yuuの夢物語

夢の数々をここに語り綴りたい

恋塚 横笛・・・7

2007-12-11 14:21:04 | 創作の小部屋
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恋塚 横笛

帰りましても気もそぞろ何も手につかずに、ボーとして暮らしておりました。
「病気になりますよ」
と、局様が声をかけてくださいます。
すっかり京の山々は赤く燃えておりました。命を終える前、枯れる前
    に緑を落とし色を変え、風の悪戯に身を任せ舞って終えるのでございます。
    一塵の風が京の町に吹き、枝の葉を落として、風花の舞う季節になるのでございます。  
    季節のめぐりも私には感じられませんでした。
    私の心の中には想いが満ち溢れ十五の体が震えていたのでございます。
    それは不実への懺悔であり、時頼様の人生を変えてしまったという私のおろかな行いへの後悔でございました。
    終日部屋に閉じこもり何もせず、ただ時頼様の文をいっぱいに並べて見入っていたのでございます。
    「横笛、何でも滝口様は京を離れて高野山へ入られるそうな」
    「京にいては横笛のことを思い出して御仏の修行に身が入らぬということのようですよ」
    「そなたも何と罪なお人じゃな・・・」
    様々な言葉が耳に入ってまいります。
    「横笛、そなたはどうするのです。このままではそなたは悪者になりますよ。一人の殿方を弄んだと巷ではもっぱらの噂・・・。さて、さて、どうすればいいでしょう。・・・何か好い手立てはないものでしょうかね」
    その一つ一つの言葉に身を切られる思いでございました。
    私さえこの世にいなければ・・・。
    そのように思う日々が続きましてございます。
    食べ物ものどを通らず、水さえ受け付けられず・・・。
    身を斬るような京の冷たさの中でわなわなと震え、まるで牢獄に繋がれた人のように絶望に苛まれたのでございます。
この寒さの中じっと身を縮めて春を待つ冬芽がなぜかうらやましゅうございました。春になれば枝葉を広げ背いっぱいの伸びが出来ることへの羨望でございました。冷たければ冷たいほど美しい花を咲かす、それが冬芽というものなのでございます。

    

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皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・

恵 香乙著 「奏でる時に」
あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。

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1982年、まだ美しかった横浜―風変わりなおんぼろ塾で、あたしたちは出会った。ロケット花火で不良どもに戦いを挑み、路地裏を全力疾走で駆け抜ける!それぞれが悩みや秘密を抱えながらも、あの頃、世界は輝いていた。大人へと押しあげられてしまったすべての人へ捧げる、あなたも知っている“あの頃”の物語。

山口小夜著「青木学院物語」「ワンダフル ワールド」の文庫本・・・。

作者のブログです・・・出版したあとも精力的に書き進めています・・・一度覗いてみてはと・・・。
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