中国経済のバブル崩壊の話は、出ては消えを繰り返しています。底堅いのか、中国政府の政策が功を奏しているのかは解りませんが、経済の減速の話の頻度は増えていますし、李克強首相もデフォルトの容認など解放経済の負の側面を全てかばうのではなく淘汰を容認する方向転換をしていることは諸兄がご承知の通りです。
一方で、習近平は、欧州各国を歴訪し、中国の力を誇示し、かつての西洋列強にさんざんいじめられ、屈辱の近代史を経験したことへの意趣返しとして、歴史への清算を果たした「雪辱の旅」を成し遂げたのだそうです。
中国国家統計局が16日発表した2014年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)は、設備投資・輸出の減速鮮明になった様です。
GDP鈍化7.4% 改革と成長両立 中国経済に難題 設備投資・輸出の減速鮮明 (4/17 読売朝刊)
【北京=栗原守】中国国家統計局が16日発表した2014年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動を除いた実質で前年同期比7.4%増で、伸び率が13年10~12月期(7.7%)より0.3瀞下落した。成長率は1年半ぶりの低い水準となった。中国経済の行方は世界経済に大きな影響を与えるだけに、今後の政策運営が注目される。
■市場も動揺
国家統計局の盛来運(ションライウン)報道官は16日の記者会見で、「中国経済は調整の『陣痛期』にあり、(低成長の)代償を払う必要がある」と述べ、景気の減速は改革に伴う一時的な「痛み」だとの見方を示した。7.4%の成長率は中国の経済専門紙がまとめた市場予想(7.3%)は上回ったが、設備投資(固定資産投資)や輸出、個人消費(社会消費品小売総額)などの減速は鮮明だ。
中国政府は、鉄鋼、造船など過剰設備が問題になっている企業の設備投資を抑えるため、銀行融資の条件を厳しくするなど、経済の構造改革に乗り出している。また、12年末に政府・共産党の綱紀粛正を目指す「倹約令」を出したことも高額品の消費低迷につながった。
金融市場も動揺している。3月には上海の太陽光パネル企業が社債の利子を支払えないデフォルト(債務不履行)に陥り、社債の発行金利が上昇し、新規の社債発行を中止・延期した企業も相次いでおり、資金繰りに窮する企業の増加も懸念される。
■景気策否定
李克強首相は10日、海南省で開かれた経済フォーラムで、「短期的な回復を目指す景気刺激策はとらない」と明言し、持続可能で中長期の成長を追求する姿勢を強調した。産業政策では、鉄鋼や造船など、国際竸争力を失いつつある業種では、事業からの撤退や業態転換を促している。1、2年中には預金金利も自由化する見通しだ。
当面は輸出の動向が焦点になる。交通銀行のアナリストの唐建偉氏は、「米国の量的緩和の縮小が世界経済にマイナスの影響を与えかねないほか、日本の消費税率引き上げも輸出の抑制につながる懸念がある」と指摘する。
政府は十分な雇用機会を創出できる目安として「7.5%前後」の成長率を目標に設定しているが、エコノミストの間では目標達成を危ぶむ声もある。李克強首相は「7.5%より多少高くても低くても、雇用が十分であれば合理的な範囲内だ」と雇用重視の姿勢を強調している。中国政府は「改革」と「成長維持」の両立という難題に直面している。
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微妙なかじ取り必要 日本総合研究所 佐野淳也・主任研究員
「経済指標の中でも設備投資の落ち込みが大きい。中国政府は鉄道建設などで景気を下支えする構えだが、規模も限られている。今後は短期的な景気の浮揚効果がある対策を求める声が強まるだろう。ただ、景気対策の実施は、企業の過剰設備や地方債務の温存や拡大を招きかねない。経済の軟着陸を実現するためには微妙なかじ取りが求められる」
