遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

東シナ海ガス田「白樺」を共同開発

2008-05-11 21:18:59 | 東シナ海ガス田

 胡錦濤主席の来日では、チベットの人権問題、東シナ海ガス田問題、ギョーザ事件の原因究明捜査の3点セットが注目されていました。(遊爺はCO2地下貯留技術協力のカードの切り方に注目。)
 胡主席の出発前のコメントや世評から、大きな期待は出来ないと考えていましたが、両首脳の会談後のコメントでは、「大きな進展があり解決のめどが立った」(福田首相)、「重要な進展を遂げ、問題解決の全景が見えてきた」(胡主席)と語って前進をアピールしました。
 おや?前評判と少し違う...一瞬思ったのですが、成果が無いのでリップサービスしているのだろうと直ぐ忘れていましたが、翌日の読売1面トップの「白樺ガス田共同開発」を見たときは、目を疑いました。
 その後の報道などを注視していますが、どうやら胡錦濤主席は、自分を最も引き立ててくれた胡耀邦(当時)主席の路線を復活させようとしている気配が感じられます。つまり、日中関係の現状の歴史的転換を考えている!(偶然にも、8日の産経で同じ考えの記事が掲載されていましたが。)
 しかしそれは、胡錦濤主席にとっても、日本外交で失脚した胡耀邦(当時)主席と同じ道を辿る危険性をはらんでいるのです。

 胡錦濤主席の今回の訪日の真の目的については、歴代最高指導者が歴史的功績を残したなかで、自分もその名を刻もうとしたという記事(5/8 読売朝刊)があります。
 国交を正常化させた毛沢東、改革・開放の中で対日関係を劇的に発展させた小平、パートナーシップを宣言した江沢民(歴史カードを全面に展開、日本との立場の逆転、中華復活を成し遂げた。)等が残した、「日中共同声明」「日中平和友好条約」「日中共同宣言」という政治文書に次ぐ第4の政治文書にこだわったのだというのです。
 そして、「戦略的互恵関係の推進」という共同声明文が残されたのです。

 歴史カードは使わず、ODAへの感謝の言葉を交えた早稲田での中国国内へ中継された講演は、胡錦濤主席の中国国内への対日関係転換のメッセージなのでした。
 江沢民の懐刀で、小泉首相との会談をドタキャン帰国した曽慶紅死が完全引退し、江沢民の影響力を排した胡錦濤主席は、対日関係を仕切り功績を残す体制が整って来たのだと。

 今回の首脳会談について、成果がなかったという声もよく聞きます。
 ガス田の話も、これまで何回も進展し今にも解決しそうという政府のコメントには耳タコ状態で、今回もオリンピックを成功させたい胡錦濤主席のリップサービスとの見解は多いですね。
 でも、日々の政局を最優先してグローバルな政策に欠ける今日の日本の与野党首脳と違い、中長期の戦略を確実に成果を挙げている中国です。オリンピック後の国内の統治、景気の動向は既にシミュレーション済みで、日米からの投資のトレンドも読んで、投資減少への対策としての対日外交姿勢変換を打ち出したものと考えるべきでしょう。
 # ロシアの隆盛期には日本にすり寄ると言う歴史の事実もありますが、今日は触れません。

 胡耀邦さんは親日に近かったのですが、胡錦濤さんは親日というより知日派です。それでも、江沢民時代を経た今の中国では、対日軟弱派のレッテルを貼られかねない今回の訪日での発言や行動です。
 東シナ海ガス田の内容も、末端まで箝口令が出されたのだそうですが、読売のトップ記事になりました。対象がもっとも物議を醸した白樺です。親日の胡耀邦(当時)主席を失脚に追いやったのは、中曽根(言い訳しても遅くその罪は大きい)や日本なのでした。
 「暖かい春の旅」とPRする胡錦濤主席に、この時期珍しい寒さと雨で、おもわず胡錦濤主席に激励の声を発してあげたくなったのは何故なのでしょう?自分で自分に驚いてしまいました。
 土曜の朝のテレビ(ウェイクアップ)で、朱建栄教授が、胡錦濤も交代するがその次のトップが胡錦濤ほど日本に理解を示すとは限らない。日本は、胡錦濤政権の間に新時代の両国関係を構築すべきと言っておられました。
 その通りだと考えますし、かつての胡耀邦さんの失脚のような、日本が足を引っ張る事は、今回の来日の発言や講演が本物か暫く様子を見る意味でも、控えるべきだと考えます。

