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ワカメと銭婆との喜怒哀楽

年式'00のビーグル犬ワカメと'51の妖怪!銭婆が俺を困らせ悩ませる 痛快娯楽な毎日

父ちゃんとお別れ 五

2010-09-14 03:31:02 | Weblog



朝のお経が終わって 少ししますと 住職の奥様が作った おにぎり二つと味噌汁をいただきました。

母ちゃんは 「 おにぎりは一個しか食べられない 」 というので それならオイラが代わりに食べる! という事で

母ちゃんの 残ったおにぎりを いただきますと 中からタラコが出てきて それを見た母ちゃんは 「 ワタシのは 梅干しだった! 」

などと言って 少しヘソを曲げます!  しかし、これはオイラのせいじゃないですよね(*_*)



お棺の中の父ちゃんを見ると 何だかものすごく 落ち着いた表情に見えました。

母ちゃんも 「 あらー! 父ちゃんいい顔しよる、 だんだんいい顔になってきたような気がするねぇ! 」 と言ってました。

本当に いい顔に見えるんです。 続けて母ちゃんは 「 これなら極楽浄土に行けるかもしれんな、 」 と嬉しそう、

オイラもそう思いました。 『 父ちゃん、母ちゃんに褒められたよ、良かった良かった(^。^) 』



10時から 葬式のお経が始まるのですが それまでかなり時間があるので 近くを探索することにしました。

ここはかなり大きな敷地のお寺ですので アチコチ歩いても 歩き通せない程のお寺です。




ここは 緑がとてもキレイです。





敷地内に たくさんの 御堂があり 母ちゃんは あちこちで 拝みまくっていました。





オイラもそう思ったので 母ちゃんは絶対に言うはずだ! と思ったらやっぱり言いました。


「 この良寛さん、 今の父ちゃんの顔にソックリや! 」


バチ当たりな事を 言ったのかもしれませんが 本当に似てるんです。

「 父ちゃん、病気中、 えらい修行をしてたのかも知れんな、 それであんな顔して召されたんや… 」 とか言ってます。

確かに この3年間は 食べ物などは 口からは何も 入れる事が出来ずに 声も出せなくなって

辛い毎日だったでしょう、 よく頑張ってきたと思います。




部屋に戻って 庭にある池を ぼーっと見ていると、 池の周りに黒アゲハが飛んでいます。

人は魂になると 蝶ちょになって 逢いにくると言われていますが オイラはなぜか

『 この蝶には 父ちゃんの想いは込められていないな、 』 って思いました。



この黒アゲハ、 ずっとこの池の周りを 飛んでいました。


8時を過ぎると 銭婆が家からやって来て 「 ワカメがずっと アンタの事を探して 寝ないから困ったわよ、 」 と言っていました。

「 ワカメはオイラが居なけりゃ 不安なんでしょ(^。^) 」 と、ちょっと嬉しい!



10時まで時間がありますが 何だか外は 雨が降ってきて もう外で暇を潰すという事は出来なくなってしまいました。

それでも何とか 喋ったり、父ちゃんに色々と話しかけたりして 暇を潰しました。

葬式のお経を唱える時間が来て オイラ達は 住職のお経を聞きながら 後ろで小さくなって座っています。

もしかして、昨日の お通夜のお経よりも 長くなったら足が持たないだろうな(*_*)


なんて思いながら座っていると、

ふと目に付く物が お経を唱える住職の脇に置いてあります。



何て言っていいのか分かりませんが シンバルの様なもの! ボクシングのゴングの様なもの! 

タンバリンの鈴がたくさん付いた棒のようなもの、 火の用心!とか言って叩くカチカチと音の出るもの!

まだ何かあったようですが忘れてしまいました。



住職の衣装も 昨日よりも ゴージャスになって 何だかやる気が違う! って感じです。

あの楽器の様なものは いつどうやって使うんだろう!

