たな商品づくりを行った例でもあります。漬物屋さんは別の商品ではありますが、漬物大賞を受賞された経験をお持ちです。最近はデータ・サイエンティストという職業にスポットが当たっていますが、興味ある方はぜひ勉強して、農業分野にも生かしてほしいものです。
 これからの農業において、オランダなどの農業先進国に追いつき追い越すためには、ICTの技術を農業にも生かす必要があります。

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