Entrance for Studies in Finance

中国企業による海外企業買収事例一覧

中国では2000年頃から走出去(外に打って出る)を掲げ、国内企業の対外進出を政府が支援推進している。最近では外貨準備の増勢を抑える意味合いも加わっている。
2008年の海外直接投資額は559億1000万ドル 07年の2.1倍 
なお2009年7月の外貨管理規制緩和。海外の利益をそのまま海外で再投資できるようになった。
参考 CITIC(中国系投資ファンド) 投資事例 

日本企業買収提携事例
2010年7月 中国繊維大手 山東如意科技集団(山東省 邱亜夫董事長) 東証一部 アパレルメーカー、レナウン(東京都 北原稔社長)の第三者割当増資で同社株式の41%を取得
2010年6月 東山フィルム(ポリエステルフィルム加工に強い)に対してCITICが投資、事業承継。
2010年4月 中国大手自動車メーカー 比亜迪(BYD 広東省 王伝福総裁 王氏は、米経済誌フォ-ブスによる2009年中国大陸出身者富豪番付で資産額396億元で首位 2009年に約49万台を販売 中国の乗用車でシェア6位 1995年設立の民営企業 もともとは電池メーカー 携帯電気用2次電池では世界的大手 2003年に国有工場買収して自動車事業参入) 日本の金属大手オギハラ(群馬県太田市)の館林工場(車体を構成する鋼板金型を製作)を買収  
2010年2月23日 ゴルフクラブの本間ゴルフ(東京都港区)をマーライオンホールディングス(北京の投資会社科端集団などが出資)が取得へ 出資2010年6月
 2005年6月 民事再生法申請
 2006年6月 日興アントファクトリー(現アントファクトリーパートナーズ)などがスポンサーになる
2010年6月 マーライオンHDが買収(株式の過半を取得するも経営はアントが続ける)
2010年1月4日 北京宇信易誠科技公司(ユーチュンテクノロジーズ)はNTTデータと合弁で天津市に宇誠聯融数据公司(資本金6000万元 8.4億円 出資比率49%-51%)を2010年2月上旬に設立。クラウド型のネットバンキングサービスを現地金融機関に提供へ。
2010年1月1日 中国最大の小売グループ全国華聯商厦集団(天津市)が携帯電話向けサイト構築大手のインデックスと提携(ネット上のショッピングモールの運営など)へ。
2009年12月16日 自動車部品メーカー寧波韻昇(浙江省 オルゴール製造で世界首位 上海証券取引所上場)が、いすず自動車系自動車部品(電装品)の日興電機工業(神奈川県秦野市 99年に会社更生法適用申請 上場廃止 2001年大和PIが出資)の発行済み株式の79.13%を11億7000万円で買収を発表(大和PIが仲介 取得は2010年1月下旬)
2009年12月16日 家電販売最大手 蘇寧電器(江蘇省南京市)がパイオニア(中国でのブランドは先鋒)と戦略提携契約書に調印。
2009年11月初 IT最大手聯想控股グループ(傘下にはパソコン大手レノボG、システム構築の神州数碼控股デジタル・チャイナ)がシステム開発のSJI(ジャスダック上場)を傘下に入れる決定
2009年6月24日 家電量販大手(国美電器と2強 国美電器は2008年秋に創業者が相場操縦容疑で逮捕され失墜 2009年中国チェーンストア売上高ランキングでは首位)の蘇寧電器集団(江蘇省南京市 孫為民総裁 張近東董事長 6月20日に28億元=394億円の第三者割当増資実施)が日本のラオックス(山下巌社長 09年3月期まで8期連続の最終赤字で経営再建中)の筆頭株主になると発表 蘇寧電器などを引受先に15億円前後の第三者引受増資を実施(8月に出資完了) 発行済み株式の27.36%が蘇寧電器(5730万元=8億円) 日本式経営ノウハウや日本の商品情報の入手が目的とされている。
2008年11月 伸和精工(長野県箕輪町 精密プレス部品加工)に対してCITICが投資 事業承継 
2008年4月25日 スポーツウエアのフェニックスを中国動向集団が買収 フェニックスは2004年に産業再生機構入り その後オリックスGが100%出資。中国動向集団は新株取得の形で5億円出資。債務は1円で継承。
2006年9月 鳴海製陶のMBOを中国系ファンドのCITICが支援
2006年8月 太陽電池大手 尚徳太陽能電力(サンテックパワーSuntech Power Holdings Co.江蘇省無錫市)による太陽電池モジュールメーカーMSK(本社 東京)買収。最大3憶米ドル(345億円)。この買収は中国企業によるこの時点での最大規模の日本企業買収として注目された。販路や技術情報の取得が目的とみられる。翌年(2007年)3月末で福岡工場閉鎖(その後の福岡工場は従業員による買収EBOのモデルケースとして注目された)。
2005年9月 ポッカのMBOを中国系ファンドのCITICが支援
2004年8月 大手機械メーカー上海電気集団総公司による工作機械メーカー池貝(茨城県玉造町 資本金1000万円 明治22年1989年創業 国産初の旋盤を作った老舗工作企業メーカー 発電用タービンや鉄道車両を加工する大型工作機械が得意 工作機械やプラスチックなどを成型する押し出し機が主力)買収。4000万に増資して3000万を出資とされていたが実際は新資本金4憶9000万円でスタートした。
 2001 民事再生法申請 国内スポンサー探すもみつからず
 2005年に上海に中小型工作機械製造拠点。
 120人ほどに一度縮小した従業員は中国50人 日本で200人まで回復。
2004年7月 シンクのMBOを中国系ファンドのCITICが支援
2003年10月 大手医薬品メーカー三九企業集団(広東州シンセン市)による東亜製薬(富山県上市町)買収。三九企業集団は2002年10月には日本の大手ドラッグストアのハックキミサワ(2003年8月にCFSコーポに商号変更)と提携。2003年10月からイオンG系のウエルシアストアーズ(CFSコーポ含む)と連携している。しかし三九集団は業務多角化が行き過ぎその2003年末に債務超過に陥った。2004年に債務再編を開始した。2007年末に香港の華潤集団に買収されて、現在では中国の国営企業ではなくなるという複雑な変遷を経ている。
2002年2月 大手機械メーカー上海電気集団総公司による印刷機製造メーカーアキヤマ印刷機(2001年3月倒産)の営業権取得。アキヤマインターナショナルとしての再スタート。

