遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国が、自国公船による日本領海内の法執行に国内法創立

2016-08-27 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島

 尖閣諸島およびその近海空が、日米同盟の対象である根拠を、米国政府は日本の領土、領海空であるからと言うのではなく、日本の管轄下にあることを挙げていて、領土問題には中立の立場をとっていることは、諸兄がご承知の通りです。
 米国政府高官からこの言葉を最初に引き出したのは、日本の民主党政権時代の前原外相(当時)と、クリントン国務長官(当時)の会談でした。
 そこで中国は、尖閣近海に海監(公船)の定期巡回を定着化させ、今では石垣島の漁船など日本の漁船が尖閣近海での操業が出来なくなり、最近では中国の大漁船団が、海警や軍艦に守られて大挙して押し寄せ、中国の管轄下であることの実績造りをエスカレートさせているのですね。これはまた、上陸して実効支配をする戦術として想定されている筋書きでもありますね。
 中国は、尖閣諸島が自国の領土と言い始めて、その根拠として、1992年に「領海及び接続水域法」(領海法)を制定しました。勿論、自分勝手な国内法です。そして、2013年には、台湾やチベットと同レベルの「核心的利益」との表現も使い始めていたのでした。

 そして今度は、中国の最高裁に当たる最高人民法院が、中国の「管轄海域」で違法漁労や領海侵入をした場合に刑事責任を追及できるとする「規定」を定め、中国領と勝手に国内法で定めた尖閣の近海も適用範囲にしたのです。
 

中国、尖閣での法執行規定 刑事罰明文化 日本船「摘発」根拠に (8/27 産経)

 中国の最高裁に当たる最高人民法院は今月1日、中国の「管轄海域」で違法漁労や領海侵入をした場合に刑事責任を追及できるとする「規定」を定めた。最高人民法院が海洋権益に関し具体的な条文で司法解釈を定めるのは初めて規定の施行以降、中国は自国領海と主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での公船の活動を活発化させており、日本の排他的経済水域(EEZ)で公船から乗組員が中国漁船に行き来する「法執行」とみられる行動も確認されている。海事関係者は、背景に規定の施行
があるとみて注視している。
 最高人民法院が示したのは、「中国の管轄海域で発生する関係事案審理における若干の問題に関する最高人民法院規定(1)」と「同(2)」。今月2日に施行された。中国の海域での違法行為の内容と管轄権や違反の事例を詳細に示し厳格な法執行を明記している。
 条文では海上の自国領域での環境汚染や、シャコやサンゴなどの生物、資源の違法採取を厳重に刑事処分することを強調した上で、
「ひそかに国境を越えて中国領海に違法侵入」し「域外への退去を拒む」場合などに厳罰を科すことができるとしている。規定が適用される「管轄海域」については、「内水、領海、接続水域、EEZ、大陸棚」など
としている。

 中国は尖閣諸島について日本の領有を認めず、自国領域と主張している。大陸棚についても沖縄トラフを含むとしており、
今回の規定で、中国国内法上は、尖閣を含む日本側の領域で日本人漁師などを中国側公船が摘発することを正当化した
形だ。今後、同諸島周辺で規定などを根拠に「不法侵入」などとして日本人を身柄拘束する可能性をちらつかせることで、日本側を牽制(けんせい)する意図があるとみる政府関係者もいる。
 最高人民法院は今年3月の全国人民代表大会(全人代)で、尖閣諸島近海での「司法管轄権」の明確化を主張し、「海事司法センター」創設を宣言。
中国側は尖閣を含む日本領海内での法執行を正当化する国内根拠を積み重ねてきた


 中国の海洋進出に詳しい東海大学の山田吉彦教授は「中国側は尖閣諸島を自国領土と主張しており、規定は
中国の国内法で、中国公船による日本領海内の法執行に法的根拠が存在することを示し、積極的な執行を促す意図がうかがえる。日本側は日本船の拿捕(だほ)、拘束などあらゆる事態に警戒すべきだ」と話している。(加藤達也)