って思っていたら、それよりも先に オイラの足が しびれてしまい、 そんなのを待っている余裕など無くなって

一刻も早く 終了する事だけが オイラの願いとなってしまいました(*_*)





「 稲刈り早く終わらせないと 大変だよ~! 」




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父ちゃんとお別れ 四

2010-09-13 05:08:56 | Weblog



オイラと母ちゃんと住職は 遅くまで 酒飲みが続きました。

銭婆は酒が飲めないし それにこれが終われば すぐに家に帰って ワカメにエサをやり 散歩に行かねばならないので

これが終わると同時に 家に帰っていきました。 多分、終ったのは10時半頃だと思います。


本堂に戻ると 父ちゃんの線香は すでに消えていて 「 うわ! 父ちゃん、勘弁! 」 と言ってまた線香に火を点けます。

オイラはもう酔っ払って布団に入ると そのまま夢の中に入って行きました。



夜中の三時頃、母ちゃんがゴソゴソと眠れない様子で その気配でオイラも目が覚めて、

「 どうしたん? 」 と、尋ねると

「 明日、父ちゃんの棺に入れて欲しいものが あるんや 」

セッカチな母ちゃんは 気になりだしたらもう どうしようもなく、寝返りとため息ばかり うっています。


「 仕方ないなぁ 6時に朝の お経をあげてくれる時間になるから それまで帰って来れるように 4時になったら取りに行こう、 」

オイラはまだ少し酒が残っていて それまで少しでも寝ていたいと思ったので 布団の上で寝て待っていました。

4時近くになり 住職に断って行かなきゃと思い、チャイムを鳴らして モソモソと起きてきた住職に事情を話して

オイラと母ちゃんは 家に向かいます。 その前に 父ちゃんの棺の線香を見ると

線香はまた消えています。 これではここに泊まっていても無駄みたいな気がします^^;



夜中なので車は結構早く進みます。母ちゃんの家に到着したのは 4時45分、45分で着くのだから

母ちゃんに 「 5時15分に また来るから! 」 と言ってオイラも家に帰り 汗でベタベタになった身体をシャワーで洗いました。

それから顔を洗ったり 銭婆の話を聞いたりしているうち すぐに時間になって母ちゃんを向えに行きました。

母ちゃんも時間が無かったらしく アセアセと動いていました。



家に向かう時は真っ暗でしたが 家を出た時はすでに 明るくなっていました。

母ちゃんは 父ちゃんが使っていた 御書と 経本を抱えて車に乗り込みます。

「 急がなきゃ 6時のお経の時間まで間に合わない! 」 少し急いでお寺に向かいました。



途中、弥彦山が近くに見える、 「 こんな日は雨が降るんらよね、 母ちゃん知ってた? 」 と言うと

「 ホンマかね? ワタシャ知らんで、 」 と、素っ気ない答えが返って来て 他の会話は 全て母ちゃん中心の話しになりました!


お寺に 6時ピッタシに到着、車から降りて 本堂に向かうと 丁度 「 ゴーン! 」と鐘の鳴る音が聞こえて

滑り込むように オイラ達は住職の後ろに座って お経を聞いていました^^;












今、銭婆の庭には トカゲの子供がたくさんいます。 
            毎日見ているので 家族気分です(^-^)




一昨日の土曜日の朝、 ワカメの散歩も兼ねて 母ちゃんの家に行ってきました。

行ってみると すでに母ちゃんの姿はなく 何処か行ったようです。

仕方ないので そのまま帰ろうかと ワカメを引っ張って行きますと 

すぐ脇に こないだまで 母ちゃんが住んでいた市営住宅が 取り壊しのための準備が始まったようです。



  
「 あれ? 何だか 塀みたいな物が立ちはじめているよ、 」






「 ワカメは 母ちゃんが ここにいると思ってるのか 引きずっても帰ろうとしません 」



少しの間、ワカメを説得したのですが ワカメのお気に入り婆ちゃんメンバー、NO.1ですからね、

ちなみにワカメファンクラブメンバーは 現在 NO.1からNO.5までいます(*^_^*)




