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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平は英国を絡め取ったのか、英国が中国を使って国際金融の覇権を守るのか

2015-11-09 23:58:58 | 中国 全般
 人民元のIMFのSDR入りが決まりそうですね。日米は、為替変動の完全自由化が条件だと主張してきましたが、欧州勢の支持でSDR入りに傾いているのだと。
 AIIBへの欧州勢の加入といい、チャイナマネーに目がくらんでいる欧州勢の中国へ媚る様は、見苦しさを通り越して、中国の属国化の様相すら帯びてきている様に見えます。
 対中貿易では、人権問題で周回遅れとなっていた英国が、逆にのめり込むようになり、欧州各国が競って中国に媚びを売っている様に見えます。
 しかし、老獪な欧州勢がやすやすと中国に籠絡されるとも思えないのですが、どうでしょう。
 習近平は、米英を分断して英国を絡め取るのに成功したのか、英国が中国を利用して、国際金融の覇権を米国から守れるのかと分析されている記事がありました。どちらが本当なのか、歴史が証明することになりますが、今は混沌として見えてきません。

 
【IMFC終了】中国、人民元のIMF構成通貨入りへ圧力 欧州勢前向き、日米は改革要求 - 産経ニュース
 時事ドットコム:人民元採用、欧州が容認=IMF準備資産、来月判断-国際通貨委
 IMF、中国人民元のSDR採用方向で準備=関係筋 | Reuters
 米国は人民元のSDR採用を支持、ルー財務長官が中国副首相に伝達 | Reuters
 
米英の分断に成功し、英国を絡め取った習近平 人民元の国際化を英国が後押し、日本円はさらに厳しい立場に | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.11.9(月) 加谷 珪一

 
習近平国家主席による英国訪問は、国際政治や国際金融の潮流を変えた可能性がある。
 これまで人民元の国際化は米国主導で進められるというシナリオが濃厚だったが、9月に行われた米中首脳会談では南シナ海問題で合意が得られず、米中間には隙間風が吹き始めている。その間に一気に中国との距離を縮めたのが英国である。

 英国は国をあげて習近平国家主席をもてなし、ロンドン市場を軸に人民元の国際化を進める道筋を付けた。米国は中国と距離を置かざるを得ず、その間に、人民元の国際化は英国主導で進められる可能性が高くなってきた。

 圧倒的なドル覇権が揺らぐ可能性は低いが、国際金融システムの多様化は思いのほか進展するかもしれない。

■米中首脳会談で吹いた隙間風

<中略>

 
ここにうまく割って入ったのが、外交上手な英国である。習近平国家主席は10月19日から23日の日程で英国を訪問したが、英国の歓待ぶりは目を見張るものがあった。

■英国は国をあげて習近平氏を歓待

<中略>

 英国内では対中政策について、賛否両論があったが、最終的にキャメロン首相が選択したのは親中路線であった。中国が設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に先進国として真っ先に参加を表明、オズボーン財務相は9月に訪中し、今回の首脳会談に向けてビジネス面での地ならしを続けてきた。首脳会談後の記者会見で習氏は「英中両国は黄金時代を迎えた」とまで発言
している。
 確かに原発プロジェクトの締結など、大きな商談がまとめられた今回の首脳会談だが、習氏に
そこまで言わしめるほどの成果というわけでない訪英の最大の成果は別なところにある
と見るのが自然だ。おそらくそれは、ロンドン市場を通じた人民元の国際化だろう。

■英中接近の最大の理由は人民元の国際化
 中国は、諸外国から大国として処遇されることを強く望んでいるが、そのためにはどうしても乗り越えなければならないカベがある。それは人民元の国際化である。
 中国は、人民元の為替相場を一定の範囲内でコントロールする「管理変動相場制」を導入しており、為替レートは事実上、中国人民銀行による管理下にある。中国人民銀行は今年8月、突如、対ドル為替レートの「基準値」を引き下げ市場に衝撃を与えた。
 中国が為替レート切り下げに動いた目的は、大幅な落ち込みが続く輸出を支援し、景気失速を最小限にとどめることである。ただ、このタイミングで切り下げを実施した背景には、もう少し複雑な事情があると考えられる。それは
人民元の「SDR」(特別引出権)採用問題
である。
 中国はIMF(国際通貨基金)のSDRを構成する通貨に人民元が採用されることを望んでおり、
SDRへの採用を通じて人民元の国際的な地位を高めたいと考えている。
<中略>

 しかし、SDRに採用されるためには、その通貨が国際的な信用を得ていることに加え、自由に取引できる環境が必要となる。いざという時に自由な取引ができない通貨は、決済手段としての信用力に欠けるからだ。

