日米首脳の対面による会談が、日本時間17日午前に行われ、共同声明が発表されました。
対面会談のトップに日本が選ばれたのは、日本側の要請もさることながら、急を告げる台湾情勢で、米国として日本の対中姿勢を正すことがあると言われていましたが、その予想通りの内容だった様ですね。
尖閣諸島に侵略を得スカレーされている日本にとっても、台湾への中国の侵略は、関連する問題でもあり、日米同盟の絆の強化は、両国の優先課題でもあります。
そしてそこには、果たすべき役割も増してくる。
「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題した共同声明の最も注目される点は、台湾海峡について「平和と安定の重要性を強調する」と明記された事。
日米首脳間の文書に「台湾」が記されるのは1972年の日中国交正常化の前の69年以来およそ半世紀ぶりのことなのだそうです。
「ひとつの中国」は、国共内戦で、日本と戦っていた国民党軍から政権を横取りした共産党軍の悲願であり、表立って台湾に言及することはタブー視されてきていました。
それを破って、蔡氏を総統の名で呼んだのはトランプ前大統領。
バイデン政権も、先の「日米2+2」で姿勢が示されていましたが、台湾擁護姿勢を打ち出しており、対中姿勢で煮え切らない日本に喝を入れたといったところ。
それが、日本の首相を直接対話のトップに急ぎ選んだ米国側の意図。
日本は主要7カ国(G7)で唯一、対中制裁を科していない。
菅首相は記者会見で日本の立場や取り組みをバイデン氏に伝えたと説き「理解を得られたと考えている」とも表明したのだそうですが。。
また、共同声明で米国の「核を含むあらゆる種類」の能力を用いた日本防衛への揺るぎない支持を明記したのだそうです。
日米安全保障条約5条が沖縄県尖閣諸島に適用されると再確認し「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対」と足並みをそろえたと。
菅政権が事ある毎にしつこく日米安保5条に拘るのは、オバマ政権後期はパンダハガー姿勢が強まり、その時の副大統領がバイデン氏であり、パンダハガー姿勢をリードし、二国間の領土争いには関与しない米国の基本姿勢を貫き、日米安保5条は無視するスーザン・ライス氏が、上院認証を不要とする役職の形で入閣していることにもよるのでしょうか。(組閣時には、上院の過半数は共和党が死守する情勢だった。)
しかし、日米安保5条には、施政権を保っている事(実効支配している事)の条件が付いていることは、諸兄がご承知のことで、中国が尖閣への侵略をエスカレートさせている由縁でもありますね。
しかも中国は、国際法は無視した「海警法」を施行、先手を打ってきています。
菅首相は日本の防衛力を強化する決意を伝え、米軍普天間基地の移設を着実に推進すると申し合わせたのだそうですが、日本の奮起と負担が要求されてきますね。
専門家の評価を日経が報じています。
日米の共同声明は踏み込んだ内容だ。共同声明で触れた台湾海峡の平和と安定の問題は、今後の中国の出方次第で日本経済にも影響を及ぼしかねない。
米中両国と経済的には良好な関係で付き合っていきたい日本にとって、しばらくは難しいかじ取りを迫られる。
との岩下真理 大和証券チーフマーケットエコノミストの論評。
中国の南シナ海における海洋権益の主張と行動を「不法」と言い切っている。日本のトップがここまで表明するのは初めてではないだろうか。日中関係のモードが変わったとの松田康博 東大教授の、媚中二階氏の影響力低下も連想させる論評。
人と対面で会いたがらないバイデン氏が会いたいというのだから、よほど日本側に伝えたい話題があるということだ。会談後の会見でバイデン氏が優先して触れた、新型コロナワクチンでの協力、温暖化対策、そして人権の3つについて、「日本もしっかり取り組んでほしい」と呼びかけているとの横江公美 東洋大教授。
それらが注目されます。
民主党政権も、日本への役割分担と負担を求めてくることは諸兄がご承知の通り。
新型コロナの中国での蔓延で、サプライチェーンの中国依存度が、医療関連製品、住宅関連備品や自動車部品に至るまで影響を受け、生活の安全保障にも影響を及ぼし、脱中国や国内回帰を迫られた産業界。
喉元すぎればなんとやらが日本民族の特技。
経済重視で、米中双方に媚びようとする日本の経済界。
バイデン氏が、面談相手のトップに日本を選んだ理由は何か。横江公美 東洋大教授のご指摘を、菅首相、二階幹事長は胸に刻んでいただきたい。
# 冒頭の画像は、会談後の記者会見に臨んだ菅首相とバイデン大統領
この花の名前は、コンポルブルス・サバティウス
