ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

安易な続編は、所詮そこまでなのだが、登場人物は可哀相だよな……

2007-03-20 | 映画
キャリー2」“the RAGE CARRIE 2”

プロデューサーはポール・モナーシュであり、部分的には前作のフィルムを使っているくらいだから、正統な続編なのである。

1999年作品。23年を隔てた続編であり、スー・スネル役でエイミー・アーヴィングも出演している。

精神に異常を来たし、強制入院させられる母親。冒頭、蝋燭に照らされる部屋や、キリスト像など、前作を踏まえたギミックが提示され、しかも幼い少女の意志に逆らい、鳴動する窓・窓・窓……そして、回転する画面と、一匹の犬をターニング・ポイントとして、少女が娘へと成長したとわかる。

レイチェル・ラング(エミリー・バーグル)は養父母に世話をされながら高校に通っている。ある日スクールバスで、そろいのタトゥーを彫った親友が「遂に経験した」と嬉しそうに語り、「お相手の告白は昼のお楽しみ」と言っていたのに、屋上から飛び降り自殺してしまう。

レイチェルを慰めるカウンセラーのスネル先生は、彼女自身もいまだに抜け出せないトラウマを抱えているのだった。(もちろん、20年前のあの事件だ! しかも、あの火災現場は今もそのまま。ただしキャリー・ホワイトは悪質な放火犯と世間では思われている。)

高校のフットボール・チーム「ブルドッグス」のスター選手たちは許しがたい悪い遊びを繰り返していた。女の子を弄び、その「数と質」を競っている。「ブス」の「処女」を陥すと高得点なのだった。レイチェルの親友はその毒牙にかかったのだった。

……ラストのテレキネシスの嵐による惨劇に、「怒り(レイジ)」の暴走に、ひたすら物語は突っ走っていくのであるが、そのお約束ぶりが悲しいのである。

国語(English)の授業における作品理解が「ロマンチック」である「彼氏」というのが、トミー・ロス(ウイリアム・カットが前作で演じていた人物)の再来のようだが、トミーよりははるかにセコイ人物なのも悲しいような……。「惨劇」に遅刻した理由だって……。

おなじ役者がおなじヒーローやヒロインを演じている続編(たとえば「ダイ・ハード」や「ブレイド」のように)ではなく、とにかく無理やり続編系の作品は大概オリジナルの3分の1程度のテンションで出来上がっていれば及第点じゃないかな、と思うが、この作品はそれくらいの「面白さ」は具えていると思う。

その程度で許せるならばご覧ください。

スー・スネルが精神病院でレイチェルの母親から聞き出す「衝撃の事実」も……お楽しみに!!