ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

脆弱なのは、心か肉体か、はたまた器物か、人間関係か?

2007-04-15 | 映画
機械じかけの小児病棟」(FRAGILE:A GHOST STORY)

ジャウマ・バラゲロ監督作品を見るのは「ダークネス」「ネイムレス」に続いて三本目。

前の二作がなんとも宇宙的恐怖(コスミック・ホラー)的な要素を具えた作品であったし、「開かずの階にいる、機械を付けた少女」とかいう不気味な要素をちらちらと聞いていたのでひとひねりあるかと思ったら、原題の副題にあるとおり、ストレートに「幽霊譚(ゴーストストーリー)」だった。

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舞台はイギリスのワイト島の、人里離れた地域に建つマーシー・フォールズ小児病院。老朽化に伴う閉鎖のため、翌日には患者全員も完全に転院できるはずだったのに、折悪しく大規模な列車事故があり、受け入れ先の病院のベッドが塞がったために、八人の小児患者を残して閉鎖が数日先送りになってしまった。

夜間勤務として緊急に雇われた看護士のエイミーは、着任早々に患者のひとり、難病を患う少女マギーと心を通わせる。深夜、大きな叫び声のような物音を聞いたエイミーに、マギーは言う。シャーロットの仕業だと。

子どもたちによれば、閉鎖された上階にシャーロットという機械を付けた女の霊がいるのだという。

前任者スーザンの突然の退職も、患者のひとりサイモン少年の骨折も「シャーロット」の仕業なのか? エイミーは意外な真相に近付いていく……。

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「機械を付けた少女の幽霊」という、不気味なイメージを提示しながら、実はその霊の正体が……という、実にストレートな怪談である。

そう、怪談だ。Jホラーは概ね「怪談映画」とモダン・ホラーの融合体のような映画だが、アメリカ映画とは違って、スペインの監督ジャウマ・バラゲロのこの作品は「怪談映画」の味わいがある。舞台がイギリスなのも、やはり、「怪談映画」っぽさを醸しているような気がする。

*そう。イギリスなんだな。エレベーターが「0・1・2」だからな。子どもらの病室は1階といいつつ、実は2階。シャーロットのいるという2階は、3階。0階(グランド・フロア)が地上階だからね、イギリスでは。*