遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本の防空能力が低下

2007-07-29 10:30:08 | EEZ 全般
 国防白書は、「現代戦においては、航空作戦は戦いの勝敗を左右する重要な要素となっており、陸上・海上作戦に先行または並行して航空優勢を獲得することが必要である。」とし、周囲を海に囲まれたわが国では、国土からできる限り遠方の空域で迎え撃ち、敵に航空優勢を獲得させず、国民と国土の被害を防ぐとともに、敵に大きな損害を与え、敵の航空攻撃の継続を困難にすると、防空の重要性を述べています。
 国防白書/第III部 わが国の防衛のための諸施策  1 防空のための作戦

 防衛省は、平成20年代半ばから退役するF4EJ戦闘機(91機)に代わる、次期主力戦闘機(FX)を、F-22Aラブターなどに絞り込み、米国に情報提供を依頼していました。
 米国の次期主力戦闘機となるF-35の開発が遅れていることと、イージス艦情報の漏洩他のセキュリィティ管理体制を問われる日本に対して情報提供がなされるか、米議会の法改正が注目されていましたが、情報提供の禁止は継続されることが、25日、下院歳出委員会で決定されました。

 政府は現行の中期防衛力整備計画で、FXを当初 7機調達するとしているのだそうで、防衛省は、21年度予算の概算要求に盛り込むため、機種の選定時期を来年夏までとしていました。
 F-22Aラブターは、米国としても量産効果でのコストダウンや増販のため、日豪などへ販売したい意向もあるのですが、情報が得られなくなったのは、日本の情報セキュリィティ管理体制が原因です。
 「軍事情報一般保全協定(GSOMIA)」を結んでも、新たな国内法の改定は必要ないと嘯く政府関係者が大多数の国では、いかに日米安保条約が重要とはいえ、最先端技術の提供に踏み切れないのではと危惧していましたが、やはりそうかといったところですが、とても残念です。
 防衛省は28日、イージス艦中枢情報流出事件がFX選定問題に波及し、日米同盟に実害を生じたことの教訓から、「情報保全隊本部」の設置方針を固めたとのことですが、来年 4月以降の話のようです。

 中期防衛力整備計画では、時期輸送機(CX)の調達も計画していました。
 しかし、FXの導入計画の狂いから、CXの調達を見送ることにせざるを得なくなりました。
 理由は、中国が戦闘機の近代化を量・質ともにすすめていて、周辺空域への侵犯も多く、制空権を確保するためには、現有のF4EJの耐用年数延長や、F15のレーダーや電子機器の高品質化の改修が必用で、限られた予算の中でこちらを優先する為です。
 F15の改修は、領空侵犯に備えるため、中期防衛力整備計画ではもともと計画されているのですが、07年度予算では計上が見送られ、改修が遅れています。

 竹島周辺の制空権は、韓国のF15Kに奪われ、ロシア制最新鋭戦闘機「スホイ27」「スホイ30」を多量に導入した中国は、日本の領空侵犯を頻繁に行っています。
 ロシアを含め、これらの国々
から、国防のための制空権を維持するには、もうひとつのFX候補機種で、それらと同等品質のF15Xより、品質が上回るF22による、量に質で対抗する戦略なのですが、前に進めることが出来ず、日本の防空能力の低下が進むこととなります。

 海自ではヘリコプター搭載型護衛艦(DDH)「はるな」などの老朽化にともない、護衛隊群旗艦能力を発展させた次期DDHの導入を進めていましたが、戦後初の実質ヘリ空母が、来月23日、横浜で進水式を迎えるのだそうです。
 艦首から艦尾まで滑走路上の飛行甲板を備え、艦橋は右舷側に配置されていて、航空母艦と同じ形をしていて、同時に4台のヘリの離発着が可能なのだそうです。
 対潜水艦作戦を強化するのが目的ですが、ヘリ甲板が広いことから大規模災害時の洋上ヘリポートとしての運用も可能で、国際緊急援助活動や海外からの邦人輸送任務にも対応できるそうです。
 新型ヘリコプター搭載護衛艦で、実質的な戦後初のヘリ「空母」


