いつだったか、友人の城戸朱理さんと呑んでいる時に、
城戸さんの80歳を越えたご両親の話になった。
「歳を取ると、一日に一つのことしかできないって言ってた。だから、今日は、これをすると決めて、それをやるんだって……」と、城戸さんはお父様の言葉を口にして、ウイスキーのグラスを傾けた。
城戸さんのご両親は震災後に相次いでお亡くなりになられた。
(城戸さんは鎌倉、ご両親は岩手県盛岡市にお住まいだった)
最近、自分の歳を実感する。
なるほど、一日に一つのことしかできないようになった。
仕事の打ち合わせをしたら、それで終わり。
長い手紙を書いたら、それで終わり。
本を読んだら、それで終わり。
会食があったら、それで終わり。
一日に一つしかできないならば、その一つを書くことに絞らないと、書くべきことを何も書けないうちに一日が終わってしまう。
しかし、それが、なかなか難しい。
時間が自分の自由にならないのだ。
バッターボックスに立って、ただただ球を見送っているような毎日――。
もうすぐアウトになる。
焦る。
城戸さんの80歳を越えたご両親の話になった。
「歳を取ると、一日に一つのことしかできないって言ってた。だから、今日は、これをすると決めて、それをやるんだって……」と、城戸さんはお父様の言葉を口にして、ウイスキーのグラスを傾けた。
城戸さんのご両親は震災後に相次いでお亡くなりになられた。
(城戸さんは鎌倉、ご両親は岩手県盛岡市にお住まいだった)
最近、自分の歳を実感する。
なるほど、一日に一つのことしかできないようになった。
仕事の打ち合わせをしたら、それで終わり。
長い手紙を書いたら、それで終わり。
本を読んだら、それで終わり。
会食があったら、それで終わり。
一日に一つしかできないならば、その一つを書くことに絞らないと、書くべきことを何も書けないうちに一日が終わってしまう。
しかし、それが、なかなか難しい。
時間が自分の自由にならないのだ。
バッターボックスに立って、ただただ球を見送っているような毎日――。
もうすぐアウトになる。
焦る。