遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

フィリピンの沿岸警備隊支援にODAで巡視船やOB等の技術指導も

2012-04-06 23:37:38 | EEZ 全般
 南シナ海での中国包囲網で、アジア諸国への支援を、インドや米国は軍事面でも行っています。防弾窓ガラスを使用しているだけでも武器として輸出できなかった日本ですが、武器輸出三原則の緩和で、巡視船の輸出が可能となり、フィリピンの要請で、ODAとも絡ませて巡視船を供与することがすでに報道されていたことは、諸兄がご承知の通りです。
 中国は、お金のばら撒きでASEAN各国を分断する作戦を展開しています。
 お金の勝負では中国には叶わなくなった日本は、現地で喜ばれる形でのODAなどの支援をするよう、戦術転換を始めているようですが、防衛省は今年度から、人道支援・災害救援、海賊対策などの分野で、東南アジアの軍・関係機関の対処能力向上支援を開始するのだそうです。
 現地で継続的に効果が出る様な運用面=ソフトの支援ですが、人材にOBの活用を読売の社説が提唱しています。
 

戦略的ODA 海上安保で東南アジア支援を(4月6日 読売社説)

 
海上安全保障分野で、東南アジア各国と、実質的かつ戦略的な連携を深める意義は大きい。 政府が、政府開発援助(ODA)を活用し、フィリピンの沿岸警備隊に巡視船や船舶通信システムを供与する方向で調整している。
 フィリピン側は、巡視船12隻を希望している。日本は円借款を使う予定で、実際の供与は来年度以降になる見通しだ。
 巡視船の供与は、玄葉外相が2月に表明した「戦略的ODA」の一環である。フィリピンの海上保安能力を向上させることは、南シナ海の海賊・テロ対策を強化し、日本の海上交通路(シーレーン)の安全確保にも役立つだろう。
 南シナ海では、中国とフィリピン、ベトナムなどとの間に領有権争いがある。中国は、圧倒的な海軍力を背景に、領土の地図化や巡視活動の常態化を進め、実効支配の強化を目指している。
 東シナ海の海洋権益をめぐり中国と軋轢(あつれき)のある日本にとっても、決して人ごとではない。
 
南シナ海の平和と安定は、日本と東南アジアの共通の利益である。積極的に支援すべきだ

 過去には、武器輸出3原則の例外としてインドネシアに巡視船を供与した例がある。政府が昨年末に
3原則を緩和したことで、より円滑な供与が可能になった
。 他の東南アジアや西南アジア各国とも協議し、同様の支援の可能性を探ってはどうか。
 巡視船を供与しても、有効活用されなければ意味がない。モノや資金を与えるハード面に加え、海上保安庁職員の派遣・技術指導などソフト面の支援を充実させることが大切である。
 
海保職員の人手が足りないならOBを活用するのも一案だ

 ODA以外の分野でも、
幅広い安全保障協力を追求
したい。
 防衛省は今年度から、人道支援・災害救援、海賊対策などの分野で、東南アジアの軍・関係機関の対処能力向上支援を開始する。
 予算は1億6000万円で、2か国程度に自衛官各数人を6~10か月派遣し、
人材育成を支援
する。東ティモールでの車両整備やカンボジアでの地雷処理が有力だ。現在の予算規模は大きくないが、中長期的に拡充したい。
 肝心なのは、
既に現地で活動している自衛官OBなどの民間活動団体(NGO)や、外務省、海保と緊密に連携し、支援の効果を高める
ことだ。自衛官らの技術指導に、ODA資金を組み合わせれば、相乗効果が期待できよう。


 ODA(≒日本の物を買ってもらう支援)に、技術のソフト面で現地に定着する人材育成を加える日本型の支援は、援助と言いながら労働者まで中国から送り込んで、利益を吸い上げる中国型の自分中心の援助が反発を買い始めた今日、各国の支持を得ていくチャンスが巡ってきていますね。
 日本の支援の範囲も、海賊対策、沿岸警備といった分野に拡大することで、より現地でのニーズが強いものの選択肢が増えることになり、喜ばれる効果のある支援が可能になります。

 余談ですが、ODAでの援助戦術を世界中に活発に展開し、国益を増やしている中国は、事故で中断していた新幹線のODAでの輸出を再開したのだそうです。導入を受け入れる国も度胸が要ると思いますが、ODAなら選択の余地がない?
 

中国、高速鉄道を輸出 特許侵害、国際摩擦も (4/6 産経)

 
【上海=河崎真澄】中国北車がバングラデシュ向けに初輸出する高速鉄道の車両やシステムは、独電機大手のシーメンスなどから導入した技術がベースとみられる。しかし、同社のライバル、中国南車には川崎重工業など日本企業も新幹線技術を供与している。今回の輸出を手始めに中国が高速鉄道技術の海外進出を加速させれば、国内利用を前提に対中技術供与した日欧企業などと中国の間で、契約違反や特許侵害など国際摩擦に発展する恐れがある。
 中国北車はシーメンスや仏アルストーム、カナダのボンバルディアなどと提携し、2004年から高速鉄道車両や制御関連システムを国内で製造してきた。
 中国北車や中国南車は、海外からの導入時に250キロだった最高時速を350キロに引き上げたことなどを根拠に「中国独自開発の最新技術だ」と主張している。一方で、日本の鉄道関係者は「中国では安全が保証できないため、300キロ以上出せる車両を、技術供与の契約時に速度制限した」と反論している。
 
中国はかねて高速鉄道を重要輸出産業と位置付けており、海外進出に向けた戦略を着々と進めている

 昨年7月の高速鉄道追突事故で一時的に自粛していたものの、米国やブラジル、ロシアなどへの輸出は引き続き狙っており、陸続きの東南アジアや中央アジア、中東方面まで、中国からの延伸による高速鉄道の進出も打診している。
 さらに中国は昨年、日本や米国も含む5カ国・地域で、高速鉄道技術の特許取得を狙って国際出願の手続きに着手するなど、強硬な姿勢も見せ始めている。
バングラデシュで輸出実績を作ることが海外戦略上、有利だと判断したようだ。

 中国の特許や著作権に対する認識の、世界の常識との違いは語るに堕ちますが、かまわず強引に自己流の論理を言い張ると厚顔さは、なんとかしなくてはいけませんが、世界世論の盛り上がりに期待ですね。

 車両のリピート受注もあり継続性がある新幹線については、運用も含めた総合技術は日本は世界に誇る技術を持つわけですから、今でも頑張ってはいるようですが、物まねの欠陥品の中国に負けない戦略に、更に知恵を結集していただきたいですね。



 # 冒頭の画像は、1000トン型巡視船・PL「はてるま」型



  この梅の蕾の名前は、月影

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