↓よろしかったら、お願いします。
対面会談のトップに日本が選ばれたのは、日本側の要請もさることながら、急を告げる台湾情勢で、米国として日本の対中姿勢を正すことがあると言われていましたが、その予想通りの内容だった様ですね。
尖閣諸島に侵略を得スカレーされている日本にとっても、台湾への中国の侵略は、関連する問題でもあり、日米同盟の絆の強化は、両国の優先課題でもあります。
そしてそこには、果たすべき役割も増してくる。
日米声明「台湾海峡」明記 初の会談、中国の威圧に反対: 日本経済新聞 2021年4月17日
【ワシントン=重田俊介】菅義偉首相とバイデン米大統領は16日午後(日本時間17日午前)、ホワイトハウスで初めて会談した。両首脳は日米同盟の結束を示す共同声明をまとめ、中国が軍事的圧力を強める台湾海峡について「平和と安定の重要性を強調する」と明記した。「両岸問題の平和的解決を促す」との文言も入れた。
両首脳は「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題した共同声明をまとめた。外務省によると日米首脳間の文書に「台湾」が記されるのは1972年の日中国交正常化の前の69年以来およそ半世紀ぶり。
両首脳はまず通訳のみを交えて20分ほど話し、少人数と拡大会合を含め2時間半程度、協議した。バイデン氏は初めて対面で会う首脳として首相を選んだ。首相はバイデン氏の早期訪日を要請した。
対中国の戦略を擦り合わせた。首相は会談後の共同記者会見で「東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、地域の他者に対する威圧に反対することで一致した」と述べた。バイデン氏は「我々は21世紀に民主主義が勝利すると証明する」と強調した。
台湾への言及の背景には有事への懸念が高まっている状況がある。日米が結束して中国の行動に反対する姿勢を明確に示す必要性があると判断した。香港と新疆ウイグル自治区の人権状況を巡り、共同声明で「深刻な懸念を共有する」と表現した。
「日米両国は中国との率直な対話の重要性を認識する」とも盛り込んだ。「直接懸念を伝達していく意図を改めて表明し、共通の利益を有する分野に関し、中国と協働する必要性を認識した」と表記した。
日本側は主要7カ国(G7)で唯一、対中制裁を科していない。首相は記者会見で日本の立場や取り組みをバイデン氏に伝えたと説き「理解を得られたと考えている」とも表明した。
首相は記者会見で「日米同盟の重要性がかつてなく高まっている」と指摘した。バイデン氏も「日本の安全保障を鉄壁で守ることを確認した」と語った。
共同声明で米国の「核を含むあらゆる種類」の能力を用いた日本防衛への揺るぎない支持を明記した。米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が沖縄県尖閣諸島に適用されると再確認し「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対」と足並みをそろえた。
首相は日本の防衛力を強化する決意を伝えた。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設を着実に推進すると申し合わせた。
バイデン氏は冷え込む日韓関係の改善を望んでいる。会談では、北朝鮮への対応で日米韓3カ国が協力する重要性で一致した。北朝鮮による日本人拉致問題は日米が連携し即時解決を求めていく。共同声明で北朝鮮の核とミサイル計画に関連する危険に対処するため「互いに、そして、他のパートナーとも協働する」と唱えた。
日米はアジア太平洋地域の安全保障に関し、インドとオーストラリアを加えた4カ国による枠組み「Quad(クアッド)」の協力も重視している。新型コロナウイルスを巡っても日米や4カ国の枠組みで連携すると確認した。世界規模のワクチンの供給などの協力をうたった。
両首脳はミャンマー情勢について国軍による民間人殺傷を強く非難し、暴力の即時停止や民主的な体制の回復を求めていくと合意した。
【ワシントン=重田俊介】菅義偉首相とバイデン米大統領は16日午後(日本時間17日午前)、ホワイトハウスで初めて会談した。両首脳は日米同盟の結束を示す共同声明をまとめ、中国が軍事的圧力を強める台湾海峡について「平和と安定の重要性を強調する」と明記した。「両岸問題の平和的解決を促す」との文言も入れた。
両首脳は「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題した共同声明をまとめた。外務省によると日米首脳間の文書に「台湾」が記されるのは1972年の日中国交正常化の前の69年以来およそ半世紀ぶり。