仕方ないので ワカメを籠の中に入れて 帰ってきました。



カゴに入れると静かになるので楽チンです(^^) どうやらカゴの中は お気に入りのようです。






「 快適快適ぃ~♪ 」



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父ちゃんとお別れ 三

2010-09-11 08:55:11 | Weblog


枕経の時間になって 住職のお経が始まります。

御堂の一室、20畳ほどの部屋で 始められました。

父ちゃんの後ろで 住職がお経を読んでくれます。 オイラ達三人は その後ろに座って お経を聞いていますが

オイラは 手を合わせるタイミングとか全然知りません、 どうしていいのやら解らないのですぐに諦めて

手をずっと膝の上に置いて聞いてました。




『 そういえば 昔 弟が死んで その葬式の時、父ちゃんは弟の腕や顔を触りながら ずっと声を出して泣いていたなぁ、 』

と思ったら 涙も出ないオイラは 薄情な人間なんだろうな と感じてしまい、そんな自分が情けなく感じてしまいました。

父ちゃんへの悲しみよりも 自分の情けなさが申し訳なくて その時に初めて ボロボロと涙が出ました。


しかし、お経が終わると その涙も止まって 普通に戻ってしまいます。

そして 外で待っていた葬儀屋さんが すぐに棺桶と そのセットを持ちこんで 死に衣装やらの着替えやその儀式を執り行います。

父ちゃんはもう 昔から身体中が曲がったまま硬直しているので そんなものは着せられなくて

全て上から被せただけで終わり、 全員で棺桶の中に入れました。



葬儀屋さんが 「 あの、 出棺のときに 霊柩車までお棺を運ぶ時、ウチの人間を呼びますと

6万円別途必要になりますが いかがなされますか? 」 と、訊いてきたので

「 こんなに近い距離を運ぶだけで 6万円ですか? それなら自分たちでやります。 」 と答えました。

葬儀屋さんは 「 そうですよね、勿論 私もお手伝いさせていただきますので 御安心下さい^^ 」 と言ってくれましたが

葬儀屋さんって ちょっとした事で えらく費用が掛かっちゃうもんだなぁ、と ビックリしました。

しかしまぁ、良い葬儀屋さんの担当に出会えて良かったですよ、




棺に入った父ちゃんは 本堂の真ん中の 御本尊の前に 移されます。

オイラ達はさっきの部屋で くだらない事を喋ったり たまに父ちゃんに喋りかけたりして

お通夜の時間まで暇をつぶしました。


それにしても 暑い夜です。

5時になり お通夜の時間が来て 住職が お経をとなえてくれます。

しかし、感覚として 死ぬ前も それから死んでからも オイラ達は一方通行で喋っていますので

本当に死んだ気がしなくて お経を唱えてもらっても お棺の中の父ちゃんには効目があるのかなぁと、不思議な気がしました。



それでも 住職は 立派な お経を唱えてくれて ビックリするほどでしたよ!

今まで 出たお通夜の どのお経よりも すごいと実感!

それに対しては とても感激しましたが 立派なのは嬉しかったのですが そのうちに 足が痺れてきて どうしようもなくて

はたして、終るまで自分は耐えられるのか解りません! しかし ここは男の子! 頑張り通さなければなりません!!



お経の声がだんだん小さくなってきて 鐘が 『 ゴーン! 』 と鳴ると 

「 おっ! 終わりかな? 」 って思っても また次の章が始まる(T_T) といった具合で 先が見えないのって 辛いですよねー!




何とか お通夜の お経が終わって 立とうとしますが やっぱりマトモに 立てなくて しばらく柱にくっ付いていました。

シビレを切らすと すぐに服を普段着に着替えて 食事が出るまで待ちます。



「 母ちゃん知ってるか? 父ちゃんの線香は 一晩中切らしたらいけないのを、 」

「 んな事 知らんわ お寺さんはそんな事 一言も言っとらん、 」

「 んー…。 当たり前すぎて言わないのと違うか? 」 なんて言って見に行ったら すでに線香の日は消えていました。

オイラは慌てて線香の火を点けました^^;



食事の用意が出来たと 声がかかったので 三人で別棟の部屋に移り 住職と4人で宴会が始まります。

母ちゃんの喋りに 住職は すごく気に入ってしまい、 「 どうですか、週に一度か二度 お手伝いに来てくれませんか? 」

と 母ちゃんをスカウトし始めました。

続けて 「 私は今までこんなに素晴らしい才能を持った人にお目にかかった事がない! 」と、ベタ褒めです^^;



