中国企業過去最大のM&Aに、カナダ政府が待ったを！

　カナダ・ハーパー政権は、新興国に資源権益の売り込みをしているのだそうですが、カナダ石油大手・ネクセンの中国・中国海洋石油による買収に議会や自治体から批判が噴出し、買収の承認を白紙に戻す可能性に言及しているのだそうですね。
　

「中国の買収」に批判噴出　カナダ石油大手　議会や自治体が危機感、計画白紙も　（10/11 産経）

　【ワシントン＝柿内公輔】中国の国有企業によるカナダ石油大手の買収計画が宙に浮きかけている。新興国へ資源権益を売り込むハーパー政権に対し、議会や自治体から批判が噴出。中国企業の北米資源への食い込みを警戒する米国でも慎重論が高まる中、買収計画の頓挫や見直しにつながる可能性も出てきた。
　論議を呼んでいるのは、中国海洋石油が７月に発表したカナダ企業ネクセンの買収計画。買収総額は１５１億ドル（約１兆１９００億円）で、中国企業で過去最大のＭ＆Ａ（企業の合併・買収）としても話題を集めた。

　しかし、ハーパー首相は４日、「この案件は難しい政策上の問題を提起した」とした上で、「われわれは一般に外国投資を歓迎してきたが、拒否したこともある。カナダにとって純粋に利益になるかどうかで判断する」と述べ、ネクセンの身売りが白紙に戻る可能性に言及した。ネクセンのレインハート最高経営責任者（ＣＥＯ）も「国益の観点から議論を尽くすことは健全だ」としている。
　ハーパー政権は、米国に依存してきたカナダ産石油の売却先を新興国にも広げる政策を推進。ネクセンの身売り計画もその一環だが、野党新民主党は「中国がカナダの天然資源を買い占めるのを容認するのか」と政府を批判し、ハーパー首相に買収計画への拒否権発動を要請した。
　同党のマーティン下院議員は、衣料品やハイテクで中国に雇用が奪われているとも指摘し、買収を承認すれば「国家への反逆だ」と語気を強める。首相の属する保守党にも同調する声が上がり始めた。
　米ブルームバーグによると、ネクセンが鉱区を保有するアルバータ州のレッドフォード首相も、ハーパー政権に対し、買収を承認する前に、雇用水準を最低５年間は維持するなど厳しい条件を中国海洋石油に突きつけるよう要請した。
　ネクセンが多くの権益を保有し、株式上場する米国でも、民主党の有力議員が買収計画の阻止を政府に働きかけている。
　一方、中国側は雲行きの怪しさに危機感を抱き、「カナダ当局が公平で客観的な判断を下すよう望む」（陳徳銘商務相）と牽制（けんせい）を強めている。カナダのオリバー天然資源相は８日、審査を１０月半ばに終える方針を示したが、先送りの可能性も示唆した。騒動の大きさに難しい判断を迫られそうだ。

　ネクセンが権益を保有しているとはいえ、米国議員が隣国企業の買収阻止に動くというのは、それだけ中国企業への警戒心が強い表れですね。
　米国では、過去に何度も中国企業による進出を阻止してきていて、最近でも航空機メーカーのホーカー・ビーチクラフト社買収への裁判差し止め請求や、風力発電所建設を計画する米４社の買収に対するオバマ大統領による差し止め命令が注目されていました。
　中国系企業による風力発電買収阻止　米大統領　：日本経済新聞

　カナダ政府が石油の売却先の米国依存から脱するために販路を広げたい意思はよく理解できますが、資源権益を新興国に積極的に売り出しているというのは何故なのでしょう。
　シェールガスの日本企業との開発提携や、LNGの売り込みはあり、日本にとっても新規エネルギー購入先の増加は歓迎すべきことです。
　ネクソンの買収も、円高の日本が名乗りを上げてもいいのかとも思われますが、1兆円を超すM&Aが出来る企業はない？

　米国には「エクソンフロリオ条項」があり、議会の国益を護る意識は米国、カナダ共に強いのですが、振り返って日本を観ればどうでしょう。
　尖閣の国有化云々もさることながら、水源地や基地周辺地の買い占めを自治体任せにするのではなく、国の法律に基づく関与の強化が必要ですし、Ｍ＆Ａについても監視が必要でしょう。
　中国企業による海外企業買収事例一覧 - entrance for studies in finance blog edition

　
　# 　冒頭の画像は、今年2月に訪中したハーパー大統領



　　この花の名前は、バイカイカリソウ　　　撮影場所；　六甲高山植物園


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