両首脳はまず通訳のみを交えて20分ほど話し、少人数と拡大会合を含め2時間半程度、協議した。バイデン氏は初めて対面で会う首脳として首相を選んだ。首相はバイデン氏の早期訪日を要請した。
対中国の戦略を擦り合わせた。首相は会談後の共同記者会見で「東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、地域の他者に対する威圧に反対することで一致した」と述べた。バイデン氏は「我々は21世紀に民主主義が勝利すると証明する」と強調した。
台湾への言及の背景には有事への懸念が高まっている状況がある。日米が結束して中国の行動に反対する姿勢を明確に示す必要性があると判断した。香港と新疆ウイグル自治区の人権状況を巡り、共同声明で「深刻な懸念を共有する」と表現した。
「日米両国は中国との率直な対話の重要性を認識する」とも盛り込んだ。「直接懸念を伝達していく意図を改めて表明し、共通の利益を有する分野に関し、中国と協働する必要性を認識した」と表記した。
日本側は主要7カ国(G7)で唯一、対中制裁を科していない。首相は記者会見で日本の立場や取り組みをバイデン氏に伝えたと説き「理解を得られたと考えている」とも表明した。
首相は記者会見で「日米同盟の重要性がかつてなく高まっている」と指摘した。バイデン氏も「日本の安全保障を鉄壁で守ることを確認した」と語った。
共同声明で米国の「核を含むあらゆる種類」の能力を用いた日本防衛への揺るぎない支持を明記した。米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が沖縄県尖閣諸島に適用されると再確認し「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対」と足並みをそろえた。
首相は日本の防衛力を強化する決意を伝えた。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設を着実に推進すると申し合わせた。
バイデン氏は冷え込む日韓関係の改善を望んでいる。会談では、北朝鮮への対応で日米韓3カ国が協力する重要性で一致した。北朝鮮による日本人拉致問題は日米が連携し即時解決を求めていく。共同声明で北朝鮮の核とミサイル計画に関連する危険に対処するため「互いに、そして、他のパートナーとも協働する」と唱えた。
日米はアジア太平洋地域の安全保障に関し、インドとオーストラリアを加えた4カ国による枠組み「Quad(クアッド)」の協力も重視している。新型コロナウイルスを巡っても日米や4カ国の枠組みで連携すると確認した。世界規模のワクチンの供給などの協力をうたった。
両首脳はミャンマー情勢について国軍による民間人殺傷を強く非難し、暴力の即時停止や民主的な体制の回復を求めていくと合意した。
「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題した共同声明の最も注目される点は、台湾海峡について「平和と安定の重要性を強調する」と明記された事。
日米首脳間の文書に「台湾」が記されるのは1972年の日中国交正常化の前の69年以来およそ半世紀ぶりのことなのだそうです。
「ひとつの中国」は、国共内戦で、日本と戦っていた国民党軍から政権を横取りした共産党軍の悲願であり、表立って台湾に言及することはタブー視されてきていました。
それを破って、蔡氏を総統の名で呼んだのはトランプ前大統領。
バイデン政権も、先の「日米2+2」で姿勢が示されていましたが、台湾擁護姿勢を打ち出しており、対中姿勢で煮え切らない日本に喝を入れたといったところ。
それが、日本の首相を直接対話のトップに急ぎ選んだ米国側の意図。
日本は主要7カ国(G7)で唯一、対中制裁を科していない。
菅首相は記者会見で日本の立場や取り組みをバイデン氏に伝えたと説き「理解を得られたと考えている」とも表明したのだそうですが。。
また、共同声明で米国の「核を含むあらゆる種類」の能力を用いた日本防衛への揺るぎない支持を明記したのだそうです。
日米安全保障条約5条が沖縄県尖閣諸島に適用されると再確認し「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対」と足並みをそろえたと。