 
中国、領土拡張へ国内法→主権を既成事実化 反スパイ法でも日本人標的 (8/27 産経)

 最高人民法院が2日に施行した規定について、専門家の間では特に2つの点で警戒感を強めている。一つは日本に対する警告、あるいは予告との見方
だ。
 中国では2014年11月、「反スパイ法」が施行された。共産党政権に対するスパイ行為をこれまでより厳しく取り締まるため、秘密警察と外事警察の協力強化のほか市民の協力義務までを規定。外国人監視が厳しくなり、標的にされたのは日本人だった。中国を何度も往来していた日本人らがスパイの疑いなどで身柄を拘束される事例が相次いでいる。

 
もう一つは、中国が領土拡張などの対外的な野心実現のための常套(じょうとう)手段として、まず国内法を定め、それに基づいて担当機関が法を執行。次第に地理的な領域を拡大し自らの主権下にあることを既成事実として国際社会に認めさせる手法を取ってきた点だ。今回の一連の中国公船による領海侵入などは規定の施行直後に発生しており、中国が原則通り動いている
とみることができる。

 2日の規定施行を挟む日程で、中国海軍は福建省沖で訓練を実施した。中国軍は、日本の領域を脅かす今回の動きを「キャベツ作戦」と命名。訓練には海警などの艦艇だけでなく、海上民兵の漁船を動員したとの情報もある。
 
「キャベツ」は中心部の漁船団を海警船が囲み、さらにその外側を軍が取り囲むという船団の陣形を指す言葉
だとされる。領海侵入した公船には砲を搭載したものまであった。
 
日本は不測の事態への対応を再度点検する必要がある


---------------------------------
【用語解説】中国規定上の管轄海域
 最高人民法院の規定は、中国の内水、領海、接続水域、排他的経済水域(EEZ)と大陸棚のほか中国が管轄するその他の海域を「管轄海域」と定めている。中国側は尖閣諸島の領有を主張し、周辺の日本の領海やEEZでも中国国内法適用の正当性を訴えている。日中中間線をめぐる対立でも、基線として南西諸島と琉球諸島の北西側に沿う約1000キロの沖縄トラフを主張している。
---------------------------------


 1992年の領海法も、今回の最高人民法院の規定も国内法であり、国際法との整合性が無いのは、さきのフィリピンが勝訴した南シナ海の「九段線」に対する仲裁裁判所裁定と同じです。
 中華思想の中国は、国際法は無視し、勝手に創った国内法を優先適用する、無法者国家なのです。
 その無法国家であることが証明されたのが、仲裁裁判所の裁定。
 中国は、裁定は紙切れと評して無視し、南シナ海での人口島建設や、その人口島の軍事基地化を継続推進し、尖閣を含む東シナ海での、日本への攻勢をエスカレートさせる強硬策を展開しています。

 冒頭で触れた過去の経緯を鑑みれば、まさに産経の記事で指摘されている、「中国が領土拡張などの対外的な野心実現のための常套手段」そのものであり、「三戦」戦略の「法律戦」でもあるのですね。
 強硬な力による現状変更と、その力の行使を正当化しようとする国際法を無視した国内法の創作。この両輪をエスカレート回転させている習近平政権。とても危険な状況に陥りつつあります。
 それは、宮家氏が指摘される、習近平政権首脳に国際外交に通じる人材がいないからなのか、経済成長の減速と外交政策の失政続きの習近平政権への、対抗勢力攻撃が強まり、その矛先をかわそうとの戦術なのかは未明です。がしかし、大きな危険性をはらんでいる事には違いありません。日本は、官民&個人ともども備えを強化せねばならない事態になってきましたね。



 # 冒頭の画像は、尖閣近海の中国漁船団と海警






 この花の名前は、ウンナンオウバイ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 8月26日(金)のつぶやき | トップ | 8月27日(土)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

東シナ海尖閣諸島」カテゴリの最新記事