
バイデン政権が発足して以来、中国が南シナ海での軍事的優勢確保のための行動だけでなく、東シナ海そして台湾への軍事的圧力を一段と強化しているのですね。
中国海警法の施行に加えて、中国海警局巡視船が尖閣周辺海域へ姿を見せることもさることながら、さらに軍事色が露骨な動きをとっているのは、台湾の防空識別圏(ADIZ)への中国軍機の侵入事案。
尖閣周辺に海警局巡視船がほぼ毎日のように姿を現しているのと同じく、中国軍機がほぼ毎日のように台湾のADIZへ侵入を繰り返しているのだそうです。
中国の狙いの1つは、台湾空軍を毎日のように緊急発進させて疲弊させるという、東シナ海上空で航空自衛隊に対しても実施していると同様の、対台湾威嚇の一環。
それとともに、台湾が実効支配を続けている東沙諸島と台湾本島の間の軍事的優勢は完全に中国軍が握っていることを繰り返してアピールして、台湾側の士気を萎えさせようという目論見も含まれると軍事社会学者の北村氏。
そして、台湾に対する軍事的警告以上に中国側にとって大切なのは、アメリカに対する政治的かつ軍事的警告を発しているという点であると。
昨年9月、トランプ政権高官が台湾を訪問して以降、中国軍機が海峡中線を越えて台湾領空に向けて接近するケースが急増。そして、バイデン政権が発足して以降、毎日のように続けるまでになってしまったのだそうです。
政治的にはバイデン政権への揺さぶりと対中国軍事政策の真意を観察するためにしばらく続くものと思われると北村氏。
軍事的には、アメリカがこれまでどおりに横須賀やグアムから空母打撃群や駆逐艦、攻撃原潜を南シナ海に送り込むことは「もはや安全とは言えない」というメッセージを米インド太平洋軍や米大平洋艦隊、それに第7艦隊に突きつけていると考えられると。
アメリカ海軍が南シナ海に出入りする際に通過するバシー海峡は、日本にとってはアメリカ海軍などとは比較にならないほど重要な「チョークポイント」。
中東方面そして東南アジアから原油や天然ガスを日本にもたらすタンカーの大半が南シナ海を北上してバシー海峡を抜けて日本に達するエネルギー安全保障の急所なのですね。
したがって、毎日のように台湾ADIZ南部上空に中国軍機が侵入を繰り返している現状は、日本にとっても直接脅威となっている。
まさに台湾の防衛は日本の防衛そのものなのであると北村氏。
中国が台湾に武力侵攻する際には、山脈を超える東側沿岸への攻撃には、東側に艦船が回り込む必要があるとされ、その際尖閣も支配し沖縄の海兵隊への備えも同時侵攻すると言われていることは諸兄がご承知の通りです。
日米の連帯はもとより、英仏独も対中抑止の行動を発表しています。
尖閣の侵略を受けている日本は、先頭にたって、対中抑止の正当性を国際世論に訴え、備えを強化せねばなりませんね。
# 冒頭の画像は、中国軍のJ-16戦闘機