何が良くて 母ちゃんに 来てくれと言ってんだろう? と、思いましたが、

観光客や色々な人とお喋りしてきて欲しい、 そして、お茶でも出して お話しの相手になって欲しい、

とか言ってました。 簡単な話、観光地の営業ですね(^。^)

ここは確か国立公園であり観光バスも来る 良寛様のお寺ですので 休みになると 人がたくさん来ます。

その営業! 確かにそれについては 母ちゃんは的確な人かも知れません^^;

寺のケサなどを 軽く肩に掛けて 廻っていればいいのですからね…!



そんな話で大いに盛り上がり夜は更けていったのでした。




象の背中~完全版~(字幕付き)







「 そこに 誰かいるの? 」


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父ちゃんとお別れ 二

2010-09-10 09:44:18 | Weblog


時間の経過というのは 時に あまりにも惨いと思います。

どうしてこんな時に 時間は勝手に進むのだろうと 考えてしまいます。

オイラの考えが甘かったばかりに 父ちゃんを一人淋しく旅立たせてしまいました。


『 一人で淋しかったろう、 不安だったろう、 父ちゃん、勘弁な…。 』 心からそう思いました。



父ちゃんの顔は 昨日会った時の顔と 全く同じ顔をしています。

目が開いているので 閉じてあげようと 手でまぶたを くっ付けますが 手を離すとまた まぶたが開きます。

今度は母ちゃんが 「 休む時は 目ぇ閉じ、 」 と言って 目を閉じるように まぶたを押さえますが全然閉じません、


こんな時は 興奮しているのか 悲しい気持ちはあまりありませんでした。

ただ時間のなすまま 周りの人が いいように コトを進めてくれて それに従うだけでした。


それからすぐに 葬儀屋さんの車がきて 父ちゃんを 車から持ってきたベッドに移し替えて スタッフ全員が見守る中

裏の出口に置いてある 霊柩車に乗せました。



運転手は 「 ここまで来いと言われましたが これから何処に行くとかは聞かされていません、 」 と言うので

国上山の 国上寺まで オイラの運転する 車の後ろに 付いてくるように お願いしました。

母ちゃんは霊柩車に乗って 銭婆は 自分の車で その後ろに付いて 3台でお寺に向かいます。



最初に 霊柩車の人が 「 ゆっくりと走って下さい 」 と、念を押されたので 爺さん軽トラのように ゆっくりと運転して行きました。

途中で 銭婆が見えなくなって 『 そういえば今日は午後から仕事に出るとか言ってたよな 』 と気が付きました



ゆっくりと走って行ったので お寺まで軽く一時間かかりましたが 父ちゃんは今までずっと施設のベッドの上でしたので

『 久しぶりに 外の空気が吸えて のんびりドライブ気分に浸っていてくれてるかな? 』 とか思っちゃいます。


お寺に着きますと 父ちゃんを本堂の中にある 横の部屋に寝かせられました。

お寺さんと相談して お通夜はこの日のうちに、葬式は翌日する事に決定、

一応、親戚には連絡はしましたが 来てくれるような親戚はいませんし

近所の人は 父ちゃんの事など知りませんのでそのままにしています。

家にも葬式らしきものも付けませんので、会社の人以外は誰も知らない状況です。


それでも、親戚が一人でも 訪問されても 気を使ったりするので 今回はこれで正解でした。




ここで父ちゃんの葬式を執り行いました。



午後から会社に行く銭婆に 本日お通夜になった事を知らせねばならないので 携帯に連絡しますが全然出ません、

「 今度は銭婆が行方不明らよ(=_=) 」 もう11時過ぎていて 早く捕まえないと 仕事に出ちゃう!

