フィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約90キロの海域で、中国海軍の潜水救難艦が、米海軍の無人水中探査機を、450mの目前で強奪するという珍事が発生していました。
盗み獲る方もいい度胸ですが、至近距離で盗まれる米軍も、測量艦とは言え情けない、まさに珍事です。
トランプ氏の、一つの中国への異論に対する、中国政府が指示した牽制行為なのか、海軍現場の独走行為なのかは不明ですが、米中関係の緊張が一気に高まりましたね。 . . . 本文を読む
中国の南シナ海での人口島建設とその軍事拠点化。米海軍のけん制作戦実行要請にも関わらずオバマ大統領が、習近平との交渉で止めさせると制止していたのですが、会談で無視され、「FONP」の実行を許可したことは、諸兄がご承知の通りです。
しかし、作戦を開始したものの、頻度は3ヶ月余りに1回と言うもので、4回目については、ドゥテルテ比大統領の訪中をにらんで、5ヶ月と1週間ぶりにようやく実施されました。
がしかし、3回目までは、曲がりなりにも人口島の12カイリ以内の通航(領海であったとしても無害通航)であったものが、今回は、12カイリの外の通航。
「中国の南シナ海の軍事的支配を牽制するためのFONOPならば、そもそも1カ月に1度でも少なすぎる。極論すれば、1日おきに軍艦やら軍用機を派遣するとともに、中国による領有権を暗に認めないことを示すために、何らかの軍事的デモンストレーションを実施するくらいの覚悟が必要だ」と、米海軍関係の戦略家が指摘する中での、後退した作戦実施でした。
こんな状況を、対中強硬派の戦略家たちは、「こんなFONOPが“アメリカの強い軍事的覚悟を見せつけた”状態であるならば、中国共産党指導者たちはアメリカ側を『臆病者集団』と侮り始めかねない」と、危惧しているのだそうです。
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フィリピンのドゥテルテ大統領が来日、注目に応えるような言動も残し、帰国されました。天皇陛下との面談が、三笠宮さまのご逝去で喪に服されたことで中止になったのは残念でした。
一連のドゥテルテ大統領の発言の中で、遊爺が最も注目するのは、「日本とフィリピンは領有権問題で同じような状況にある。どうぞご安心ください。しかるべき時が来ればフィリピンは必ず日本の側に立っています。」と言う発言です。南シナ海で日中が(米も含みますが)、仲裁裁判所の裁定(フィリピンが原告)遵守=国際法の遵守を巡って対立していることへの説明です。
訪日で注目されていることは何かに、いち早く、ストレートに答えたのですね。中国訪問時、そして帰国時と変遷した発言。そして訪日。その目的が、経済支援の獲得であることも、正直に表明しておられます。
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ドゥテルテ大統領の、実質的には初の外遊と言ってよい中国訪問について触れてきましたが、時と場所でコロコロ変遷する発言は、帰国後もまたまた変化し、米国との「決別」発言について、「関係の断絶と言えば(米との)外交関係を断つことだが、私はそれはできない」と釈明し、「関係を維持することが国民にとっての最善の利益だ」と語っているのだそうですね。
この目まぐるしい変遷は、国際外交では何処の国からも信頼を失うものですね。ドゥテルテ大統領にすれば、訪中で中国へのリップサービスしたつもりが、反響の重大さに、あわてて訂正をしたのかもしれません。
もっとも、「生きている間には(米国には)訪問しない」とも宣言したのだそうですから、独自の麻薬取締方法(国民の支持獲得の決め手)を非難する米国嫌いは一貫している様でもあります。 . . . 本文を読む
注目の比中首脳会談が、20日実施されました。
しかし、共同声明が発表されるには至っておらず、内容や今後の展望は不透明です。
米比の分断を謀る中国の狙いは達成されたのか。中国からの経済支援が途切れたままのフィリピンは、支援の再開を獲得出来たのでしょうか。