菅政権が事ある毎にしつこく日米安保5条に拘るのは、オバマ政権後期はパンダハガー姿勢が強まり、その時の副大統領がバイデン氏であり、パンダハガー姿勢をリードし、二国間の領土争いには関与しない米国の基本姿勢を貫き、日米安保5条は無視するスーザン・ライス氏が、上院認証を不要とする役職の形で入閣していることにもよるのでしょうか。(組閣時には、上院の過半数は共和党が死守する情勢だった。)
しかし、日米安保5条には、施政権を保っている事(実効支配している事)の条件が付いていることは、諸兄がご承知のことで、中国が尖閣への侵略をエスカレートさせている由縁でもありますね。
しかも中国は、国際法は無視した「海警法」を施行、先手を打ってきています。
菅首相は日本の防衛力を強化する決意を伝え、米軍普天間基地の移設を着実に推進すると申し合わせたのだそうですが、日本の奮起と負担が要求されてきますね。
専門家の評価を日経が報じています。
日米首脳共同声明、識者の見方 影響や込められた意図は: 日本経済新聞 2021年4月17日
日米両首脳が16日にまとめた共同声明は台湾海峡の平和と安定の重要性などに言及した。背景や込められた意図について識者に聞いた。
■岩下真理 大和証券チーフマーケットエコノミスト「中国が対抗なら供給網に影響」
日米の共同声明は踏み込んだ内容だ。共同声明で触れた台湾海峡の平和と安定の問題は、今後の中国の出方次第で日本経済にも影響を及ぼしかねない。
中国は日本の輸出先の約2割を占める外需の重要国。仮に中国が日本からの輸入規制などの措置をとれば、半導体製造装置や自動車部品など輸出ウエートの高い品目のサプライチェーン(供給網)に影響が出る。供給網の再構築を考えなければならない企業も出てくるだろう。
新型コロナウイルス禍で経済が回復しつつある米中両国と経済的には良好な関係で付き合っていきたい日本にとって、しばらくは難しいかじ取りを迫られる。
■松田康博 東大教授「日中関係のモード変わった」
台湾は3月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同文書で明記した以上、首脳会談の声明に入らなければ後退だった。閣僚や実務者レベルのような下のレベルから積み上げ、トップ同士の発信へと固めていく運びがうまくいった。
書きぶりは2プラス2の文言に加え「両岸問題の平和的解決を促す」と入った。「平和でないのは台湾でなく中国のせいだ」と示唆しており、表現がやや強まった印象を受ける。
声明は中国の南シナ海における海洋権益の主張と行動を「不法」と言い切っている。日本のトップがここまで表明するのは初めてではないだろうか。日中関係のモードが変わった。
■前嶋和弘 上智大教授「テーマ網羅的に積み上げ」
中国による現状変更の試みの弊害が大きくなり、台湾が発火点になる可能性が出てきた。声明で台湾に言及せざるを得ないのが現状だ。「台湾を防衛する」といった具体的な文言を入れなかったのは、中国への過度な刺激を避ける意図がある。
対中ミサイル防衛や日本の防衛費増額は日本の宿題になっている。首脳間で議論になったか定かでないが、周囲は念頭に置いている。
声明は人権や知的財産権、気候変動とテーマを網羅的に積み上げた。日本側の働きかけが奏功した。これがトランプ政権だったら好きなトピックのみを取り上げ、温暖化対策などは外していたに違いない。
今回の両首脳の発言や声明は形容詞や副詞が少ない印象だ。安倍前政権であれば「『完全に』一致する」と書くであろうところも、淡々と「一致する」と表現している。事務方のボトムアップによる外交に戻った証しだ。
■横江公美 東洋大教授「人権重視の外交が復活」
バイデン大統領は人と対面で会いたがらない。そのような人物が会いたいというのだから、よほど日本側に伝えたい話題があるということだ。日米で擦り合わせた声明内容に比べ、会談後の会見でバイデン氏が優先して触れたテーマに注目すべきだ。
それは新型コロナワクチンでの協力、温暖化対策、そして人権である。バイデン氏はこの3つの分野で「日本もしっかり取り組んでほしい」と呼びかけているということだ。
共同声明で「香港や新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する」と入った。いかにも米民主党らしい人権重視の外交が復活した。
日米両首脳が16日にまとめた共同声明は台湾海峡の平和と安定の重要性などに言及した。背景や込められた意図について識者に聞いた。
■岩下真理 大和証券チーフマーケットエコノミスト「中国が対抗なら供給網に影響」
日米の共同声明は踏み込んだ内容だ。共同声明で触れた台湾海峡の平和と安定の問題は、今後の中国の出方次第で日本経済にも影響を及ぼしかねない。
