夢地蔵

田舎の映像作家の備忘録

17本目のテープはそのまま ”絵”

2022-08-05 06:20:58 | Weblog
40代初めに撮りまくったビデオテープを映像による絵画の素材としてまとめていますが、昨日は完成した16本をYouTubeにアップしました。
続いて取り掛かったのは黒姫山麓の開拓地の、傾斜のあるキャベツ畑で撮った映像です。
アナログテープによくあるドロップアウト、横引きノイズが出るのが気になりますが、構図といい雲が流れる空の状況といい、素晴らしい映像です。

テープ冒頭です。徐々に雲が消えて黒姫が全部姿を現すだろうと期待して撮影開始。

そのままで「絵」じゃないですか!

使ったカメラはEDC-50で、ろくに説明書も読まずバックアップ電池を入れてなくて日付けと日時が記録されていませんが、多分1992年5月です。
12分経過。

上空の雲で畑も林も明るさが微妙に変化しています。

38分経過。右の林の白樺が効果的です。

青空に透ける部分の雲が紫系に見えますが、透明水彩で描く場合紫はよく使われていますね。

画面右奥の黒姫山は流れる重い雲に遮られて稜線が見えるのは一瞬ですが、これが雲ひとつない青空では単なるめでたい映像になったでしょう。


50分経過。上空に雲が流れて畑に影が落ちて暗くなっています。


でもテープの終わり頃には雲が切れて黒姫が全身を現すのではないかと付近を散策しながら待った感覚が戻りましたがそれは叶いませんでした。
見えそうで見えない。それでいいじゃないですか。
畑の向こうの盛り上がった部分で白い何かが動いていますが、微かな記憶ではあれはヤギです。

繋がれた範囲で草を食んでいたのだと思います。この静止画ではわかりませんが。

90分経過。陽射しが戻ってあたりが再び明るくなりました。

遠い雲は右から左に流れていますが上空の雲は奥から手前に流れています。

テープエンド。


この日撮った映像はドロップアウトが目立つので撮り直そうと後日再び行きましたが厚い雲に覆われて黒姫は全く見えず断念したのも思い出しました。
でもあの日、柳の綿毛がまるで雪のように舞っていたのは鮮烈に覚えています。

愉快なのはテープの終わり近く、車が近付く音が入っていたこと。遠くにジープを停めていた私が撤収のためにカメラのところに来たんです。
ディーゼルターボの音を久しぶりに聞きました。懐かしいなあ。

私がこの映像を素材に、例えば透明水彩で絵を描くとして考えてみました。
アウトラインは映像を再生しながら鉛筆で描いて、刻々と変化する画面のどの時点を絵の具で色を載せるか。

ここで面白いことを思い付きました。
映像は逆転も早送りも停止も簡単です。それなら一番絵になるところで停止すりゃいいじゃないか。
これが写真ならたとえ三脚を使って同じ構図で何枚撮っても所詮静止画。
映像なら2時間ということは120x60x30で216,000枚の静止画。
しかも時間軸の移動が自由という、写真では考えられないことが可能です。

現場で風景と対峙して描くのが風景画本来の方法ですが、映像なら時系列を自由に移動することが可能って、絵を描く新しい方法じゃないですか。
やっぱり映像を絵の素材にするってのは写真で描くより有利だと思います。
もちろん映像のひとコマをそのまま描くんじゃ無意味ですが。

引き続き次の作業に掛かりました。
編集を済ませてAVIファイルを書き出してmp4にエンコード、完成したファイルのアップロードです。

手順はすっかり慣れました。

一服している間にアップロード完了。YouTubeにリンクを貼ってあります。

SD画質なのでやや甘いけど絵の素材ですから妥協。
コメント
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