
日米間では、コメと自動車部品、12カ国の全体交渉では知的財産などの難問が残っていましたが、米政府が「TPA」を獲得したことで、各国が最後のカードを提示し詰めにはいることで、妥結に向けた交渉が加速されることになるのだそうです。
甘利大臣は。7月中に参加12カ国による閣僚会合を開き、その場での「合意は可能だ」と語っています。
【ワシントン=安江邦彦】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に関し、米上院本会議は24日午後(日本時間25日早朝)、オバマ大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案を賛成多数で可決した。大統領の署名を経て近く成立する。TPP交渉に参加する12か国はこれを受け、7月中にも閣僚会合を開く方針で、交渉は大筋合意に向け一気に加速する。
上院(100人)の採決結果は賛成が60票、反対が38票。共和党(54人)の47人が賛成し、TPP反対派の多い与党・民主党(44人)からも13人が賛成に回った。
TPP交渉参加国は米議会が合意内容に干渉することを警戒している。米大統領がTPAを取得し、交渉権限を強化しない限り、合意には応じない姿勢だった。大統領がTPAを取得することで交渉参加国は温存していた交渉カードを切ることができるようになり、交渉がまとまりやすくなる。
TPP交渉では、関税の撤廃範囲や知的財産権に関するルール作りなどを巡り、なお意見に隔たりがある。交渉参加国は7月に首席交渉官会合を開いて事務レベルで細部を詰める。残る懸案については、7月中にも閣僚会合を開き、政治決着を図る方針だ。
甘利TPP相は25日午前、内閣府で記者団に、「閣僚会合での大筋合意に向けた大きな前進になる。速やかに日米の事務折衝を開始し、閣僚会合に臨める環境を作りたい」と述べた。
オバマ大統領はTPA法案と合わせて、自由貿易による失職者を援助する「貿易調整支援制度(TAA)」拡充法案の可決も求めている。米上院本会議はTAA法案についても24日、賛成多数で可決した。下院は25日に採決する。
日米協議最終合意へ コメ・車
米議会が大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案を可決したことを受け、日米は7月にも、2国間の関税協議を最終合意させる方針だ。甘利TPP相はかねて、「日米間では、それほど深刻な課題は残されていない」としており、最終的には米通商代表部(USTR)のフロマン代表との会談で、決着させる考えだ。
最大の懸案である米国産の主食用のコメの輸入拡大を巡っては、約20万トンの拡大を要求する米国に対し、日本は5万トンが限度と主張してきた。事務レベルで調整を重ねた結果、日本の主張に近い水準で収まる見通しが高まっている。
交渉関係者によると、米国が日本製自動車部品に課している関税(大半が2・5%)については、2012年に発効した米韓の自由貿易協定(FTA)を上回る関税撤廃を勝ち取れる見通しが立ったという。
日米は、2国間の関税交渉がまとまらないことが原因で、今夏中にTPP交渉全体が合意できない事態に陥るのを避けることで一致している。
通商・安保で中国抑え込み
米議会はTPP交渉の妥結に欠かせないTPA法案を、提出から2か月余りでようやく可決した。与党・民主党が自由貿易で雇用が失われるとして反対する一方、TPP推進派の野党・共和党がオバマ大統領に協力する「TPPねじれ」の構図が長期化の原因だが、民主党の一部を抱き込んでなんとか可決にこぎ着けた。
大統領と米議会が決着を急いだのは、合意間近となっているTPP交渉が米国の政治事情のせいで漂流しかねないとの危機感を抱いたためだ。各国はTPAを持たない米国との合意をためらっている。TPA法案の可決は、ばらばらだった米政府と議会が、一体となってTPPを実現するというメッセージだ。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を主導する中国への警戒感も大きい。AIIBは創設メンバーが57か国に達し、6月末に協定に署名する。米政府はTPPを、アジア太平洋地域の市場を取り込む通商政策としてだけでなく、この地域で中国の影響を抑える新ルールを作る安全保障政策としても重要と考えている。日本にとっても、TPP交渉をまとめることは、両面で意義が大きい。合意に必要な条件がそろった今、各国はいよいよ交渉をまとめる時期に来た。(ワシントン 安江邦彦)
ねじれ国会は、日本でも生じ、第一次安倍内閣では、それまでお金だけで汗を流さないと世界から批難されていた国際貢献に、汗を流すことで歓迎されていたインド洋での海自の燃料補給を断念することとなりました。