中国は日本の輸出先の約2割を占める外需の重要国。仮に中国が日本からの輸入規制などの措置をとれば、半導体製造装置や自動車部品など輸出ウエートの高い品目のサプライチェーン(供給網)に影響が出る。供給網の再構築を考えなければならない企業も出てくるだろう。
新型コロナウイルス禍で経済が回復しつつある米中両国と経済的には良好な関係で付き合っていきたい日本にとって、しばらくは難しいかじ取りを迫られる。
■松田康博 東大教授「日中関係のモード変わった」
台湾は3月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同文書で明記した以上、首脳会談の声明に入らなければ後退だった。閣僚や実務者レベルのような下のレベルから積み上げ、トップ同士の発信へと固めていく運びがうまくいった。
書きぶりは2プラス2の文言に加え「両岸問題の平和的解決を促す」と入った。「平和でないのは台湾でなく中国のせいだ」と示唆しており、表現がやや強まった印象を受ける。
声明は中国の南シナ海における海洋権益の主張と行動を「不法」と言い切っている。日本のトップがここまで表明するのは初めてではないだろうか。日中関係のモードが変わった。
■前嶋和弘 上智大教授「テーマ網羅的に積み上げ」
中国による現状変更の試みの弊害が大きくなり、台湾が発火点になる可能性が出てきた。声明で台湾に言及せざるを得ないのが現状だ。「台湾を防衛する」といった具体的な文言を入れなかったのは、中国への過度な刺激を避ける意図がある。
対中ミサイル防衛や日本の防衛費増額は日本の宿題になっている。首脳間で議論になったか定かでないが、周囲は念頭に置いている。
声明は人権や知的財産権、気候変動とテーマを網羅的に積み上げた。日本側の働きかけが奏功した。これがトランプ政権だったら好きなトピックのみを取り上げ、温暖化対策などは外していたに違いない。
今回の両首脳の発言や声明は形容詞や副詞が少ない印象だ。安倍前政権であれば「『完全に』一致する」と書くであろうところも、淡々と「一致する」と表現している。事務方のボトムアップによる外交に戻った証しだ。
■横江公美 東洋大教授「人権重視の外交が復活」
バイデン大統領は人と対面で会いたがらない。そのような人物が会いたいというのだから、よほど日本側に伝えたい話題があるということだ。日米で擦り合わせた声明内容に比べ、会談後の会見でバイデン氏が優先して触れたテーマに注目すべきだ。
それは新型コロナワクチンでの協力、温暖化対策、そして人権である。バイデン氏はこの3つの分野で「日本もしっかり取り組んでほしい」と呼びかけているということだ。
共同声明で「香港や新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する」と入った。いかにも米民主党らしい人権重視の外交が復活した。
日米の共同声明は踏み込んだ内容だ。共同声明で触れた台湾海峡の平和と安定の問題は、今後の中国の出方次第で日本経済にも影響を及ぼしかねない。
米中両国と経済的には良好な関係で付き合っていきたい日本にとって、しばらくは難しいかじ取りを迫られる。
との岩下真理 大和証券チーフマーケットエコノミストの論評。
中国の南シナ海における海洋権益の主張と行動を「不法」と言い切っている。日本のトップがここまで表明するのは初めてではないだろうか。日中関係のモードが変わったとの松田康博 東大教授の、媚中二階氏の影響力低下も連想させる論評。
人と対面で会いたがらないバイデン氏が会いたいというのだから、よほど日本側に伝えたい話題があるということだ。会談後の会見でバイデン氏が優先して触れた、新型コロナワクチンでの協力、温暖化対策、そして人権の3つについて、「日本もしっかり取り組んでほしい」と呼びかけているとの横江公美 東洋大教授。
それらが注目されます。
民主党政権も、日本への役割分担と負担を求めてくることは諸兄がご承知の通り。
新型コロナの中国での蔓延で、サプライチェーンの中国依存度が、医療関連製品、住宅関連備品や自動車部品に至るまで影響を受け、生活の安全保障にも影響を及ぼし、脱中国や国内回帰を迫られた産業界。
喉元すぎればなんとやらが日本民族の特技。
経済重視で、米中双方に媚びようとする日本の経済界。
バイデン氏が、面談相手のトップに日本を選んだ理由は何か。横江公美 東洋大教授のご指摘を、菅首相、二階幹事長は胸に刻んでいただきたい。
# 冒頭の画像は、会談後の記者会見に臨んだ菅首相とバイデン大統領
この花の名前は、コンポルブルス・サバティウス
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