<中略>

■ロンドンはNYをはるかに凌駕する国際金融センター
 今回、英中両国は、中国本土と香港以外では初めてとなる人民元建ての国債をロンドンで発行することについて合意した。また、同じタイミングで、IMFがSDRへの人民元の採用に向けて最終調整に乗り出したとの報道が出ている。
 これは筆者の想像になるが、オズボーン財務相が9月に訪中した際、ロンドン市場を通じた人民元の国際化スキームについて、突っ込んだ話し合いが持たれた可能性が高い。今後は、ロンドン市場を通じて人民元の国際的な取引が拡大していくことになるだろう。
 この動きは、
これまで米国主導で行われると考えられてきた人民元の国際化シナリオが大きく変化したことを意味している。また、ドルを中心とした国際金融システムの秩序にも、相応のインパクトを与える可能性が高い。というのもロンドンは、圧倒的な為替取引のシェアを持つ、世界最大の国際金融センターだからである。
 現在、世界の金融市場は米国主導で作られており、為替取引もニューヨーク市場が中心というイメージがあるが、現実は異なる。ロンドン市場における外国為替取引は、1日あたりの平均で約2兆7000億ドル(約324兆円)の規模がある。ニューヨーク市場は1兆3000億ドル、東京市場は3700億ドルなので、ロンドン市場はニューヨーク市場の約2倍、東京市場の約7倍の大きさである。ロンドン市場は全世界の為替取引の4割ものシェアを占めており、英国は依然として為替取引において圧倒的な地位にある。
 米国と中国は、これまで「米中戦略対話」を何度も実施し、人民元の国際化について議論を続けてきたが、その狙いの1つは人民元取引の獲得であった。だが、
人民元の国際化がロンドン市場を通じて行われるということになると、米国の描いたシナリオは崩れ去ってしまう


■英中の接近はまるでニクソン訪中
 
金融覇権というものを考える際には、決裁金額のシェアに目が行きがちである。国際取引における決裁シェアの拡大はもちろん重要なファクターだが、それだけでは不十分
である。
 中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じて、アジア圏内に人民元の経済圏を拡大しようとしており、日本国内にはこうした動きに対抗すべきという論調がある。確かに中国がこうした開発金融機関をアジア圏内に設立し、途上国支援を活発化すれば、見かけ上の決裁シェアを拡大させることができる。
 だが
通貨としての地位は、大型案件の決裁に使われたかどうかだけでは判断できない日常的に多額の取引が行われ、高い流動性を確保していることが何よりも重要
となる。地政学的な色彩の濃い開発金融機関において多額の融資を実施することも重要だが、グローバルな金融市場で日常的に取引が行われ、高い流動性を確保していることの方が、通貨としての価値はずっと高くなる。
 
その点において、今回、英中が接近した意味は極めて大きい。
これまで絵に描いた餅に過ぎなかった人民元の国際化が、ロンドン市場という突出した国際金融センターのインフラを通じて実現できる可能性が高まってきたからである。
 ニクソン政権時代、米国は旧ソ連を封じ込めるために共産圏の分断を画策、電撃的に中国と国交を回復し、これが最終的に旧ソ連崩壊につながった。
今回は、中国が米英の分断を画策し、英国はこのスキームに乗った
格好だ。水面下で交渉の実務を取り仕切ったオズボーン財務相は、かつての周恩来首相といったところだろう。
 実際、英国メディアでは、今回の英中接近をニクソン訪中になぞらえる報道が見られる。安全保証問題では中国と対立しつつ、これを交渉材料に有利な形で人民元を取り込むことを狙っていた米国としては、大きな失態である。

 今回の英中接近で、AIIBの実現可能性はさらに高まったとみてよいだろう。アジアにおける日本円はさらに厳しい立場に追い込まれるかもしれない。


 英中の接近は、独、仏の中国接近に対し、人権問題へのこだわりで周回遅れになり、挽回をはかろうと、ウィリアム王子と企業集団で訪中するなど、焦りの色を見せる英国を籠絡して、米英の分断と両得を得ようとし、更には欧州各国に対中貿易の競争心を煽ろうとする中国の戦略に、英国が籠絡されたものとの見方が一般的です。
 かつてニクソン大統領が、中国とソ連との分断作戦を謀り、中国の周恩来を電撃訪問し、ソ連の崩壊への口火を切ったように、習近平が英国を訪問して、米英や欧州各国の分断をしようとしていると。

 しかし、それは二の次の問題で、世界の金融覇権争いが本命だという説です。
 現状では、ニューヨークとロンドンで覇権争いをしていて、ニューヨークがリードしている様な印象ですが、1日あたりの為替取引は、ロンドンが約2兆7000億ドル、ニューヨークが1兆3000億ドル、ちなみに東京は3700億ドルで、ロンドンはニューヨークの倍以上の実績なのですね。
 英国は、この圧倒的な地位を守りたい。従って、中国と手を結んで、ニューヨーク市場の追撃を阻みたい。そのためには、人民元のSDR参入を米国の主導ではなく英国主導で実現させたい。
 英国と中国の、金融覇権への思惑が、現時点では対米戦略で一致しているのですね。勿論、中国は世界の覇者になりたいのですが、それは隠して、まずはSDR参入を目指し、英国をてなずけたのですね。
 中国も英国も、相手を利用したつもりですが、双方が覇権を狙っているのですから、いずれ勝敗を決する時がきます。
 勿論、互いに自分が勝者になると考えての、当面の対米共同戦線なのですね。

 しかし、自由化されず政府が管理する中国の為替相場。有利なハンディを持つ形での参入は、英米を駆逐する可能性があります。
 日米や少し前までの欧州各国も、SDR入りには、完全自由化を条件としていました。正当な考えです。
 それが、元の参入承認に傾いてしまい、最後の砦の日米のうちの米国もぐらつき始めています。
 麻生氏まで、「信頼できる通貨が増えることは決して悪いことではない」と言いだす始末。
 
麻生財務相、人民元のSDR入り「悪いことではない」  :日本経済新聞

 日米が主張を偏向した理由が判りませんが、習近平の思う方向に流れている様です。自由主義経済の柱のひとつの為替相場の自由で安定した取引が、政府が管理して互いが争う取引へ変わって(戻って?)しまう流れです。
 これでいいのでしょうか?



 # 冒頭の画像は、共同記者会見に臨むキャメロン首相と習近平




  この花の名前は、福寿草

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