 過去にこだわり、日本から利益を巻き上げる中国から、米国と肩を並べるまでの経済・軍事大国になった中国です。歴史カードを放棄したわけではなく、今回使用しなかっただけの事で、親日に変わったなどとの誤解は禁物ですが、未来に向け対日外交姿勢を変えようとしていて、それを初めて(?)表に表した今回の来日は、このまま胡錦濤政権が安泰なら(軍や古参共産党員から軟弱と反旗を翻されなければ)、新しい日中関係への歴史的ターニングポイントになるのかも知れません。これまで通りに、はかない期待で終わるのかも知れません。
 ただ、今までの状況にうんざりしているのも事実で、そろそろ変革すべきです。日本はそうしたいのですが、かの国では罪のぬぐいの認識がなされていませんでした。(今回は戦後の日本の平和活動にも触れている。=理解を素直に表現するようになってきた)なので、日本も変革の主張は大幅に控えめでした。
 新しい未来に向けた日中関係を築くことには、日本としても(中国へ転勤・駐在したり長期滞在する日本人にとっては特に)大歓迎な事です。はかない夢かも知れませんが、夢が実現されるよう今後の進展に期待しています。当然、是も非もある紆余曲折の長い道のりになるのでしょうが。
 

「白樺ガス田」共同開発、対象海域詰めへ…日中首脳で確認 (5/8 読売朝刊)

 福田首相と胡錦濤・中国国家主席が7日の首脳会談で確認した東シナ海のガス田問題を巡る「進展」が、日中中間線付近の中国側にある白樺ガス田(中国名・春暁)を含めた海域での共同開発であることが明らかになった。複数の日中交渉筋が明らかにした。同ガス田を含む共同開発の海域をどこまで広げるかや、出資方法、利益配分などは、今後詰めの協議を行う。日本政府は胡主席の再来日が予定されている7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)までに正式合意に達したい考えだ。

 この問題で日本は、中間線をまたぐ海域での共同開発を主張してきた。これに対し中国は、中間線より中国側の海域での共同開発に応じると、沖縄西側の沖縄トラフ(海底の溝)までの大陸棚に中国の権益が及ぶとする主張を取り下げることにつながるため、難色を示してきた経緯がある。交渉筋によると、今回の「進展」は、中間線の問題に触れないことで、中国の理解を得たという。
 両首脳は会談後の記者会見で具体的な「進展」の中身を示さなかったが、交渉筋は、白樺ガス田を巡る日本の主張に中国が理解を示したものであることを明らかにした。同ガス田は、中国による開発が最終段階にあると見られることから、日本が他のガス田に先駆けた共同開発を中国に打診していた。首相周辺は「7月の北海道洞爺湖サミットの際の胡主席再来日までに内容を詰め、発表できるだろう」としている。
 日中首脳会談では、このほか、首相が北京五輪の成功に向けた協力を約束し、チベット問題でダライ・ラマ14世側との対話を継続するよう求めた。地球温暖化問題に関しては、中国の石炭火力発電所が二酸化炭素など温室効果ガスの主要な排出源となっていることを踏まえ、発電所で二酸化炭素を回収し、これを中国の油田の地層に封入する事業に日本が技術協力することで合意した。歴史問題を巡っては、胡主席が「平和、友好、協力が日中の進むべき道だと歴史の教訓に教わった」と述べたが、1998年の江沢民国家主席(当時)の来日時に比べ、未来志向の立場を明確にした

 




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3 コメント

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TB有難うございます。 (閑話ノート)
2008-05-11 23:55:38
ご指摘のとおり、日中両国は特に経済面で深い関係になっております。両国とももう後戻りできません。その意味で反日感情や嫌中国感情から抜け出さねばなりませんね。

このたびの日中共同声明は、国際的拘束力があるものと考えます。
胡錦濤国家主席が、かつての周恩来や小平のような懐の深い政治家であるか分かりませんが、真の未来志向に向かってどんな前進が図られるか注視してゆきましょう。
それではまた。
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Unknown (遊爺)
2008-05-17 17:16:54
閑話ノートさん、コメントをありがとうございました。

> 両国とももう後戻りできません。

 隣人であることはいかんともしがたく、アジアや世界レベルでも両国の関係は影響を及ぼします。
 未来志向への転換は、望むところで、胡錦濤主席の決意がどこまでなのか、見守りましょう。日本側のリーダーが、福田さんや小沢さんという決断力のない眉中派揃いの巡り合わせには不安を感じますが。

 帰国早々の大地震で、政権の一大ピンチを招いていますが、海外の支援を当初断っていたのを、日本を第一号として受入を開始したあたり、対日外交政策変換が引き続いていると感じられますね。
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Unknown (wunin (gojin))
2008-06-17 22:06:33
東シナ海ガス田meh 吳越no desu nippen(nippon)-no dewaarimasen
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