
しかし、国の政策や構築している体制が、欠席したことで変わるわけではなく、欠席した理由が国内事情であることは明らかで、この機会を中国包囲網で劣勢にあった中国が、挽回の千載一遇のチャンスと捉えて、一大パフォーマンスを行っていることに、惑わされててはならないのです。
ただ、欠席理由の国内事情=財政の逼迫(含、国防費の削減)という米国の体力低下は明らかな事実ですが、経済は中国にも共通することであり、政権基盤の不安定度も中国にも言えることです。
安倍政権誕生により復活する日本の存在感こそが注目されてしかるべきですし、日本はアジア諸国の期待に応えねばならない時がきていると奮起すべきです。
産経で各国の紙面を紹介していました。
オバマ米大統領は先週、予算未成立への対応を理由に外遊を中止し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や東アジアサミット(EAS)などを欠席した。苦渋の選択とはいえ、アジアからは米国の不在が中国のトップ外交を際立たせる結果になったとの論評も出た。一方、オバマ政権が強調する「アジア重視」の戦略については、その実効性に疑問を投げかける声が米国でも上がっている。
<中略>
□環球時報(中国)
■世界発展秩序に米も従え
中国共産党機関紙、人民日報系の国際情報紙、環球時報は8日、「世界の発展にはおのずと秩序があり、米国もこれに従うべきだ」との社説を掲載した。「発展途上国の進展が世界経済の推進力となっており、先進国も新興市場の繁栄の中に自ら利益を見いだす必要がある」と主張した。
発展途上国、とりわけ中国を軸とする新興市場の勃興が米国型の市場メカニズムや経済システムに取って代わり、世界経済で新たな“秩序”を形成している。社説にはそんな中国の自信がにじんでおり、「米国も従え」といわんばかりの勢いがのぞく。
インドネシアのバリ島で行われたAPEC首脳会議には習近平国家主席が、ブルネイでのEASなどには李克強首相が出席した。社説は冒頭で、中国の首脳2人がこの地域に時を置かず姿を見せたことと、オバマ米大統領の不参加を対比してみせた。アジア太平洋地域での主導権争いで、オバマ氏の「欠席」を最大限に利用したい中国指導部の思惑を代弁したようにみえる。
社説はさらに、「中国がどのような態度でTPPに臨むかがアジア太平洋地域の貿易体系の将来を決める最大の不確定要素であるにもかかわらず、米国は中国包囲網を画策している」などと指摘。中国抜きで進むTPP交渉を牽(けん)制(せい)した。
オバマ大統領が訪問をキャンセルしたインドネシアとマレーシアには、習主席がAPEC首脳会議前に足を踏み入れ、貿易規模や経済協力の拡大で合意した。
こうしたトップ外交の成果もあってか、中国本土寄りの香港紙、大公報は8日の電子版で、オバマ大統領の欠席を批判する一方、「APECで中国が最重要のメンバーとなった」と持ち上げた。
香港の文匯報も同日、「米国のアジア回帰はこの地域の警戒を呼び起こし、平和と安定を損ねる」とした上で、「中国脅威論にだまされることなく、中国の善意を認識する国が増えた」などと論評している。(上海 河崎真澄)
□ウォールストリート・ジャーナル・アジア版(米国)
■歴訪中止よりも歳出削減が危険
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は8日付で、オバマ大統領の東南アジア歴訪中止に関連して大手シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)日本部長のマイケル・オースリン氏の論評を掲載した。オースリン氏は、歴訪中止よりも「歳出削減が米国の海外でのプレゼンスを縮小させていることの方が危険だ」と主張した。
オースリン氏は、オバマ氏のアジア歴訪が中止になったとはいえ、米軍のアジア駐留が継続し、TPP交渉も引き続き行われていると指摘し、「歴訪中止は米国のアジアに対するコミットメントに実質的な変化を及ぼしていない」との見方を示した。また、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、無人偵察機グローバルホークの展開などで合意したことにもふれ、米軍のアジア戦略が前進していることも強調した。一方で、オースリン氏は米国のアジアでの外交・軍事政策が歳出削減で大きな影響を被っていると主張した。米国の国防費が今後10年間で約1兆ドル(約98兆円)削減される見通しであるといった実例を挙げ、こうした状況が続けば「米軍の司令官たちは紛争時に相手を制圧する自信を持てなくなる」と警鐘を鳴らした。
さらに、オバマ氏はアジア重視戦略を打ち出しているが、米国のような大国が世界に影響力を及ぼそうとするなら、関与する地域を選ぶことはできないと指摘した。オバマ氏が2期目も中東への対応に追われることは避けられないとして、歳出削減で外交や軍事にかける資源が限られるなか、アジア重視戦略の成果を期待することは「非現実的だ」との見方を示した。
また、オースリン氏は中国がアジアで外交、経済の両面で存在感を強めているとし、「歴訪中止は忘れ去られるだろうが、米軍の機能を削(そ)ぎ、米国が海外で重要な役割を果たす能力を貶(おとし)めることは継続的な影響をもたらすだろう」と分析している。(ワシントン 小雲規生)
ASEAN首脳会議 オバマ不在で習近平が存在感アップと言うが - 遊爺雑記帳
環球時報が言う、「中国を軸とする新興市場の勃興が米国型の市場メカニズムや経済システムに取って代わり、世界経済で新たな“秩序”を形成している」とは、中国経済が何故発展を始めることが出来たかを、忘れています。
小平や胡耀邦が日本を訪れ、日本の経済を学び自国に改革開放経済を導入したからです。
日米のIT企業、繊維・服飾企業、食品加工企業がそれに応え、工場としての中国へ投資したからです。
なので、経済に鈍化の兆しが見える今、上海特区を進めようとしているではありませんか。
小平の成功再び…上海で自由貿易試験区 金融規制緩和で「特区」- MSN産経ニュース
やっていることと言うことが違っていますね。
日本や米国の経済を真似して投資を呼び込み、今日の地位を築いたのですね。強いて違いを上げれば金融政策でしょう。
為替や金利を固定化 or 国が管理しています。これの自由化も進めようと言うのが上海特区の肝であり、まさに、米国型への追随でしょう。
「中国脅威論にだまされることなく、中国の善意を認識する国が増えた」などと論評」しているとのことですが、上記リンクのASEAN首脳会議 オバマ不在で習近平が存在感アップと言うが - 遊爺雑記帳で述べた様に、ASEANの多くの国々は、中国への警戒心を高めています。
中国は、自身の今日までの発展の歴史を認めるべきです。
wsjでオースリン氏が指摘する「米軍の機能を削ぎ、米国が海外で重要な役割を果たす能力を貶める」状態に陥っている米国自身の問題解決が、重要な課題です。
そしてそれの道は、自由主義経済の道を後から追いかけている中国にも近い将来発生する問題です。
更に、中国には共産党独裁政治という自由の弾圧政治が行われていて、社会の基盤に大きな不安定要素を抱えているのです。
格差社会と言う面では、平等を標榜する、社会主義、共産主義のはずなのに、自由主義国家より大きな格差(例=ジニ係数)を産んでいます。それとも、この違いを誇りとして主張しているのでしょうか。
# 冒頭の画像は、予算不成立による政府機関の一部閉鎖について話すオバマ大統領

この花の名前は、セッコウボク
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