アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、22日の第5回首席交渉官会合で、創設メンバー57か国が設立協定に合意したのだそうですね。
注目の中国の出資比率は、26~29%で調整されることとなり、融資判断を行う理事は北京本部に常駐しないこと、12人の理事に対し、域外国の理事枠は3人にすること等が決められたのだそうです。
ADBの日本やIMFの米国と比べて中国の出資比率が高い事、理事が常駐しない事、域外国(英、独、仏、伊等)への理事枠は3つであることなどは、中国の主張で取り決められたのだそうですね。
6月末に北京で調印式が行われ、年内の発足を目指すのだそうですが、早くも中国が他の加盟国の意見を押さえて、自国の主張を通す様子が露見されます。
繰り返しになりますが、未だ正式発足する前で、注目されている中で、出資比率こそ50%近くとも言われた当初の比率を下げたとは言え、高い比率。中核となる理事は常駐しない。枠外国として差別する国の理事枠は1/4の3人。と、早くも中国の独裁体制の押しつけが始まっています。
欧州主要国で、既存の国際金融機関並みのガバナンス(統治)が確保されたとの声が出ているとのことですが、何処を指してそのような発言が出て来るのでしょう。
中国も中国で、これだけ自己主張を押し付けておきながら、独裁政治に浸っているせいでしょうか、総裁権限が強いことを、既存の国際機関との差別化とし、AIIBは常に他国からのチェックや金融市場からの評価を気にせざるを得ないと譲歩したつもりになっていて、「自らの国益につながる投融資には、シルクロード基金を使えば良い」と言っている始末。
AIIBは、「自らの国際金融での地位向上や人民元の影響力強化を図るための看板にすぎない」とも。
英、独、仏、伊、豪などは、どう評価しているのでしょう。期待していた通りなのでしょうか。元々、対中貿易の障害防止で加盟しただけで、出資枠は少ないのですから、あわよくば利益のおこぼれがあればよい程度のお付き合い参加なので、この程度でよしとしているのでしょうか。
多少の配慮はあるにせよ、予測通り中国が主導権を握るAIIB。前途多難を想わせます。一方、看板の役割で良いというのであれば、内容が伴わない評判倒れの機関となります。
引き続き、成り行きが注目されます。
# 冒頭の画像は、シンガポールで開催された、アジアインフラ投資銀行の首席交渉官会合に出席した各国の当局者ら
この花の名前は、ユキモチソウ (撮影;六甲高山植物園 2014年 5月)
↓よろしかったら、お願いします。
注目の中国の出資比率は、26~29%で調整されることとなり、融資判断を行う理事は北京本部に常駐しないこと、12人の理事に対し、域外国の理事枠は3人にすること等が決められたのだそうです。
ADBの日本やIMFの米国と比べて中国の出資比率が高い事、理事が常駐しない事、域外国(英、独、仏、伊等)への理事枠は3つであることなどは、中国の主張で取り決められたのだそうですね。
6月末に北京で調印式が行われ、年内の発足を目指すのだそうですが、早くも中国が他の加盟国の意見を押さえて、自国の主張を通す様子が露見されます。
AIIB 中国、出資26~29% 設立協定案合意 資本金倍増1000億ドル (5/23 読売朝刊)
【シンガポール=竹内誠一郎】シンガポールで開かれていた「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の第5回首席交渉官会合は22日、創設メンバー57か国が設立協定案に合意し、3日間の協議を終えた。融資をするかどうかの判断を行う理事は本部の北京に常駐しないほか、中国が出資比率20%台後半で最大の出資国となることが決まった。
6月末に北京で調印式が行われ、年内の発足を目指す。
複数の出席者によると、設立時の資本金を当初予定の500億ドル(約6兆円)から1000億ドル(約12兆円)に引き上げることも決まった。
中国の出資比率は「26~29%で調整」(東アジアの出席者)しており、6月末までに詳細を詰める。インドと、「域内国」となったロシアが主な出資国として続く。また、12人構成の理事会では、欧州など「域外国」に3枠を割り当て、一定の発言権を認めた。
理事の非常駐を巡っては、欧州などから総裁の権限が強まる懸念が示されていたが、意思決定の迅速化や経費節減を唱える中国の主張が通った。
AIIB 中国、主導方針貫く…設立協定 理事非常駐押し通す
【シンガポール=丸山修、池田慶太】「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の創設メンバー57か国が設立協定に合意した。出資比率を抑えて突出した印象を避け国際的な金融機関の体裁を整えつつも、理事の非常駐は押し通し中国自らが主導する方針を貫いた。
22日朝、57か国による会合会場となったシンガポールのホテルのロビーに姿を現した初代総裁有力候補の金立群・元中国財務次官は「協議は常に順調に進んできた」と笑みを見せた。
中国は設立準備を始めた当初、出資比率は「50%前後」になるとの見込みを表明していたが、最終的に「26~29%」になる。12人構成の理事会では、一定の発言権を求める欧州など「域外国」に3枠が割り当てられた。
会合出席者の中からは、「世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など既存の国際金融機関並みのガバナンス(統治)が確保された」(欧州主要国)との評価さえ出た。運営体制作りで国際社会の評価を強く意識したAIIBは、中国にとっては、「自らの国際金融での地位向上や人民元の影響力強化を図るための看板にすぎない」(中国共産党関係者)という指摘がある。
それでも、20%台後半という中国の出資比率は、ADBの最大出資国である日本(15・7%)や、国際通貨基金(IMF)の米国(17・7%)を大きく上回る。中国が重要事項に関する事実上の「拒否権」を持つとの情報もある。また、北京に置く本部に理事は常駐させず、メールによる連絡などで理事会を運営する。総裁らの権限が強くなり「融資案件の決定に中国の思惑が反映されやすくなる」との懸念が出ていたが、既存の国際機関との差別化を重視した。