【北京=栗原守】中国国家統計局が16日発表した2014年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動を除いた実質で前年同期比7.4%増で、伸び率が13年10~12月期(7.7%)より0.3瀞下落した。成長率は1年半ぶりの低い水準となった。中国経済の行方は世界経済に大きな影響を与えるだけに、今後の政策運営が注目される。
■市場も動揺
国家統計局の盛来運(ションライウン)報道官は16日の記者会見で、「中国経済は調整の『陣痛期』にあり、(低成長の)代償を払う必要がある」と述べ、景気の減速は改革に伴う一時的な「痛み」だとの見方を示した。7.4%の成長率は中国の経済専門紙がまとめた市場予想(7.3%)は上回ったが、設備投資(固定資産投資)や輸出、個人消費(社会消費品小売総額)などの減速は鮮明だ。
中国政府は、鉄鋼、造船など過剰設備が問題になっている企業の設備投資を抑えるため、銀行融資の条件を厳しくするなど、経済の構造改革に乗り出している。また、12年末に政府・共産党の綱紀粛正を目指す「倹約令」を出したことも高額品の消費低迷につながった。
金融市場も動揺している。3月には上海の太陽光パネル企業が社債の利子を支払えないデフォルト(債務不履行)に陥り、社債の発行金利が上昇し、新規の社債発行を中止・延期した企業も相次いでおり、資金繰りに窮する企業の増加も懸念される。
■景気策否定
李克強首相は10日、海南省で開かれた経済フォーラムで、「短期的な回復を目指す景気刺激策はとらない」と明言し、持続可能で中長期の成長を追求する姿勢を強調した。産業政策では、鉄鋼や造船など、国際竸争力を失いつつある業種では、事業からの撤退や業態転換を促している。1、2年中には預金金利も自由化する見通しだ。
当面は輸出の動向が焦点になる。交通銀行のアナリストの唐建偉氏は、「米国の量的緩和の縮小が世界経済にマイナスの影響を与えかねないほか、日本の消費税率引き上げも輸出の抑制につながる懸念がある」と指摘する。
政府は十分な雇用機会を創出できる目安として「7.5%前後」の成長率を目標に設定しているが、エコノミストの間では目標達成を危ぶむ声もある。李克強首相は「7.5%より多少高くても低くても、雇用が十分であれば合理的な範囲内だ」と雇用重視の姿勢を強調している。中国政府は「改革」と「成長維持」の両立という難題に直面している。
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微妙なかじ取り必要 日本総合研究所 佐野淳也・主任研究員
「経済指標の中でも設備投資の落ち込みが大きい。中国政府は鉄道建設などで景気を下支えする構えだが、規模も限られている。今後は短期的な景気の浮揚効果がある対策を求める声が強まるだろう。ただ、景気対策の実施は、企業の過剰設備や地方債務の温存や拡大を招きかねない。経済の軟着陸を実現するためには微妙なかじ取りが求められる」
弾けないバブルはないと言われます。
一党独裁政権の中国政府が目指す軟着陸が可能か、お手並み拝見です。成功すれば、自由主義経済にない管理経済の新しい歴史が確立されることになります。
減速と言われても、他にはない7%代の高度成長です。その輸入市場の魅力に、欧州も米国までもが擦り寄っているのが現状です。
そこで、「民族の偉大なる復興」を掲げる習近平は、過去の屈辱の歴史を清算すべく欧州各国を歴訪し、欧州諸国の先進性を頭から否定した上で「中国はあなたたちから学ぶことはない」と宣しているのだそうです。
欧州歴訪の隠されたテーマ (4/17 産経 【石平のChina Watch】)
今月1日までの11日間、中国の習近平国家主席はオランダ、ドイツ、フランス、ベルギーの4カ国を訪問した。就任後初の欧州歴訪である。
訪問中の習主席の言動と中国内の報道を見ていると、どうやら中国側はこの欧州歴訪に「親善外交」とはかけ離れた別の意味合いを持たせようとしているように見える。