海外企業(日本企業以外)買収事例
2009年12月23日 ボルボの吉利への売却で基本合意成立と米フォードが発表している。この合意により中国自動車産業の国際的存在感が一段と高まると評価されている。吉利による一連の買収は、中国企業による海外買収の成功例になるのではとの指摘がある。
2009年12月 吉利、米自動車部品ジョンソン・コントロールズと環境対応車開発などで合意
2009年12月14日 北京汽車工業控股、GM傘下のサーブから一部設備と知的財産権買取で合意発表(なお自動車最大手の上海汽車も買い取りで交渉したとされる)
2009年11月 北京京西重工、米デルファイからブレーキ事業などを買収
2009年10月28日 大手民営自動車の吉利汽車を傘下にもつ浙江吉利控股集団による米フォード傘下の高級車「ボルボ」(スウエーデン)買収での優先交渉権獲得が発表された。買収額(メデア推定)は約20億ドル(約1840億円)。
2009年10月9日 重機中堅の四川騰中重工機械などによる米GMの大型車ブランド「ハマー」買収についての最終合意が発表された。売却額(メデア推定)は約1億5000万ドル(約135億円)。対象はブランド、知的財産権、デーラーとの契約など。
2009年6月24日 スイスの石油会社アダックス(シリア、イラク北部などで採掘権保有)、中国石油工集団(SINOPEC)による買収受け入れを発表 買収金額82.7億カナダドル(72.4億米ドル、約6900億円)で中国企業による買収として過去最大
2009年6月5日 中国アルミ(チャイナルコ)によるリオティントへの追加出資白紙に。中国企業による買収にオーストラリアで警戒感高まる。リオティントはBHPビリトンとの合弁事業を発表。
2009年6月 浙江吉利控股集団、オーストラリア自動車変速機メーカーDSI(2009年2月に経営破たん)を買収 買収額は7000万豪ドル(約50億円)
2009年6月17日報道 浙江吉利控股集団、ボルボ買収でフォードと暫定合意(なおボルボにつては北京汽車工業も関心示す)
2009年5月18日 中国五鉱集団によるオーストラリアのOZミネラルズ買収を中国国家発展改革委員会が承認。その後、6月11日OZミネラルズの株主総会が承認して確定。買収額は13億8600万ドル(約1357億円)。
2009年2月12日 中国アルミ(チャイナルコ) 英豪系リオ・ティントに195億ドル(約1兆7550億円)追加出資で合意。出資比率9.3%から18%へ。
2008年12月15日 中国石油化工(シノペックSINOPEC)によるカナダのタンガニーカ(エジプト、シリアで石油権益保有・採掘)買収を国務院が承認。買収額約130億元(約1900億円)。
2008年7月11日 大手資源商社 中鋼集団によるオーストラリア資源会社ミッドウエスト(オーストラリア西部の鉄鉱石鉱山の開発進める 2006年2月生産開始 全量を中国に輸出)に対する敵対的TOB成立(50.97%) 。2007年12月 買収提案。2008年2月 拒否回答。2008年3月14日 敵対的TOB実施発表。
2005年 中国海洋石油総公司(CNOOC) 米石油大手ユノカルの買収に動くも失敗
2005年 レノボグループ(北京市)が米IBMのパソコン事業を12億5000万ドルで買収

参考文献 金山隆一「中国資本に買収された企業の『順調なその後』」『エコノミスト』2010年11月2日, p.24

originally appeared in Dec.2, 2009.
corrected and reposted in October 29, 2010.
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