この花の名前は、シャクナゲ
↓よろしかったら、お願いします。







中国海警法の施行に加えて、中国海警局巡視船が尖閣周辺海域へ姿を見せることもさることながら、さらに軍事色が露骨な動きをとっているのは、台湾の防空識別圏(ADIZ)への中国軍機の侵入事案。
尖閣周辺に海警局巡視船がほぼ毎日のように姿を現しているのと同じく、中国軍機がほぼ毎日のように台湾のADIZへ侵入を繰り返しているのだそうです。
揺さぶられるバイデン政権、中国軍機が連日台湾接近 「海峡中線」を露骨に越えてバシー海峡まで飛行 | JBpress(Japan Business Press) 2021.4.8(木) 北村 淳
アメリカでバイデン政権が発足して以来、中国が南シナ海での軍事的優勢確保のための行動だけでなく、東シナ海そして台湾への軍事的圧力を一段と強化している。
本コラムでも何度か触れた中国海警法の施行に加えて、中国海警局巡視船が尖閣周辺海域へ姿を見せるのはすでに常態化している。そして、尖閣周辺よりもさらに軍事色が露骨な動きをとっている。それは台湾の防空識別圏(ADIZ)への中国軍機の侵入事案である。
日常となったADIZ侵入
尖閣周辺に海警局巡視船がほぼ毎日のように姿を現しているのと同じく、中国軍機がほぼ毎日のように台湾のADIZへ侵入を繰り返している。
その狙いは、1つには台湾空軍を毎日のように緊急発進させて疲弊させるという、東シナ海上空で航空自衛隊に対しても実施している、いわゆる出血作戦による対台湾威嚇の一環である。
それとともに、台湾が実効支配を続けている東沙諸島と台湾本島の間の軍事的優勢は完全に中国軍が握っていることを繰り返してアピールして、台湾側の士気を萎えさせようという目論見も含まれている。
ただし、台湾に対する軍事的警告以上に中国側にとって大切なのは、アメリカに対する政治的かつ軍事的警告を発しているという点である。
海峡中線を露骨に越え出した中国軍機
航空機は艦船と違って長時間にわたってADIZ内上空に留まっているわけにはいかない。そのため、中国軍機は侵入するとしばらくADIZ内を飛行して反転帰投するというパターンを毎日のように実施している。
台湾のADIZは中国本土上空にまで広がっているため、何も中国軍機が台湾ADIZに侵入したからと言って本来は騒ぎ立てることではない。しかし、トランプ政権が台湾への軍事的支援を強化する姿勢を見せ始めたのに呼応して、昨年(2020年)から中国軍機が台湾ADIZ内で異例の機動を見せている。台湾海峡における台湾と中国本土の中間付近に暗黙裏に設定されている「海峡中線」(下の地図の黒線)を露骨に越えて台湾側に接近し始めたのだ。
この海峡中線は、1950年代に台湾(中華民国)と同盟関係にあったアメリカによって設定された台湾・中国の境界線である。もちろん「台湾は中華人民共和国の1つの省である」としている中国当局が公式に海峡中線を認めたことはない。だが、中国軍航空機や中国軍艦艇が海峡中線を越えることは、稀な出来事であった。
ところが昨年9月、トランプ政権高官が台湾を訪問して以降、中国軍機が海峡中線を越えて台湾領空に向けて接近するケースが急増した。そして、バイデン政権が発足して以降も、ADIZ奥深く(中国側から見て)まで飛行して、バシー海峡(巴士海峡)に近づき反転するという機動を断続的に毎日のように続けるまでになってしまった(下の地図)。

バシー海峡で待ち伏せする中国潜水艦
この日常的ともいえるようになってしまったバシー海峡接近飛行はY-8対潜哨戒機によって実施されている。ただしアメリカ海軍の動きに合わせて、すなわちアメリカ海軍艦艇がバシー海峡を通過する前後などには、対潜哨戒機だけでなく数機の戦闘機や爆撃機、それに早期警戒管制機も加わわってADIZに侵入し、バシー海峡上空を往復する動きを見せている。