中国内の報道が強調していることの一つは、習主席が訪問先各国で「破格の最高格式の礼遇」を受けた点だ。報道だけみれば、あたかも、各国の王室や政府首脳が一斉に習主席の前でひれ伏し、この大国元首を恭しく迎えたかのような風情である。
習主席の振る舞いも尊大なものである。オランダとベルギーの国王が開いたそれぞれの歓迎晩餐(ばんさん)会で彼はわざと一般的外交儀礼を無視して中国式の黒い人民服を着用して臨んだ。
そして、フランス大統領との会談で習主席は「中国の夢はフランスにとってのチャンスだ」と語り、ドイツで行った講演の中では「ドイツは中国の市場を無くしてはいけない」と強調した。
あたかも中国が欧州の「救世主」にでもなったかのような言い方である。
ベルギーでの講演で習主席はまた、立憲君主制や議会制などの政治制度を取り上げ、そのいずれもが「中国の歩むべき道ではない」と語った。
つまり彼は、世界史上いち早く上述の政治制度を整えた欧州諸国の先進性を頭から否定した上で「中国はあなたたちから学ぶことはない」と宣したのである。
このように、歴訪の中で習主席が欧州への対抗意識と欧州に対する「優越感」を自らの言動に強くにじませていることは明らかだ。
問題は、欧州と対抗しなければならない現実の理由が何もない今の中国がなぜ、各国に対し、このような奇妙な意識をむき出しているのかである。考えてみれば、唯一の理由はやはり「歴史」である。
つまり、かつての西洋列強にさんざんいじめられ、屈辱の近代史を経験した中国としては、自国の国力が増大し欧州諸国を凌駕(りょうが)している今こそ、屈辱の歴史への意趣返しとして、欧州を上から見下ろしてやりたいのだ。
実際、訪問先のベルリンで習主席が「アヘン戦争以来列強によって奴隷扱いされた歴史の悲劇」に触れたのも、中国は決して「歴史の屈辱」を忘れていないことの証拠である。そしてフランスで行った講演の中で、主席は、かつてナポレオンが中国(清)のことを「眠れる獅子」と評したことを逆手にとって、「中国という獅子は既に目覚めた」と高らかに宣言した。
このとき、おそらく彼自身とその随員たちは、この度の欧州歴訪が、まさに歴史への清算を果たした「雪辱の旅」となったことを実感していたのであろう。
結局、経済面など実利の視点から中国と仲良くしようとする欧州諸国の外交志向とは一味違い、中国の方はむしろ歴史の怨念を心の中で引きずり、「歴史の清算」を外交政策の根底に置いている。
それはまた、習主席自身が提唱してやまない「民族の偉大なる復興」の政策理念の隠されたテーマの一つだ。
もちろんその際、中国にとっての清算すべき歴史は、欧州とのそれだけではない。
彼らからすれば、近代史上西洋列強よりも中国をひどい目に遭わせた国は「もう一つ」ある。そう、東洋の日本なのである。
だからこそ、習主席は訪問先のドイツで何の脈絡もなく日本との「歴史問題」に触れ、(何の根拠もない)「南京大虐殺30万人」を言い出したわけだ。
「欧州征服」を果たした後、彼らにとっての次の雪辱の対象は、やはりこの日本をおいて他にない、ということである。
今月1日までの11日間、中国の習近平国家主席はオランダ、ドイツ、フランス、ベルギーの4カ国を訪問した。就任後初の欧州歴訪である。
訪問中の習主席の言動と中国内の報道を見ていると、どうやら中国側はこの欧州歴訪に「親善外交」とはかけ離れた別の意味合いを持たせようとしているように見える。
中国内の報道が強調していることの一つは、習主席が訪問先各国で「破格の最高格式の礼遇」を受けた点だ。報道だけみれば、あたかも、各国の王室や政府首脳が一斉に習主席の前でひれ伏し、この大国元首を恭しく迎えたかのような風情である。
習主席の振る舞いも尊大なものである。オランダとベルギーの国王が開いたそれぞれの歓迎晩餐(ばんさん)会で彼はわざと一般的外交儀礼を無視して中国式の黒い人民服を着用して臨んだ。
