カメラマサムネ

スピッツ・草野マサムネさんの詞からみつけた花・夕焼け・風・人・ぬけ道 撮ってみました

「子供じゃない」

2009-08-10 01:39:29 | 本本本

ゴールドラッシュ 柳 美里著 2001年 ★★★☆☆

この人の書く文章には思春期の頃から触れていた。
実家でとっていた「週刊朝日」に毎週彼女のエッセイが載っていたからだ。
当時は

「どろどろっとしたワイドショーみたいなネタばっかり持ってる人だな」

「なんだか根暗そうだ」そんな印象を持っていた。

小説を初めて読んでみて。
やっぱり同じ感想を持ちましたた(笑)暗く、じめっとしていて
粘りつくようなけだるい空気感、どこを向いてもやる気の出ない諦観。

この本を読んでいる間中、心が重かった。
最後まで読んでも釈然としない部分もあった。でも希望もあった。
出てくるヤクザの方がまだよく見えるほど、少年の心に巣食った闇は大きく感じた。

リアルでグロテスクな描写が平気な人、
特殊な環境で育った14歳の少年と少年犯罪に興味がある人におすすめです。

「つい安心しちゃって」

2009-07-16 00:26:05 | 本本本

ホーリーガーデン 1995年 江国香織著 ★★★☆☆

30手前の女性の友情。
ひりひりしてくるような、生生しい描写がいっぱい。
この本を「バイブル」としている人には、こうゆう関係の女友達がいないんだろうなあ。

こんなに痛いテーマなのになんだかふんわりした空気に包まれている。
それが江国さんの持つ筆の力なんだろう、と思うんだけど
どこかで釈然としない気持ちがしつつ読んだのも事実。

何気ない毎日が彩り豊かで魅力的なものに思える。それも素敵なことだ。
でもそれを過ごしている主人公がそこに空虚さと強烈な孤独を感じているとしたら
周りから見たら羨ましいような気がしても、全く無意味なことに思える。
少なくとも私は、この主人公たちを頑張ってるな~と思いつつも
こうなりたくない!!と強烈に思ってしまったのでした。

女性同士の友情の微妙な緊張具合、不倫や忘れられない恋
そういったものに興味がある人におすすめです。

「赤い花を飼ってるって」

2009-06-26 12:35:26 | 本本本
黄泉びと知らず 梶尾真治著 2003年 ★★★☆☆

映画化されて大ヒットした「黄泉がえり」を書いた著者の短編集。
泣かそうとする話が多いのかなぁなんて読み始めたのだけど、これがSFちっく!
そう、「If」が大きく膨らんだ、空想の翼よどこまでも~♪ってな作品たちです。

くすっと笑わせる箇所あり、ほろりとする処あり、
さらには・・・ゾクっと恐怖を感じるところあり。
そして共感を誘う、見事な観察力が随所にちらほら。
短編の名手と謳われているそうですが、なるほどその評判にも納得です。

身近で、近未来で、まさかこんなことが起こっちゃったら?!という
非日常の世界に想いを馳せてみたい人、空想するのが好きな人におすすめです。

「なんばするとね」

2009-06-18 12:48:04 | 本本本
そこに僕はいた 辻 仁成著 1992年 ★★★☆☆

よく覚えているな~!っと感心する、小学生から大学生くらい?までの
思い出の数かず、友達とのエピソードがてんこもりの青春エッセイ。

私は果たしてこれほど多くの友達との出来事を覚えているだろうか?と自問すると
うーん。。。とうなってしまう。もっと自分の事ばっかり考えていた気がする。

辻仁成という人の文章は正直苦手。
「冷静と情熱の間」で初めて読んだときになんてキザなの!ムリムリ!!
と思って以来手にとることはなかったのだけど
中山美穂と電撃的な結婚をしていらい(「やっと会えたね」だったっけ?)
やけに気になってました。中山美穂を落とせるって本当に、スゴイ。

エッセイってこともあって、彼の人柄がよく分かりました。素敵で愛される人。
博多の町や方言が出てきてマサムネさんをほのかに思い出せます。

辻仁成、その人について興味がある人にオススメです。

「なんで私がこんな目に」

2009-05-24 23:22:26 | 本本本
邪魔 奥田英明著 2004年 ★★★☆☆

この人の本は4冊目くらいかな?
他の(直木賞受賞作以降)とは随分趣が違う作品です。
最近あまり読書モードじゃなかったのだけど、これを読んでみて再確認。
う~ん、警察が主人公の事件小説系や
ふつうの人の不幸を描く系は今の気分じゃないんだな。
もっとぐっと熱かったり温かいものや核心を求めているようです。