仲裁裁判所の裁定を棚上げ=遵守しないことを認めることは、現在も埋め立て継続や、軍事化を進める中国の姿勢を、フィリピンが容認することにもなり、抵抗の先方だったフィリピンの変節は、米国ほかの国々の対中勢力図への影響も大きく、国際法を無視する中国の力(金力と軍事力)による覇権拡大が加速されることになります。 . . . 本文を読む
フィリピンのドゥテルテ大統領が、ASEANの会議出席で外交デビューしていましたが、初の各国歴訪外交として中国、ブルネイ歴訪を開始します。最初の歴訪先に中国を選んだのは、ドゥテルテ大統領が外交課題で、よくもわるくも最重要視しているのが中国であることの意思表示ですね。引き続き、25日には来日の予定です。
フィリピンのトランプと揶揄されるドゥテルテ大統領は、フィリピンファーストで、個人的な歴史観で徹底した反米の言動を続けていることは、諸兄がご承知の通りです。
揺れ動く発言で、外交姿勢が読み取れませんが、中国の領海侵犯に対し、これまでの米国の支援を受け乍ら対峙する姿勢を転じ、対中外交からも国益を引き出す独自路線(多角度外交)の様に理解されます。それは、韓国の盧武鉉元大統領の「均衡論」や、朴槿恵の米中の間でのコウモリ外交の失敗の結末と同じ道を辿る、リスクの多い路線だと考えられます。 . . . 本文を読む
日中以外の第三国の研究者が尖閣問題に特化した本を出版するのは初めてとのことですが、印陸軍のシンクタンク、陸上戦闘研究センターのモニカ・チャンソリア上級研究員が、尖閣諸島問題と日中関係に焦点をあてた本をインドで上梓されたのだそうです。
本のタイトルは「China,Japan,and Senkaku Islands」。たどり着いた結論は、「中国の主張には一貫性がない」。尖閣諸島は日本固有の領土である。
慰安婦問題で、米国での世論争奪では、米国人の協力が必須とするケネディ日砂恵さんの指摘を取り上げさていただいています。尖閣の東シナ海や南シナ海への中国の国際法を無視した覇権拡大にも、アジアの多くの国から、多くの研究者による意見の発信が求められます。
アジアの雄国の陸軍のシンクタンク所属の研究者から、英文での書籍が発刊されることには、大きな意義がありますね。 . . . 本文を読む
米軍の軍事拠点でもあるフィリピン・スービック港から約220キロの要衝で、中国が2012年から実効支配しているスカボロー礁の埋め立て準備が、ASEAN諸国や、日米中他の諸国の一連の会合が終わらない内に開始されていることを、フィリピンが公表したことは、諸兄がご承知の通りです。
オバマ大統領は、かねてより「スカボロー礁の軍事化はレッドライン」と、繰り返し唱えていたのだそうですが、今回の中国の行動に対し、アクションを起こす様子はまだ見られません。
シリアやウクライナでも「レッドライン」の表現を用いながら口先だけで行動しなかったオバマ政権。今回も口先だけで終わるのかと危惧するのは、北村淳氏。 . . . 本文を読む
G20で幕が開き、ASEAN諸国の首脳会議、ASEAN諸国と、日米中の個別会談を経て仕上げの、計18か国による東アジア首脳会議(EAS)が開催されました。
この間、国際法を無視して、南シナ海や東シナ海で力による現状変更をする中国に対し、フィリピンが提訴し勝利した南シナ海の中国が主張する「九段線」を否定した仲裁裁判所の裁定を守る様要求して、国際法の順守を要求する日米などと、習近平政権の面子が潰されて裁定を無視する中国との世論争奪戦が展開されました。
EAS終了までの結果について、読売新聞は、日米側の負けとの判定を下しています。 . . . 本文を読む
G20が終了し、南シナ海の攻防は、ADSEAN首脳会議や、ASEAN+日本、ASEAN+中国、ASEAN+日中韓、東アジア首脳会議(EAS)の席へと引き継がれています。
ただ、ASEAN首脳会談では、南シナ海の仲裁裁判所の裁定に触れない様子で、G20同様中国の事前の根回しが効いている様子ですね。
日米などは、仲裁裁判所の裁定を盾に、中国の国際法を無視した暴挙を阻止したい意向ですが、肝心の提訴したフィリピンのドゥテルテ大統領がオバマ大統領を誹謗する発言をし、両国の首脳会談が中止される事態を招いて、中国につけいるスキを与えています。
