柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

南相馬でひとり暮らしをしている母親と、南相馬から川崎に嫁いだ娘

2014年06月29日 23時10分26秒 | 日記

6月28日は、田園都市線の梶が谷駅前(川崎市)の喫茶店「タリーズ」で「南相馬ひばりエフエム」「柳美里のふたりとひとり」の収録を行いました。

鎌倉の自宅からは約2時間かかり(乗り換え2回)思ったよりも遠かったですね。

南相馬市原町区在住の江本節子さん(67歳)と、南相馬から川崎に嫁いだ娘さんの鈴木優香子さん(41歳)のお二人でした。
たまたまお母さまの節子さんが、優香子さんのお宅に泊まりがけで遊びにいらしているときで、お二人にご出演いただけたのです。

江本節子さんは「南相馬市 今井正人 応援団長」の名刺をお持ちです。
今井正人さんは、南相馬市小高区出身の日本を代表する長距離ランナーです。
箱根駅伝では、順天堂大学代表として5区を走り、3年連続区間賞を獲得した「山の神」です。
彼が5区で抜いたランナーは3年間で20人に上ります。

鈴木優香子さんは、「相馬弁保存会」の会長で、おひとりでホームページを運営されています。http://emosuzu.fc2web.com/


隣のテーブルやカウンター内の音や声がけっこう入っていると思いますが、駅周辺にカラオケボックスはないし、お宅での収録も無理だということで、やむを得なかったのです。

ひばりエフエムの今野聡ディレクター、お許しください。

そして、もうひとつ、記念写真を撮り忘れました。

今野D、ごめんなさい。

優香子さんが、3月11日から何日も眠らずに南相馬の節子さんに電話をしつづけたという話をしている最中に泣き出し、隣の節子さんもハンカチで涙を拭い――、わたしも収録中泣くのを堪えるのがやっとで、そのまま「タリーズ」を後にしてしまいました。

節子さんのご実家は南相馬市小高区、震災前にお亡くなりになった節子さんのご主人は浪江出身で、どちらも原発事故以降、居住することができません。

どうやって生きていけばいいかわからない、と節子さんはおっしゃっていました。

28日は、ずっと雨でした。

帰りは鎌倉駅の近くに停めておいた自転車に乗って、びしょ濡れになりながら帰りました。

「1年目はなんとかなると思った。2年目はなんともならないんだと思った。3年目からほんとうの苦悩がはじまった」という江本節子さんの言葉が雨の中でリフレインしました。


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岡映里さんと畠山理仁さん

2014年06月29日 22時12分55秒 | 日記

6月27日、「南相馬ひばりエフエム」「ふたりとひとり」2組目の収録は、作家の岡映里さん(37歳)https://twitter.com/okaimhomeと、フリーランスライターの畠山理仁さん(41歳)https://twitter.com/hatakezoでした。

岡さんと畠山さんとは、南相馬で会うことが多かったのです。

南相馬原町の居酒屋「てつや」でもつ鍋をつついたり、雲雀ヶ原祭場地で相馬野馬追「甲冑競馬」と「神旗争奪戦」を観戦したり、原町のクリーニング店「北洋舎」の高橋美加子さん宅でお茶を飲んだり、原発事故後「警戒区域」に指定されながらも一度も避難しないで牧場に留まり牛の世話をつづけている浪江の吉沢さんのお宅に泊まったり――、この3年間、いろいろなことがありましたね。

岡映里さんとわたしとは、実は長い付き合いです。
彼女は、わたしの担当編集者だったのです。
今年4月20日、彼女は初めての本 『境界の町で』 を出版しました。
今日の朝日新聞に書評が掲載され、明日の産経新聞にインタヴュー記事が掲載されるそうで、大変話題になっています。
わたしは、『境界の町で』に関わっています。
彼女に担当編集者をやってもらったお返しに、彼女の担当編集者をやってみたのです。

