今月14日、自民・公明両党が2018年度税制改正大綱を決定した。
総じて個人向けには負担増、企業には減税、優遇という構図になっている。
他方、報道によると企業が抱える現金と預金が2016年度末に211兆円と過去最高に膨れ上がっているという。アベノミクス前と比べると3割(48兆円)もの増加だ。
一方、人件費はほぼ横ばいで、企業の空前の利益が労働者に全く回っていないことが明らかとなっている。
これは何も企業だけに限った話ではない。地方自治体や社会福祉法人の中にも、用途の目途のない莫大な内部留保・基金をため込んでいるところがある。とんでもない話であり、一刻も早く、そこで働く人々のために、あるいは公共の福祉のために還元されなければならない。
企業の好業績が従業員に還元されていないことが明らかになっているのにもかかわらず、それでもなお、安倍政権は企業優遇の税制を推し進めようとしている。
これは、ご本人がいくら否定なさろうと、富める者が富めば、やがて貧しい者にも自然に富がしたたり落ちてくるといういわゆるトリクルダウンの思想が安倍首相の経済政策の根底にあるからだろうと推察される。
しかし、富める者が富んでも、彼らは、ただただそれを抱え込むこと以外、頭の中にはないのだから、何十年待とうが何百年待とうが、富が私たちのところまでしたたり落ちてくることはない。
いや、待てよ。何故、ここまで明白となっていることがお分かりにならないのだろう。いや、お分かりになっていないはずがない。そう言えば、いつの頃からか、安倍政権の周囲からトリクルダウンという言葉が聞かれなくなった。では、何故。
いけない、いけない。根が素直でないものだから、ついついネガティブな妄想が広がってしまう。