何度連絡しても 電話に出ません、仕方ないので それならそれで仕方ないなと 諦めて一旦帰って礼服とかの支度をしに

帰ろうと 母ちゃんを乗せて 家に向かいました。



帰る途中、銭婆から電話がきて 「 今日、お通夜になったから、」 というと あまりの早さにビックリしてました。

銭婆は 朝、別れてそのまま仕事に出たそうで 昼休みになって携帯を見たそうです。

「 せっかく、仕事に出たのに… 」 と言いながら これから帰ると言って電話を切りました。


母ちゃんを 下ろしてからオイラの家に着くと 銭婆はすでに帰ってきてました。

「 早いんだね、 」 と驚いてましたが 「 24時間経てばもう焼いてもいいそうら 」と説明しました。

それに、親戚も誰も来ないから 早く済ませた方がいいと思ったので!とも言ったら 「 それもそうらね 」 と答えてくれました。



今晩、父ちゃんの所に泊まるんだけど、 家にはワカメがいるので 銭婆は お通夜が終わったら家に帰ってワカメの世話をして

翌朝 またお寺に来て葬式を執り行なう事になりました。


家で準備が終わると オイラは母ちゃんを迎えに行き、銭婆は自分の車で 2台でお寺に向かいます。

道中、相変わらず母ちゃんのマシンガントークに悩まされながら 運転していましたよ^^;