このような中国軍機の動きは、政治的にはバイデン政権への揺さぶりと対中国軍事政策の真意を観察するためにしばらく続くものと思われる。
そして軍事的には、アメリカがこれまでどおりに横須賀やグアムから空母打撃群や駆逐艦、攻撃原潜を南シナ海に送り込むことは「もはや安全とは言えない」というメッセージを米インド太平洋軍や米大平洋艦隊、それに第7艦隊に突きつけていると考えられる。
中国軍が毎日のようにバシー海峡方面上空に対潜哨戒機を飛ばしているということは、バシー海峡方面の海中で待ち伏せする中国海軍潜水艦と連携をとっていることも意味している。第2次世界大戦後期にバシー海峡は、待ち伏せしていたアメリカ潜水艦が多くの日本輸送船を沈めたことから海の墓場と呼ばれていた。そのバシー海峡で、今度は中国潜水艦と対潜哨戒機がアメリカ海軍艦艇を待ち受ける態勢を固めつつあるのだ。
台湾の防衛は日本の防衛
危機を迎えるのはアメリカだけではない。アメリカ海軍が南シナ海に出入りする際に通過するバシー海峡は、日本にとってはアメリカ海軍などとは比較にならないほど重要な「チョークポイント」となっている。すなわち、中東方面そして東南アジアから原油や天然ガスを日本にもたらすタンカーの大半が南シナ海を北上してバシー海峡を抜けて日本に達するからである。
バシー海峡が中国軍にコントロールされる状況になった場合、日本のエネルギー源は途絶してしまう可能性も生じてしまう。したがって、毎日のように台湾ADIZ南部上空に中国軍機が侵入を繰り返している現状は、日本にとっても直接脅威となっている。まさに台湾の防衛は日本の防衛そのものなのである。
アメリカでバイデン政権が発足して以来、中国が南シナ海での軍事的優勢確保のための行動だけでなく、東シナ海そして台湾への軍事的圧力を一段と強化している。
本コラムでも何度か触れた中国海警法の施行に加えて、中国海警局巡視船が尖閣周辺海域へ姿を見せるのはすでに常態化している。そして、尖閣周辺よりもさらに軍事色が露骨な動きをとっている。それは台湾の防空識別圏(ADIZ)への中国軍機の侵入事案である。
日常となったADIZ侵入
尖閣周辺に海警局巡視船がほぼ毎日のように姿を現しているのと同じく、中国軍機がほぼ毎日のように台湾のADIZへ侵入を繰り返している。
その狙いは、1つには台湾空軍を毎日のように緊急発進させて疲弊させるという、東シナ海上空で航空自衛隊に対しても実施している、いわゆる出血作戦による対台湾威嚇の一環である。
それとともに、台湾が実効支配を続けている東沙諸島と台湾本島の間の軍事的優勢は完全に中国軍が握っていることを繰り返してアピールして、台湾側の士気を萎えさせようという目論見も含まれている。
ただし、台湾に対する軍事的警告以上に中国側にとって大切なのは、アメリカに対する政治的かつ軍事的警告を発しているという点である。
海峡中線を露骨に越え出した中国軍機
航空機は艦船と違って長時間にわたってADIZ内上空に留まっているわけにはいかない。そのため、中国軍機は侵入するとしばらくADIZ内を飛行して反転帰投するというパターンを毎日のように実施している。
台湾のADIZは中国本土上空にまで広がっているため、何も中国軍機が台湾ADIZに侵入したからと言って本来は騒ぎ立てることではない。しかし、トランプ政権が台湾への軍事的支援を強化する姿勢を見せ始めたのに呼応して、昨年(2020年)から中国軍機が台湾ADIZ内で異例の機動を見せている。台湾海峡における台湾と中国本土の中間付近に暗黙裏に設定されている「海峡中線」(下の地図の黒線)を露骨に越えて台湾側に接近し始めたのだ。
この海峡中線は、1950年代に台湾(中華民国)と同盟関係にあったアメリカによって設定された台湾・中国の境界線である。もちろん「台湾は中華人民共和国の1つの省である」としている中国当局が公式に海峡中線を認めたことはない。だが、中国軍航空機や中国軍艦艇が海峡中線を越えることは、稀な出来事であった。
ところが昨年9月、トランプ政権高官が台湾を訪問して以降、中国軍機が海峡中線を越えて台湾領空に向けて接近するケースが急増した。そして、バイデン政権が発足して以降も、ADIZ奥深く(中国側から見て)まで飛行して、バシー海峡(巴士海峡)に近づき反転するという機動を断続的に毎日のように続けるまでになってしまった(下の地図)。

バシー海峡で待ち伏せする中国潜水艦
この日常的ともいえるようになってしまったバシー海峡接近飛行はY-8対潜哨戒機によって実施されている。ただしアメリカ海軍の動きに合わせて、すなわちアメリカ海軍艦艇がバシー海峡を通過する前後などには、対潜哨戒機だけでなく数機の戦闘機や爆撃機、それに早期警戒管制機も加わわってADIZに侵入し、バシー海峡上空を往復する動きを見せている。