 この様に予算のやりくりで、遅れながらも実現されている計画もあります。
 中長期の国を護る計画がしっかり検討され、すきあらば侵略を図ろうとする近隣各国への抑止力充実が必用です。
 話を元に戻すと、ヘリ空母も制空権があってこそ活動できるのですから、近海の空を護るFXの導入は急がねばなりません。米国の空母や、米国が配備する戦闘機に頼ってばかりいると、ラオス少数民族モン人の様に、利用価値が無くなると手のひらを返して逆に抹消対象とされてしまいます。
 台湾も日本も、米国の対中政策の中で翻弄されはじめています。
 (陳総統の訪米の米国の反応内容、下院の日本に関する決議)

 米国は、日本にとっては数少ない同盟国で、経済も、安全保障もすっかり依存していますが、パートナーとしてつきあう魅力(経済が強い内はそれができた)を持たねばなりません。 

 遊爺雑記帳 次期戦闘機F22は、導入出来るのか?
 遊爺雑記帳 上兵は謀を伐つ、次は交を伐つ
 欠陥機部隊は撤退せよ / 沖縄タイムス社説 2006.1.18



 

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たかられる大国・日本―中国とアメリカ、その驚くべき“寄生”の手口

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2 コメント

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ラプター飛来せず。 (菅野重工業)
2007-07-29 23:11:14
TBありがとうございました。それにしてもラプターの対日輸出が解禁に
至らなかったことも、FXの選定延期に伴いCXの調達が影響を受けた
ことも残念に思う次第です。製造元のロッキード・マーティンはライン維持
や量産によるコストダウンを考えてロビイングを行った模様ですが、結果
的には今回は駄目だった訳です。自衛隊の情報管理の甘さも影響を
与えましたが、中国や韓国に配慮したという面が大きいという話です。
F-15の改修にも1機あたり15億円程度が必要だと新聞で見ましたが、
それはまだしも正直F-4ではアップデートしても厳しいので退役が望ましい
と思う所です。こうなってくるとF-2の時に純国産を貫いておくべきだった
のではないかと思えてきます。防衛省は実験機を作る意向ですが、当然
ながら一朝一夕で追いつけるものでは無いことは明らかです。やはり
おんぶに抱っこという状態ではこのような状況に際しては脆さを露呈して
しまう所です。日米同盟があるにせよ日本独自でも継続的な技術開発は
行うべきでしょう。
返信する
Re: ラプター飛来せず。 (遊爺)
2007-07-30 23:11:03
菅野重工業さん、コメントをありがとうございます。

> 残念に思う次第です。

  国防総省のローレス前副次官の意見より、国務省のヒル次官補の意見が通ったのですね。米朝二国間協議の担当者が登場してきたのには、驚きました。
 アメリカ太平洋軍のキーティング司令官も反対派で、小池大臣も面談し支援を依頼したようですが現場から反対される様では話になりませんね。

> 日米同盟があるにせよ日本独自でも継続的な技術開発は行うべきでしょう。

  全く同感です。
 日本独自のステルス技術の開発、国産ジェット旅客機の開発、国産CX(エンジン調達では商社のお家騒動に巻き込まれてしまっている情けない状況ですが)の開発が成功して欲しいものですね。
  F-2は、零戦、隼の復活と期待され、B-787の利点の主要因を産みだした炭素繊維をいち早く導入したのでしたね。不具合の改善を、付け焼き刃の対策で凌いだのが、生産中止の主要因といわれていましたね。
 仰るとおり、本腰を入れて改善していたら、貴重な技術習得が出来ていたと、悔いが残りますが、貧すれば鈍するで、予算が苦しくマイナスのスパイラルにはまっています。

 余談ですが、今度の選挙結果では、ますます先があんじられます。(涙)

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