そして、フランス大統領との会談で習主席は「中国の夢はフランスにとってのチャンスだ」と語り、ドイツで行った講演の中では「ドイツは中国の市場を無くしてはいけない」と強調した。
あたかも中国が欧州の「救世主」にでもなったかのような言い方である。
ベルギーでの講演で習主席はまた、立憲君主制や議会制などの政治制度を取り上げ、そのいずれもが「中国の歩むべき道ではない」と語った。
つまり彼は、世界史上いち早く上述の政治制度を整えた欧州諸国の先進性を頭から否定した上で「中国はあなたたちから学ぶことはない」と宣したのである。
このように、歴訪の中で習主席が欧州への対抗意識と欧州に対する「優越感」を自らの言動に強くにじませていることは明らかだ。
問題は、欧州と対抗しなければならない現実の理由が何もない今の中国がなぜ、各国に対し、このような奇妙な意識をむき出しているのかである。考えてみれば、唯一の理由はやはり「歴史」である。
つまり、かつての西洋列強にさんざんいじめられ、屈辱の近代史を経験した中国としては、自国の国力が増大し欧州諸国を凌駕(りょうが)している今こそ、屈辱の歴史への意趣返しとして、欧州を上から見下ろしてやりたいのだ。
実際、訪問先のベルリンで習主席が「アヘン戦争以来列強によって奴隷扱いされた歴史の悲劇」に触れたのも、中国は決して「歴史の屈辱」を忘れていないことの証拠である。そしてフランスで行った講演の中で、主席は、かつてナポレオンが中国(清)のことを「眠れる獅子」と評したことを逆手にとって、「中国という獅子は既に目覚めた」と高らかに宣言した。
このとき、おそらく彼自身とその随員たちは、この度の欧州歴訪が、まさに歴史への清算を果たした「雪辱の旅」となったことを実感していたのであろう。
結局、経済面など実利の視点から中国と仲良くしようとする欧州諸国の外交志向とは一味違い、中国の方はむしろ歴史の怨念を心の中で引きずり、「歴史の清算」を外交政策の根底に置いている。
それはまた、習主席自身が提唱してやまない「民族の偉大なる復興」の政策理念の隠されたテーマの一つだ。
もちろんその際、中国にとっての清算すべき歴史は、欧州とのそれだけではない。
彼らからすれば、近代史上西洋列強よりも中国をひどい目に遭わせた国は「もう一つ」ある。そう、東洋の日本なのである。
だからこそ、習主席は訪問先のドイツで何の脈絡もなく日本との「歴史問題」に触れ、(何の根拠もない)「南京大虐殺30万人」を言い出したわけだ。
「欧州征服」を果たした後、彼らにとっての次の雪辱の対象は、やはりこの日本をおいて他にない、ということである。
中国の13億の民の内需市場の魅力で各国がひれ伏しているのです。その経済成長が支えられているのは何が主役なのか。それは、バブルで弾けることなく、今後も急拡大は無いにしても安定成長が続けられるのか。
成長の柱は、中央政府や地方政府の財政出動(インフラ整備の不動産バブルに繋がる)ではないのか、所得格差の拡大、民族差別での社会不安、一党独裁政治での自由はく奪(土地、家屋の剥奪)への不満は収められるのか。収める手段と予算は?環境汚染対策はどの程度進めるのか。その費用は。これらで増える社会コストの負担で、世界の工場としての輸出競争力は維持できるのか。
驕る平家は久しからず。
習近平の欧州各国歴訪は、過去の歴史の屈辱の清算で終わるのか。いいえ、したたかな歴史を持つ欧州各国は、面従腹背はお手の物。じっと耐えて利益を優先させているのです。
日本や、アジアで起きている中国の覇権拡大の実態が、遙かに遠い東のはてで起きていて無関心だったこれまでに、今回の清算旅行は目を覚まさせるきっかけを造ったのではないでしょうか。眠れる獅子が目覚めた実態が知られたら、猛獣使いの方も目覚め、鞭を用意します。
# 冒頭の画像は、ベルギーで講演する習近平
この花の名前は、カリガネソウ
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