このような中国軍機の動きは、政治的にはバイデン政権への揺さぶりと対中国軍事政策の真意を観察するためにしばらく続くものと思われる。
そして軍事的には、アメリカがこれまでどおりに横須賀やグアムから空母打撃群や駆逐艦、攻撃原潜を南シナ海に送り込むことは「もはや安全とは言えない」というメッセージを米インド太平洋軍や米大平洋艦隊、それに第7艦隊に突きつけていると考えられる。
中国軍が毎日のようにバシー海峡方面上空に対潜哨戒機を飛ばしているということは、バシー海峡方面の海中で待ち伏せする中国海軍潜水艦と連携をとっていることも意味している。第2次世界大戦後期にバシー海峡は、待ち伏せしていたアメリカ潜水艦が多くの日本輸送船を沈めたことから海の墓場と呼ばれていた。そのバシー海峡で、今度は中国潜水艦と対潜哨戒機がアメリカ海軍艦艇を待ち受ける態勢を固めつつあるのだ。
台湾の防衛は日本の防衛
危機を迎えるのはアメリカだけではない。アメリカ海軍が南シナ海に出入りする際に通過するバシー海峡は、日本にとってはアメリカ海軍などとは比較にならないほど重要な「チョークポイント」となっている。すなわち、中東方面そして東南アジアから原油や天然ガスを日本にもたらすタンカーの大半が南シナ海を北上してバシー海峡を抜けて日本に達するからである。
バシー海峡が中国軍にコントロールされる状況になった場合、日本のエネルギー源は途絶してしまう可能性も生じてしまう。したがって、毎日のように台湾ADIZ南部上空に中国軍機が侵入を繰り返している現状は、日本にとっても直接脅威となっている。まさに台湾の防衛は日本の防衛そのものなのである。
中国の狙いの1つは、台湾空軍を毎日のように緊急発進させて疲弊させるという、東シナ海上空で航空自衛隊に対しても実施していると同様の、対台湾威嚇の一環。
それとともに、台湾が実効支配を続けている東沙諸島と台湾本島の間の軍事的優勢は完全に中国軍が握っていることを繰り返してアピールして、台湾側の士気を萎えさせようという目論見も含まれると軍事社会学者の北村氏。
そして、台湾に対する軍事的警告以上に中国側にとって大切なのは、アメリカに対する政治的かつ軍事的警告を発しているという点であると。
昨年9月、トランプ政権高官が台湾を訪問して以降、中国軍機が海峡中線を越えて台湾領空に向けて接近するケースが急増。そして、バイデン政権が発足して以降、毎日のように続けるまでになってしまったのだそうです。
政治的にはバイデン政権への揺さぶりと対中国軍事政策の真意を観察するためにしばらく続くものと思われると北村氏。
軍事的には、アメリカがこれまでどおりに横須賀やグアムから空母打撃群や駆逐艦、攻撃原潜を南シナ海に送り込むことは「もはや安全とは言えない」というメッセージを米インド太平洋軍や米大平洋艦隊、それに第7艦隊に突きつけていると考えられると。
アメリカ海軍が南シナ海に出入りする際に通過するバシー海峡は、日本にとってはアメリカ海軍などとは比較にならないほど重要な「チョークポイント」。
中東方面そして東南アジアから原油や天然ガスを日本にもたらすタンカーの大半が南シナ海を北上してバシー海峡を抜けて日本に達するエネルギー安全保障の急所なのですね。
したがって、毎日のように台湾ADIZ南部上空に中国軍機が侵入を繰り返している現状は、日本にとっても直接脅威となっている。
まさに台湾の防衛は日本の防衛そのものなのであると北村氏。
中国が台湾に武力侵攻する際には、山脈を超える東側沿岸への攻撃には、東側に艦船が回り込む必要があるとされ、その際尖閣も支配し沖縄の海兵隊への備えも同時侵攻すると言われていることは諸兄がご承知の通りです。
日米の連帯はもとより、英仏独も対中抑止の行動を発表しています。
尖閣の侵略を受けている日本は、先頭にたって、対中抑止の正当性を国際世論に訴え、備えを強化せねばなりませんね。
# 冒頭の画像は、中国軍のJ-16戦闘機

この花の名前は、シャクナゲ
↓よろしかったら、お願いします。



