昆虫図鑑の写真を見ていて、あ、うちのジバゴ、逆だ、と気づいたんですよ。
ジバゴは逆さにぶら下がっていたのです。
ネットで検索してみたら、胸糸を張って、糸をくぐる際にうっかりすり抜けて逆さ吊りになってしまう個体があるそうです。
そうなると、もう脱皮できない――。
変態は時限装置なので、時間内に脱皮できなければ死んでしまいます。
ジバゴの様子を見ていると、明らかに逆さのまま脱皮しようともがいていましたが、上から下に脱がなければならないので、脱げない――。
見るに見かねて、木綿のしつけ糸で胸糸を通してやりました。
すると、その瞬間、脱皮をはじめたではありませんか――。
よっぽど時間に焦っていたのでしょう。
わたしは、息を詰めて、その様子を見守りました。
しかし、木綿の胸糸のところで脱いだ皮がつかえ、体を左右に激しく振った瞬間、胸糸の輪っかから体が抜けて逆さになり、尻の糸が切れて落下――。
「あっ!」と叫んで、思わずてのひらで受けようとしたのですよ。
そしたら、てのひらにバウンドして――。
脱皮中の柔らかい体を床に叩き付けられ、即死でした。
緑色の体液を流して――。
ショックです。
悔やみます。