お寺に着いて 枕経が始まるまで多少 時間があったのですが すごく暑くて 車の中からウチワを取って来て扇いでました。

父ちゃんの横で 父ちゃんに話かける母ちゃん、

生前、施設で 反応しない父ちゃんに 毎日話かけていたので 一方通行の会話は オイラ達も慣れてしまって

死んでいようが生きていようが お喋りに対しては 普通に出来ます。



ですから 死んだ父ちゃんに 話しかけても なんの不自然もないし 逆に 死んでいるようには見えないのです。

「 父ちゃん、ホンマに死んだんか? なんも変わらんやんか、 」

母ちゃんがそう言うと 父ちゃんは 一日前と変わらず天井の隅を見ています。



「 死んだんやったら ちゃんと目ぇつむらんとな、 」

母ちゃんは 瞼を閉じさせようと グイグイと力入れて押していますが 結局 瞼は閉じませんでした。



最後た?とわかっていたなら




「 稲刈り始まったね! 」



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父ちゃんとお別れ 一

2010-09-08 17:24:10 | Weblog

日曜日に母ちゃんと一緒に 父ちゃんに会いに行った時

父ちゃんの呼吸が ちょっと苦しそうでした。 でも、オイラ達は もう慣れてしまって

「 父ちゃん、息が大変そうらねぇ、 大丈夫か? 」 とか言う程度で、苦しそうなのは可哀そうだと思いましたが

まだ 持つだろうと 勝手に思っていました。 もう、何度も山を乗り越えてきた父ちゃんでしたからね、



こんな状態の中 反応する場所は まつ毛を触ると まぶたが少しだけ ピクリと動く程度ですので

そろそろ これ以上の山は 越える事は出来ないとは知っていました。

そんな状況なのに この日は オイラ達に動かない身体を動かしていたり 口を開いたり閉じたりしています。


何だか苦しいのとは別に 何か言いたいような感じがします。

母ちゃんが 「 どうしたん? 何か言いたいんかね? でも声も出せんと 可愛そうやなぁ 」

いつもは おちゃらけて 父ちゃんをネタに喋っていた母ちゃんも 少し変だと思ったのか

「 何処も動かせんはずなのに 一生懸命 何か言いたそうにしとるで、 」

オイラもそのように見えます。 それでも少しは元気になったのか  息が大変そうなのにそんな事は無いはずだよな・・・。

とかも思いましたが ここのところ、オイラも母ちゃんも たくさん喋りかけて もう喋るネタも無いほどなので

二人とも やるだけの事はやったと思っています。


この日は 一時間ちょい 父ちゃんに喋って、「 また明日くるからね! 」と言って 施設を後にしました。

この後、オイラは そのままでしたが 母ちゃんは胸騒ぎがしたので この日にもう一度父ちゃんの所に行ったそうです。

そして、その時はオイラが居ないので 誰の邪魔もされずに 出会いから今までの事を 父ちゃんに喋っていたそうです。

「 一時間半くらいやかなぁ、 父ちゃんはちゃんと聞いてくれてたで、途中から父ちゃんも涙流してたで、 」

と、あとで教えてくれました。




翌日 月曜日の朝6時20分頃 仕事前のシャワーを浴びて 頭を洗っていた時に 銭婆が オイラの携帯が鳴っていると言って

携帯を持ってきました。 オイラはピンときて濡れた手で携帯に出ると

「 先程、お父さんの呼吸が止まっているとの連絡が入りまして、ご連絡差し上げたのですが、

先に お母さんに電話しましたが 出られません、どうしましょう、 」 と言ったので

「 あのババア、 最近はいつもタイミングが悪いんですよ! 行って家に置手紙を置いて すぐにそちらに向かいます。 」

オイラはすぐに 準備して コピー用紙に 大きく置手紙を書いて 母ちゃんの家の中に放り込んで そのまま施設に飛んで行きました。



行く道中、 会社に 理由を言って 休ませてくれるようにお願いしました。

7時前でしたが 会社の事務所に人がいてくれて助かりました。


施設に入ると すぐにスタッフの人達も来てくれましたが 喋る余裕はないので 目礼だけして父ちゃんの部屋に入ります。



部屋の中の父ちゃんは 顔に白い布を被せられていて一人で待っていました。

すぐに布をめくりあげて顔を見ると 昨日見た父ちゃんと何も変わらない顔をしてました。

それまではいつも 死んでいるのか生きているのか解らないほど動かないので

被せてあった布を取っても 息耐えているはずですが 気が付くと少し動きだしそうな気がします。

目も開いたまま 天井の隅を見ています。



「 父ちゃん、朝らよ! 早よ 目ぇ覚ませってばっ! どうしたん? 本当に魂が抜けたんか? 起きれ! 」

当然、父ちゃんは目を覚ましてくれませんでした。

いつもみたいに まつ毛をチョンと触っても 何の反応もありません、



「 ほれ、どうした! 一日でいいから生き返れ! 」

肩を揺らすと 首が 揺らした肩と逆方向に揺れます。 今見ているベッドの姿が そのまま何年も続いているので 

自分の中では 生と死の分別が解らなくなっています。

不思議なもので 頭の中では 死んでしまったと解っているのに、 オイラの身体の中が死を受け入れていない状況に

自分自身不思議な感覚です。



スタッフから 「 これから死亡診断書を持ってお医者さんが来ますから立ちあって下さい

それから 少し手続き等をしますので ヨロシクお願いします。 」

と言われ 父ちゃんの身体を清めるので 外で少し待って下さい。と言われて 応接室で待たされることになりました。



何だか頭が白くなって 一人では何も解らないと思い、 携帯で銭婆に 来てくれと頼んで来てもらいました。

お寺にも電話して 車を回してくれるように頼みます。



30分程して銭婆が来ると 気持ちも落ち着きます。 何だか少しは安心、

そしたら 母ちゃんから電話がきました。

オイラが 「 こんな時に何やってんだ! 」 と言うと 「 近所に行って朝から草刈りしてたんや! 」と言って、

しばらくすると 母ちゃんもやってきました。



三人揃って少しすると 「 お父さんが整いましたのでいつでもどうぞ 」と言われて

父ちゃんの部屋に行きますと、 浴衣を着せられて 整った父ちゃんが 待っていました。


母ちゃんは 「 父ちゃん! 父ちゃん! はよ起きよ、 」 といっていつもみたいに ホッペタをペチペチ叩いたり

組んだ手を握ったりしてます。 オイラはもう一度 まつ毛をチョンチョンと触ってみましたが当たり前ですが反応しませんでした。


銭婆を含め 他の人達は 父ちゃんを拝んでいましたが その行動が不思議な光景に見えました。

『 何を縁起の悪い事をしているんだろ! 』 と、瞬間的に思いましたが オイラはまだ手を合わせて無い事に気付き

同じく 手を合わせて無い母ちゃんに 「 ウチらはまだ父ちゃんに手を合わせて無かったよ 」

といって、オイラと母ちゃんは初めて父ちゃんに対して 手を合わせました・・・。





「 いい子にしてたらホントにオヤツくれるの? 」


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