「みんな、どこまで行くつもりなんだ?」
サトルも、みんなからだいぶん遅れて、公園の出入口を駆け抜けました。公園の外に出ると、そこは、サトルのよく知っているはずの町ではなく、おばあちゃんの家に遊びにいった時のような、田舎の風景が広がっていました。けれど、それもさだかではなく、ただなんとなく、似ているような気がするのでした。
「――みんな、どこいっちゃったんだ。どこにもいないようだけど」
サトルは急に心細くなって、広々とした景色の中を、目を凝らして見渡しました。すると、右手の少し小高くなった坂の上を、サトルと並んで走っていたひげの生えた子供が、いそいで登って行くのが見えました。
(あいつ、どこ行くんだろ)と、サトルは不審に思って、ひげの生えた子供の後を追いかけて行きました。
坂を登りきると、学校のグラウンドよりもはるかに大きな公園がありました。どのくらい大きいのかは、ただもうはるかに広いというだけで、サトルには知るすべもありませんでした。公園には、ひげの生えた子供の姿はありませんでしたが、注意してよく見ると、ずっと奥まった所で、かすかに砂ぼこりが上がっているのが見えました。耳をすませると、かすかに笑い声のような音も聞こえてきます。
「見つけたぞ――」
と、サトルは大急ぎで、坂を下っていきました。
サトルは、どんどんと加速をつけて公園を走っていきましたが、どんなに速く走っても、ほとんど差が縮まりませんでした。この分では、みんなの所に行き着くまでに、日が暮れてしまうでしょう。そう思っている先から、ゆらゆらと日が傾いていき、空が真っ赤に染まり始めました。
「――いけない、早く追いかけなきゃ」
サトルが大あわてで走り出すと、なぜか今まで近づけもしなかったみんなが、ずんずんと、すぐそばまで近づいてきました。急いで走りすぎたせいか、前のめりになったサトルの体は、ほとんど宙に浮いていました。
「やった、とうとう追いついたぞ」
サトルは、またみんなと一緒になると、もとのチームにさっそく戻りました。そして、もとどおりにサッカーボールを追いかけました。
しかし、サトルが戻ってきていくらもたたないうちに、あたりはすっかり暗くなってしまいました。誰もやめようとは言い出しませんが、とっくに帰らなければならない時間です。サトルも、やっとみんなの仲間に戻ったばかりで、まだぜんぜん遊び足りませんでした。