人物造詣とかも悪くないとは思うんだけど、重複が多くリズムに乗れてない感あり。
テンポよく行きましょう!さあ、次次!と時間が足りない最近は思っちゃいます。

警察小説が好きな人、平凡な主婦の日常が崩れてゆく様に興味がある人にオススメです。

「異常はなかったとも言えるし、異常はあったとも言える」

2009-05-09 08:22:47 | 本本本

パン屋再襲撃 村上春樹著 1989年 ★★★☆☆

イスラエルで文学賞受賞してましたね!おめでとうございます。
スピーチ全訳を読みましたがさすがの一言です。本当に。

これはきっと昔に読んで、そのときには印象に残らなかった本。
でも今は物語の主人公よりも自分が歳をとって、言いたいことが分かるようになった。
高校時代に読んだ「ノルウェイの森」や「風の唄を聴け」なんかも
今読んだらもっとずっと物語の真髄が理解できるようになってるんだろなあ。

それにしても一貫して同じテーマなのがすごい。
ここまで同じテーマで色んな話が書ける、その創造力がこれまたすごい。

なんだか最近、喪失感や損なわれた感を味わっている人、
どっぷり村上春樹節に浸かりきりたい人におすすめです。

20歳年が離れていようと

2009-04-15 10:38:16 | 本本本
やんごとなき姫君たちの不倫 桐生操 著 2008年 ★★☆☆☆

ヨーロッパのゴージャスな時代の姫君たち。女王、寵姫(王様から寵愛を受ける愛人)
についてなどが、まぁ、いろいろと描かれています。
知らなかったことも多々です。

女性の宮廷内の根回し・嫉妬、などなど大奥に通じるものがあるのかも??
若干エロティックではありますが、パパーっと流し読みで終わってしまった。

題名ほどには面白くなかったのは、
もうこのシリーズが第6弾だからなのでしょうか。
もしくは今の私の心が求めるものがなかったからなのでしょうか。

とはいえ。

ヨーロッパのお姫様・女王や愛人たちの生活に興味のある人にオススメです。

「人生については誰もがアマチュアなんだよ」

2009-04-02 23:27:53 | 本本本
ラッシュライフ 伊坂幸太郎著 2005年 ★★★☆☆

5つ(もしくは4つ)の物語が併走する、そうゆうお話。
どう語ったらネタバレにならないのかが分からないのだけど
とにかくネタバレしてしまったら、面白さが半減なのでアール!!気をつけてっ

そうそう。バラバラの死体が出てきます。
そのあたりの描写に恐怖を覚えそうな人は夜中に読まない方がいいかも。

えっと、ネタバレになっちゃうから言えない部分が、面白かった~☆☆
その他作者の言いたいコトが随所散らばめられているのだけれど
他の作品に比べてぐっとくるものが少なかったので、この点数。

はらはらしながら一気に先が気になって読みたくなる本が好きな人、
パズルが好きな人におすすめです。

「かんじんなことは、目には見えないんだよ」

2009-03-14 09:02:18 | 本本本
星の王子さま サン・テグジュペリ著 ★★★☆☆

あまりに有名なこのフレーズ、この題名。
しかしこの年になるまでちゃんと読んだ事のなかった、巡り合わなかった本。

今回期待しすぎたのか何なのか「大切なことを教えてくれる」要素があまりに強く
教科書的なものを感じてしまった・・・残念!!

もっとさりげなく散りばめられているのかと思ったら
これでもかこれでもか、とその教訓が全面に出ていたのね~そうなのね~。
訳が違えば、また違うのかもしれない。他の人の訳も読んでみようと思う。

でも何はともあれ、各国で長い間愛され続けてきた名著とゆうことは変わりがない。
それは本当にすごいよね。一時的に売れる方がずっとずっと簡単だけど
残ってゆくものってゆうのは「ホンモノ」だと思うから。
うん、また別バージョンを読んでみよう。そのときは感動するかも、
って期待しすぎは禁物であール

あ。挿絵、とーーっても素敵でした。

「男って冷たいもンね」

2009-03-08 17:06:14 | 本本本
浮雲 林 芙美子著  ★★★☆☆

鹿児島で偶然入った文学館。そこでこの作者が取り上げられていて。
主人公が屋久島を目指す・・・その部分にどっきり。自分ジャン。
作者の一番有名な作品「放浪記」はさておきまずこちらを。

女と男の心模様を、これでもかってくらい、浮き彫りにした作品。
特に「腐れ縁」って言葉を身をもって体験したことのある人には痛いんじゃないかな。

とにかく、くさくさして、虚無感いっぱいで、投げやりで、鬱陶しくて、
もう明日のことなどどーでもなってしまえ。そんな雰囲気が満ち満ちている。
少なくとも梅雨の季節には読まなくてよかった。気分が塞ぎこみそう。

ただ、「真実」がいたる処に散らばっている。それがまた突き刺さるんだなぁ。

男と女の間に横たわる情熱や誤解、腐れ縁といった物をまじまじと味わいたい人、
戦中・戦後の日本の雰囲気に興味がある人におすすめです。