ドゥテルテ大統領は、安倍首相との会談では、「仲裁裁判の結果は尊重されるべきだ。一方、中国との対話は今後も行っていく」と述べ、日米等との協調と、中国の甘言との間でのコウモリ外交を示唆しているのですね。 . . . 本文を読む
「偉大なる中華民族復活」を掲げる習近平は、ベルサイユ体制の破棄による「大ドイツの建設」を目標に、ヨーロッパにおいて独善的な行動を開始したヒトラーと酷似している。スカボロー礁の埋め立て、滑走路建設、レーダー基地などの設置を許すならば、ヒットラードイツに西欧社会が数次の宥和と譲歩を重ねている間に機を失し、第2次大戦という最悪の状況に追い込まれていった歴史に重なると指摘するのは、元陸自第二師団長の久保善昭氏
宥和と譲歩を重ねている間に機を失し、断固とした対抗手段もとれず、チェコ併合の段階に至ってにわかに強硬姿勢に転じたが、すでに時遅しという轍を踏んではならないと提言されています。
また、仲裁裁判所のよる島の認定判断が、沖ノ鳥島に及ぼす影響への対策実施を促しておられます。
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「偉大なる中華民族復活」を掲げる習近平は、ベルサイユ体制の破棄による「大ドイツの建設」を目標に、ヨーロッパにおいて独善的な行動を開始したヒトラーと酷似している。スカボロー礁の埋め立て、滑走路建設、レーダー基地などの設置を許すならば、ヒットラードイツに西欧社会が数次の宥和と譲歩を重ねている間に機を失し、第2次大戦という最悪の状況に追い込まれていった歴史に重なると指摘するのは、元陸自第二師団長の久保善昭氏
宥和と譲歩を重ねている間に機を失し、断固とした対抗手段もとれず、チェコ併合の段階に至ってにわかに強硬姿勢に転じたが、すでに時遅しという轍を踏んではならないと提言されています。
また、仲裁裁判所による島の認定判断が、沖ノ鳥島に及ぼす影響への対策実施を促しておられます。 . . . 本文を読む
ラオス・ビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議の共同声明で、仲裁裁判決への言及が盛り込まれず、声明は事実上、骨抜きとも言える内容となりましたね。
中国の王毅外相が早目に乗り込み、南シナ海問題を巡る親中国や中立国に、札束外交を展開し根回しをした成果です。
日米は、国際法の仲裁裁判所の裁定を掲げ、中国の南シナ海での暴挙を牽制する包囲網を、ASEAN外相会議では構築出来ず、各国の抱き込みでは、中国の札束外交が勝利しました。 . . . 本文を読む
南シナ海ネタを続けます。仲裁裁判所の裁定で「九段線」を否定され、根拠を失った大失態の中国共産党。その失政の責任追及に注目していましたが、日経で言及する記事がありました。
野田政権が突如尖閣国有化に踏み切った時、胡錦濤が野田首相(当時)に暫くの延期を要請したにも関わらず、数日後に公表し、胡錦濤の面目をまる潰ししました。その後の「北戴河会議」で、一時消息不明だった習近平が復権し、胡錦濤は退任後の影響力を奪われてしまいました。江沢民他の老齢実力者が、尖閣国有化の日本への胡錦濤の姿勢の責任を問うたことが一因だったと遊爺は考えていました。
今回の「九段線」否定は、中国にとってはそれ以上の大打撃ですから、来年のチャイナセブンの改選を控える中、中共内の責任追及に注目しているのです。 . . . 本文を読む
フィリピンが提訴した南シナ海を巡る仲裁裁判所の裁定に、中国は南シナ海での覇権を唱える根拠の「九段線」を否定され、裁定を無視・反発していてその動向に注目が必要ですが、背を向けるどころか、力による実効支配の強化を始めてきました。
国際ルールである海洋法に基づく仲裁裁判所の裁定を中国に守らせるには、国際世論を結集するしかありませんね。
極東の出来事としてとかく関心が低い南シナ海、東シナ海の中国の力による覇権拡大。当事国の日本が、米国他、豪・印などの雄国と連携して、世界世論を喚起するしかありません。また、それが紛争当事国の多くが日本に寄せる期待でもあるはずです。
安倍首相の外交手腕の発揮に期待します。 . . . 本文を読む