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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

地図にない場所(2)

2020-04-05 12:28:54 | 「地図にない場所」
 すると、スーッと冷たい空気が、どこからともなくサトルの足元をくすぐりました。同時に、勢いよくドアが開いたかと思うと、鬼のような顔をしたお母さんが、部屋の中に大股で踏みこんで来ました。

「こらっ、サトル! あんたいつまで起きてるつもりなの。またマンガなんか広げて。そんなもの明日にすればいいでしょ、明日にすれば。さっさとベッドに入りなさい。さぁ」

 サトルは飛び起きると、蓋が開けっぱなしのランドセルに、片っぱしから勉強道具を放りこみました。
 ぎゅうぎゅうになったランドセルから、勉強道具が溢れ出しそうなのにもかかわらず、

「お休みなさーい!」

 と、サトルは逃げるようにベッドに潜りこみました。
「まったくしょうがないわね。明日遅刻したって、知らないからね。自分でちゃんと起きてきなさいよ。お母さんは起こしてなんかあげませんからね――」
 サトルのお母さんはそう言うと、部屋の明かりを消して、廊下に出ました。
 と、思い出したようにまたすぐ部屋に戻って来て、サトルがベッドに潜りこむ時に落としたマンガを拾うと、静かにドアを閉めて出て行きました。
 頭の上まで布団を被っていたサトルは、すきまから外の様子をうかがっていましたが、お母さんが部屋を出て行くと、おそるおそる顔をのぞかせました。
(はぁ、びっくりした。いきなり入ってくるんだもんな……。それにしても、あと少しで読み終わったのに。一番面白いとこだったんだけどなぁ)
 サトルは残念でしかたがありませんでしたが、これ以上夜ふかししても、朝ちゃんと起きられる自信はありませんでした。それにだいいち、読みかけのマンガを持って行かれたのでは、続きを読むこともできません。サトルは、早く朝にならないかな、と舌打ちをしながら、寝返りを打ちつつ、目を閉じました。
 トットン、トトットン――と、サトルの元気な心臓が、次第に静かなリズムに落ち着いていきました。夜はだいぶんふけて、外の闇はいっそう暗さを増し、うそ寒い硬質な香りのする風が、休むことなく流れていきます。
 心の色はいくつもの形になり、大きくなった形はくっつき合って、いつのまにやらひとつの絵に交わり、ゆるるりと動き出して、サトル自身も気がつかないうちに、深い時空の先にある異世界へと、旅立っていくのでした。そう、夢の世界へと―― 。
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よもよも

2020-04-05 07:08:55 | Weblog
いやはや。

志村さんに続いて、

C・W・ニコルさんも亡くなった・・・。

カヌーの野田さんとか作家の椎名さんとか、

一時期ブームもあって著書を読みあさったり、

その頃の考えみたいなものもどこかにあって、

今の仕事選んだ部分もあるから、

なんか柱が、失いはしないんだろうけど、

いつもそこにあったはずなのに急に見えなくなっちゃった、

みたいな感じで、なんか不安を覚える。

正直さみしいし、この空虚感てば、

いやに現実味があるわ。

彼らが背負ってきたいい部分を、

自分達も受け継いでいかなきゃね。。

そう言われてるみたい。

いつまでも、俺たちにまかせっぱにしてるんじゃない、ってさ。。
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