各国から信頼を失墜し、自衛隊も情報共有を遮断されることとなり、安倍首相の体調悪化が進み、首相交代、更に政権交代へと、混迷と崩壊の坂道を転げ落ちる時代に突入したのでした。
野党が推進に賛成し、与党が反対する中、見通しが危ぶまれていた法案成立させたオバマ政権。バラバラだった議会や議会と政府が、かろうじて一体となりえたのは、政権の努力もさることながら、中国の力による現状変更の現実が、米国で理解されてきたことが大きく、その中国の言動が、中国にブーメラン現象で米国のパワーが向かったことになりました。
AIIBで、G7を分断された危機感も大きかったのですね。
この危機感は、貿易依存度に配慮し、目先の利益上AIIBに加入したTPP参加国も、AIIBが、中国による中国の為の資金集めと資金ばら撒きの組織である正体が見え始めたことからも、TPP妥結への一体感を産み出すことでしょう。
甘利大臣は、日米韓の課題は峠を越しているとし、全体会議でも早期妥結が可能だと、明るい見通しを述べておられます。
米大統領に大きな通商交渉権限を与える貿易促進権限法案の成立に見通しがついたことを受け、7月中の環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意が視野に入ってきた。甘利明経済財政・再生相は24日、7月中に参加12カ国による閣僚会合を開き、その場での「合意は可能だ」と語った。日米両政府はTPA法案が成立した後、コメなどの詰めの交渉を本格化させる。
米議会上院は現地時間24日夕(日本時間25日早朝)をめどにTPA法案の採決を実施する。23日に議会通過の最難関とされた討論を打ち切るための動議を可決しており、TPA法案の本体も問題なく可決される公算が大きい。既に下院は同法案を可決しており、上院可決後にオバマ米大統領が署名して正式に成立する。
米国を除く参加国は、TPAが成立しなければ「米議会が交渉後に協定内容を修正しかねない」と懸念。TPA成立を大筋合意に向けた交渉に入る前提にしていた。
甘利氏はTPA法案の成立を確認する必要があるとしながらも「7月中に妥結するという決意を持って各国が取り組むことが必須だ」と強調。閣僚会合については「7月下旬あたりに開かれるだろう」と述べた。
日本政府はTPAの正式な成立を待ち、米国との2国間協議も再開させる方針だ。日米は12カ国の全体交渉と並行し、関税削減や市場開放などの「市場アクセス」について交渉を続けてきた。豚肉や牛肉などの分野では基本的に折り合いをつけており、残す焦点はコメと自動車部品だ。
まず双方の事務方が協議し、重要案件は甘利氏と米通商代表部(USTR)のフロマン代表の閣僚交渉で決着をつける見通しだ。一方、12カ国の全体交渉では知的財産などの難問が残り、大筋合意に向けた最大のハードルになりそうだ。
米国の大統領選が熱を帯びる今後。早期に妥結することが求められています。
各国も承知していることです。
独り暴走する中国への抑止力になるとされるTPP。各国の思いは共通のはずです。是非、早期妥結されることが望まれますね。
思い起こせば、国内の反対世論が多い中を、TPP参加に踏み切ったのは、民主党・野田政権でした。農協票に配慮する野党・自民党は腰がひけていました。
バスに乗り遅れるなとの野田さんの英断で間に合い(もともと世界No.3の経済大国日本無しでは効果が薄く、日本の参加が必須だったので、野田さんの評価しすぎ?)、今日では、日米がリードするTPPとなっています。
青山繁晴氏が、TPP反対を唱える理由は、米国主導だからと言っておられますが、体を張って対抗している甘利大臣のおかげで、米国の独走は阻止し出来ていると考えますが、いかがでしょう?
オバマ大統領は、現状を放置すれば、アジアの経済ルールは、中国が決めることになると、米議会へ危機感を訴えていました。
中国ではなく、米がアジアの貿易ルール定めるべき=一般教書演説 | ビジネスニュース | Reuters
中国ではなく米国、と言う事でもなく、中国ではなく、日米他の自由貿易を求める諸国(自由主義諸国と言いたいけどベトナムも加盟国)とすべきですが。
TPPの早期妥結で、アジアの自由と法治の世界が護られることになりますね。
米国同様に、日本でも国内で弱い立場にある産業や人々への手当を並行して進める必要がありますね。(農水産業はTPPとは関係なく老齢化、就業者減対策など改革が必要。)
勿論、アベノミクスの第3の矢の主要な柱(経済基盤改革)のひとつでもあります。
# 冒頭の画像は、一般教書演説で、アジアの貿易ルールについて語るオバマ大統領

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