
中国政府は、バブル崩壊を恐れ金融緩和策に一旦戻したり、公共投資の復活などを打ち出し、バブル崩壊を防ぐのにおおわらわです。
経済成長の基本は、投資の増大で、特に国外からの投資は欠かせません。民需の成長というより国&地方の公共投資頼りの中国経済は、国外からの投資は不可欠です。ところが、以前から指摘されていた海外からの投資減(日本だけ減らなかった)が、具体的に数値でも示される様になりました。それも、増加率が減少ではなく絶対値が減少に転じています。
中国経済の成長鈍化を受け、李克強首相の主導で外資呼び戻しのための「自由貿易試験区」設置や、インフラ整備のための公共事業など、テコ入れ策が相次ぎ打ち出されている。経済低迷が続けば、「影の銀行(シャドーバンキング)」などの不良債権が顕在化し、社会不安も引き起こしかねないと判断した。李首相は国内総生産(GDP)成長率で今年の最低ラインを7.0%増と指示している。
■上海などに試験区…外資呼び戻し
【上海=河崎真澄】中国国務院(政府)は全国人民代表大会(全人代=国会)に対し、上海市などに「自由貿易試験区」を新設、外国からの投資規制を緩和する法的措置を取るよう求めた。試験区では人民元取引など金融自由化を試行する方針で、全人代常務委員会での審議を経て年内にも設置が決まる見込み。減速が続く外資の対中投資を呼び戻すことで、経済成長の原動力にする。
国営新華社通信が伝えたところによると、国務院は試験区で金融や貿易など外資のサービス業による投資規制を解除し、投資手続きを簡素化するよう求めている。具体的な時期や詳細は示されていないが、現在は規制されている人民元の資本取引や金利の一部自由化を認める見込みだ。
中国は1979年に改革開放政策の目玉として広東省の深セン市などの一部を「経済特区」と認め外資の製造業を誘致。外資系工場の輸出拡大を経済成長エンジンとして「世界の工場」にのし上がった。だが、人件費高騰や労使紛争の頻発などで製造業の対中投資意欲が減退。このため、「中国は金融自由化をうたう試験区で金融業などの外資を再び呼び込み、成長戦略を練り直す」(市場関係者)との見方が広がっている。
中国商務省によると、外資の対中投資は昨年、実行ベースで前年比3・7%減と、金融危機の影響が深刻化した2009年以来、3年ぶりにマイナスを記録した。香港紙によると、中国経済成長の維持には、今後も外資誘致の継続が欠かせないと判断した李克強首相が、金融自由化の試行に反発する金融当局者を押し切って、試験区の早期設置を強硬に指示したという。
試験区はまず、国際金融センターと位置づけている上海市で関税の一時留保など貿易業への優遇策が実施されている一部地域が対象。さらに天津市、広東省の広州、深セン、珠海の各市が設置を検討している。
今日の中国経済発展の基となった「世界の工場」の地位構築を成し遂げた、製造業の投資は、賃金の上昇、労働争議の多発で減少していて、これを取り戻すのは至難の業です。
そこで、「自由貿易試験区」では、金融や貿易といったサービス業を対象とするのだそうです。
つまり、先進国が歩んだ道を駆け足で追いかける中国経済が、既に実体経済は老熟期にさしかかり老大成した先進国と同じ領域に達してきたという証しです。
ただ、中国への海外からの投資が減ったのは何故かを考えて、金融等のサービス業の投資が呼び込めるのかを考えた時、答えは「ノー」でしょう。
外資の投資が減ったのが、「世界の工場」としての魅力が失せた中国が原因ということは、輸出は減るのですから、伸びるとすれば、内需に対する輸入です。
ところが、中国の内需は、いまだに公共投資が主役です。各種インフラ建設や、不動産建設です。
民需による民間企業投資が活性化すれば、金融業の進出の活性化が見込めますが、公共投資が主役では、資金需要があるのは国や地方政府です。この、地方政府の投資=資金需要が怪しいので中国の銀行も投資に二の足を踏んでいたのです。なので、シャドーバンクがはびこったのです。
投資対象となる実態が怪しげな老害化と、民需の未熟な中国に、どんな金融投資の需要があるのでしょう。
いまだに、エンジンとして公共投資が復活してきそうです。
中国で超高層ビル建設ラッシュ 地方指導者の実績作りか 耐震性は?+(2/2ページ) - MSN産経ニュース
経済鈍化、克服へ 4兆元公共事業…金融危機懸念も(産経新聞) - goo ニュース
中国国内の政権争いも収まっていません。
おまけに、投資の多い日本にとっては、反日という、チャイナリスクが大きな障害として存在します。
政権争いの行方と、途上国の未熟さと、老化の傾向が見え始めた経済構造を、反日と両立させてどう再構築するのか、今後に注目です。
# 冒頭の画像は、湖南省長沙市で、着工後工事が中断している超高層ビル「天空城市」

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