中国は昨年末、400億ドル(約4兆8000億円)を出資し「シルクロード基金」を独自に設立した。AIIBとともに、習近平シージンピン国家主席の提唱でかつての陸と海のシルクロードを中心に巨大経済圏の構築を目指す「一帯一路構想」を後押しするのが目的だ。
AIIBは常に他国からのチェックや金融市場からの評価を気にせざるを得ないのに対し、基金は中国一国で運営される。中国政府内では「自らの国益につながる投融資には、シルクロード基金を使えば良い」との声も出ているという。
【シンガポール=竹内誠一郎】シンガポールで開かれていた「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の第5回首席交渉官会合は22日、創設メンバー57か国が設立協定案に合意し、3日間の協議を終えた。融資をするかどうかの判断を行う理事は本部の北京に常駐しないほか、中国が出資比率20%台後半で最大の出資国となることが決まった。
6月末に北京で調印式が行われ、年内の発足を目指す。
複数の出席者によると、設立時の資本金を当初予定の500億ドル(約6兆円)から1000億ドル(約12兆円)に引き上げることも決まった。
中国の出資比率は「26~29%で調整」(東アジアの出席者)しており、6月末までに詳細を詰める。インドと、「域内国」となったロシアが主な出資国として続く。また、12人構成の理事会では、欧州など「域外国」に3枠を割り当て、一定の発言権を認めた。
理事の非常駐を巡っては、欧州などから総裁の権限が強まる懸念が示されていたが、意思決定の迅速化や経費節減を唱える中国の主張が通った。
AIIB 中国、主導方針貫く…設立協定 理事非常駐押し通す
【シンガポール=丸山修、池田慶太】「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の創設メンバー57か国が設立協定に合意した。出資比率を抑えて突出した印象を避け国際的な金融機関の体裁を整えつつも、理事の非常駐は押し通し中国自らが主導する方針を貫いた。
22日朝、57か国による会合会場となったシンガポールのホテルのロビーに姿を現した初代総裁有力候補の金立群・元中国財務次官は「協議は常に順調に進んできた」と笑みを見せた。
中国は設立準備を始めた当初、出資比率は「50%前後」になるとの見込みを表明していたが、最終的に「26~29%」になる。12人構成の理事会では、一定の発言権を求める欧州など「域外国」に3枠が割り当てられた。
会合出席者の中からは、「世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など既存の国際金融機関並みのガバナンス(統治)が確保された」(欧州主要国)との評価さえ出た。運営体制作りで国際社会の評価を強く意識したAIIBは、中国にとっては、「自らの国際金融での地位向上や人民元の影響力強化を図るための看板にすぎない」(中国共産党関係者)という指摘がある。
それでも、20%台後半という中国の出資比率は、ADBの最大出資国である日本(15・7%)や、国際通貨基金(IMF)の米国(17・7%)を大きく上回る。中国が重要事項に関する事実上の「拒否権」を持つとの情報もある。また、北京に置く本部に理事は常駐させず、メールによる連絡などで理事会を運営する。総裁らの権限が強くなり「融資案件の決定に中国の思惑が反映されやすくなる」との懸念が出ていたが、既存の国際機関との差別化を重視した。
中国は昨年末、400億ドル(約4兆8000億円)を出資し「シルクロード基金」を独自に設立した。AIIBとともに、習近平シージンピン国家主席の提唱でかつての陸と海のシルクロードを中心に巨大経済圏の構築を目指す「一帯一路構想」を後押しするのが目的だ。
AIIBは常に他国からのチェックや金融市場からの評価を気にせざるを得ないのに対し、基金は中国一国で運営される。中国政府内では「自らの国益につながる投融資には、シルクロード基金を使えば良い」との声も出ているという。
繰り返しになりますが、未だ正式発足する前で、注目されている中で、出資比率こそ50%近くとも言われた当初の比率を下げたとは言え、高い比率。中核となる理事は常駐しない。枠外国として差別する国の理事枠は1/4の3人。と、早くも中国の独裁体制の押しつけが始まっています。
欧州主要国で、既存の国際金融機関並みのガバナンス(統治)が確保されたとの声が出ているとのことですが、何処を指してそのような発言が出て来るのでしょう。
中国も中国で、これだけ自己主張を押し付けておきながら、独裁政治に浸っているせいでしょうか、総裁権限が強いことを、既存の国際機関との差別化とし、AIIBは常に他国からのチェックや金融市場からの評価を気にせざるを得ないと譲歩したつもりになっていて、「自らの国益につながる投融資には、シルクロード基金を使えば良い」と言っている始末。
AIIBは、「自らの国際金融での地位向上や人民元の影響力強化を図るための看板にすぎない」とも。
英、独、仏、伊、豪などは、どう評価しているのでしょう。期待していた通りなのでしょうか。元々、対中貿易の障害防止で加盟しただけで、出資枠は少ないのですから、あわよくば利益のおこぼれがあればよい程度のお付き合い参加なので、この程度でよしとしているのでしょうか。
多少の配慮はあるにせよ、予測通り中国が主導権を握るAIIB。前途多難を想わせます。一方、看板の役割で良いというのであれば、内容が伴わない評判倒れの機関となります。
引き続き、成り行きが注目されます。
# 冒頭の画像は、シンガポールで開催された、アジアインフラ投資銀行の首席交渉官会合に出席した各国の当局者ら
この花の名前は、ユキモチソウ (撮影;六甲高山植物園 2014年 5月)
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