yuuの夢物語

夢の数々をここに語り綴りたい

恋塚 横笛・・・10

2007-12-13 14:42:48 | 創作の小部屋
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恋塚 横笛
           2
10
    春霞が天野の里に満ち溢れております。この世の全てのものを包み込んでいるようでございます。胸に沁みこんで来る白い空気を一杯に吸い込みました。
    この霞はあの時頼様の高野へも繋がっている。そう思うとなぜか心が安らぐので御座います。
    「横笛」と言って霞の中にぼんやりと一人の僧が現われじっと私を見つめていてくださるのです。
    「時頼様」小さく声を落とします。
    この心の張り裂けんばかりの高鳴りは・・・。
    このときに女であることを感じるので御座います。墨衣を全て取り除いて飛び込んで行きたい、そんな衝動に駆られるのでございます。膝座間付き両の手を胸の前に合わせるので御座います。
    朝の霞の中でのこのひと時がこの天野の里へ来て持つことの出来た幸せなので御座います。
    妄想・・・。いいえ現実なのです。
    今ではしっかりと時頼様のお顔を覚えておりますもの。お声も・・・。凛々しいお姿も・・・。
    私の中ではっきりと捉えることが出来るのでございます。
    空の色が変わっていくと霞は潮が引くように消えていきました。
    一人庭に伏す私の姿が、まるで露が明かりに奪われるように、思いも消えてなくなってしまうので御座います。
    深い緑の空がだんだんと薄い緑に変わり黄色に移り青に目覚める、そんな自然の生業を恨めしく眺めながら、簡単な仏壇に向かって朝のお勤めをいたすので御座います。
    時頼様の恙無きご無事をただ祈るので御座います。
    それが終わりますと、朝餉の用意をいたし、漬物と粥を戴くのでございます。

    

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皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・

恵 香乙著 「奏でる時に」
あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。

山口小夜著 「ワンダフル ワールド」文庫本化決定します・・・。
1982年、まだ美しかった横浜―風変わりなおんぼろ塾で、あたしたちは出会った。ロケット花火で不良どもに戦いを挑み、路地裏を全力疾走で駆け抜ける!それぞれが悩みや秘密を抱えながらも、あの頃、世界は輝いていた。大人へと押しあげられてしまったすべての人へ捧げる、あなたも知っている“あの頃”の物語。

山口小夜著「青木学院物語」「ワンダフル ワールド」の文庫本・・・。

作者のブログです・・・出版したあとも精力的に書き進めています・・・一度覗いてみてはと・・・。
恵 香乙さん

山口小夜子さん

環境問題・環境保護を考えよう~このサイトについて~
別の角度から環境問題を・・・。
らくちんランプ
K.t1579の雑記帳さん
ちぎれ雲さん


恋塚 横笛・・・9

2007-12-13 01:10:41 | 創作の小部屋
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恋塚 横笛
 9
    叔母を頼って「法華寺」で髪を下ろしました。
    「黒い衣を着けるのは色に迷わぬことですよ。女子の黒髪を下ろすのは女子の命を捨てることなのですよ。
    今まで多くの女子が髪を下ろしました、が、女の命まで捨てることが出来なかった女子は多かったのですよ。女の性とは何と強欲なものなのでしょうね。
    御仏に縋るのですよ、ただ御仏に・・・」
    叔母の尼はそのように言って戒めてくださいました。
    尼としての毎日、日の巡り、そんな日々の中でもお会いしたことのない時頼様の面影は離れることはなかったのでございました。
    煩悩・・・。絶ちがたい想い・・・。御仏への祈り・・・。その相克の中で我が身の想いと性に苦しんだのでございます。
    御仏に縋れば縋るほど、時頼様への想いは深く重くなっていったのでございます。
    なんと言う悪戯でございましょうか・・・。
    時頼様のお傍へ、よりお傍へ・・・。そんな想いが終日駆け巡り日に日に高まって行ったのでございます。
    我が身をもてあますほど身を焦がしたのでございます。    

    寒椿が音を立てて落ち、梅の花が蕾を付ける頃・・・。
    僅かな荷物を背負い、京を落ちたのでございます。
    何もかも捨てて・・・。
   伏見から宇治を過ぎて奈良へ・・・。そして、天野の里へ・・・。
    背荷物の中には、時頼様の文がいっぱい入っておりました。この文はお傍に行ってから読もうと決めていたのでございます。

    

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皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・

恵 香乙著 「奏でる時に」
あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。

山口小夜著 「ワンダフル ワールド」文庫本化決定します・・・。
1982年、まだ美しかった横浜―風変わりなおんぼろ塾で、あたしたちは出会った。ロケット花火で不良どもに戦いを挑み、路地裏を全力疾走で駆け抜ける!それぞれが悩みや秘密を抱えながらも、あの頃、世界は輝いていた。大人へと押しあげられてしまったすべての人へ捧げる、あなたも知っている“あの頃”の物語。

山口小夜著「青木学院物語」「ワンダフル ワールド」の文庫本・・・。

作者のブログです・・・出版したあとも精力的に書き進めています・・・一度覗いてみてはと・・・。
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