『境界の町で』は10回に分けて送ってもらい、その全てに感想を書いて送りました。

第1回目と2回目の原稿を送ってもらった直後の感想だけ、特別にお見せします。

「第1回目原稿、読みました。人との関係の絶望的な隔たりと、隔たりの向こうから聴こえる声が、隔たりがある分生々しく、読みながら、耳を塞ぎたいのに耳を澄ましてしまう。地震の時間が、過去の時間を揺さぶって、時間がこみ上げてくるような感じーー、、空間の不安定さと共に時間の不安定さを、時間を襲う強い震度を感じる原稿です。
この調子で、ていねいにていねいに、書き進んでいけば、必ず書き上げられます」

「第2回目原稿、読みました。
言葉が瓦礫になったーー、なり続けた震災直後から現在に至るまでの時間を、言葉によってもう一度蘇らせて、(これも言葉によって)一つ一つ関節をはずしていくような辛い作業をしているな、と思いました。
釜石で見た、醤油を放出している商店や、ケーキ店から歩道に流れ出たショーケースの中のデコレーションケーキの色彩や、宮古の寺の火葬場から流れる重油バーナーの臭いや、飯舘村で庭に除草剤を撒く老夫婦の姿や、肺がんで入院して震災から取り残されたはるえの友だちの姿は、想像力でその跡を追うことができないほど、鮮やかな違和感をもって迫ってきます。
この調子で、丁寧に、着実に書いていきましょう」

岡映里の『境界の町で』 を読んでいただければ、うれしいです。

(岡映里さんが著書で顔を隠しているのは、出版社勤務をつづけていく上で困るからだそうです。出版社では本名で仕事をしています)


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臨時災害局 「南相馬ひばりエフエム」 「ふたりとひとり」収録

2014年06月29日 21時33分49秒 | 日記

経済的な事情で(はっきり言うと、お金がない)今月末の福島県南相馬市滞在を、1ヶ月延期しました。

(この1ヶ月のあいだに旅費をなんとか工面します)

そして、どうせならば、7月末の野馬追に合わせたい、と思い、7月25日チェックイン、8月1日チェックアウトという予定で南相馬に滞在することに、今日決めました。野馬追シーズン真っ只中だから、宿を早く押さえなければ――。

今野さん、出演者への連絡等、よろしくお願いいたします。
(2日間、昨日、収録した江本節子さんとの予定が入るので、江本さんにご確認ください)

「南相馬ひばりエフエム」「ふたりとひとり」、現在ストックが切れてしまっています。

関東周辺で、南相馬出身の方、避難者の方、南相馬に縁のある方を探して収録しなければなりません。

6月27日に、都内で南相馬に縁がある2組4人の収録を行いました。

1組目は、震災直後の2011年3月から岩手、宮城、福島の沿岸部に通いはじめ、物資支援とボランティア活動をつづけるなかで、NPO団体「ARTS
for HOPE」を立ち上げた、高橋雅子さん(57歳)と、鈴木唯さん(38歳)のお二人にお話しをうかがいました。

「ARTS for HOPE」とは、被災地の子どもやお年寄りにアートプログラムを届け、共にアートを生み出し、楽しむことを目指すプロジェクトで、プログラム実施回数は既に300回を越えています。


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Chiguri's Sunday

2014年06月29日 12時20分22秒 | 日記
必ず仰向けで寝る猫、仰向けでなければ寝ない猫、それが(糖尿病治療中)ティグリです。

元の飼い主が南米「スリナム」に縁のある方なので、現地語で虎を意味する「Tigri」と名付けたそうですが、「Chigu」と呼ぶことが多かったそうです。

あと、チグ君、チグ先生と呼ぶこともあった、と。

一緒に飼っていた「Emily」の呼び名は、エミ公、エミリンコ。

イタリアを旅してからは、チグリーノ、エミリヤーナに変化することもあったそうです。

我が家では、チグ、エミちゃん、が多いかな……

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