映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

「ジャイアンツ」アメリカの石油事業

2010-12-26 18:27:18 | 舞台はアメリカ

1、南北戦争後のアメリカ史区分


南北戦争後、第二次世界大戦にいたる60-70年のアメリカの歴史を考えるに、現代にも関わるあまりにも多くのことがあって、少し時代区分して頭に入れたほうがいい。アメリカ史専門の猿谷要氏により(物語アメリカの歴史)以下のように整理しておこう。


? アメリカ帝国の出現(1865-1900)・・・独占資本の形成、爛熟による「第一次金ピカ時代」


  政治的にはモンロー主義を脱し、カリブ海、太平洋に領土、植民地を広げる。


? 大衆消費社会の光と影(1900-1940)・・・これを少し丁寧に見ると


  A 社会改革の道のり・・・ルーズベルト、ウイルソンの時代


  B 第二次金ピカ時代・・・ジャズ・エイジの光と影


  C 大恐慌とその克服・・・パニック世界へ波及


この「金ピカの時代」という区分はマーク・トゥエィンの小説「The Gilded Age=めっき時代」からの借用であるがあまり適切な時代表現とは思えない。この当時の企業家、事業家を一言で金ピカと決めつけると可哀想だ。今の産業社会を作り上げたのは間違いなくこの時代の人達なのである。


2、ロックフェラーの石油事業


アメリカ独占企業の代名詞は・・・なんと言っても鉄のカーネギーと、石油のロックフェッラー。


彼は貧しい薬の行商人の家に生まれ、早くから職業を転々とし、1862年22歳のときに石油精製業に進出、1870年「スタンダードオイル社」を設立し急成長を遂げる。


彼の成功の秘訣は、鉄道会社と割増運賃での石油運送の独占契約を結び、他社を次々に排除して独占供給体制を作ったことにあり、1882年には約40の石油精製業者およびパイプライン会社とトラスト契約を結び、スタンダードオイルトラストは全米石油精製能力の80%を支配下においた。


しかしその強引な商法は社会的な批判も強く、独占企業体悪のシンボル的存在にさせられる。


1892年 シャーマン法違反により、トラスト解散を命じられるが


1899年 持ち株会社組織で「ニュージャージー・スタンダード会社」を設立し独占体復活、


1911年 連邦最高裁は、持ち株会社による市場独占も反トラスト法に違反するとの判決、スタンダードオイルは33社に分割させられる。その後もエクソン社が中心となり石油メジャーとして君臨する。


3、ジャイアンツ


映画ジャイアンツは、ロックフェッラーより後の1920年代を舞台とするが、アメリカ石油事業の様子をよく描いていて見逃せない。エリザベス・テーラーロック・ハドソンが美男美女過ぎて少し浮ついた感じがするが。


・・・南部の牧場に突然石油が噴出し、独立石油会社がにょきにょき現れる、時あたかもモータリゼーション7」


、石油はいくらでも要る。ひねくれた牧場の使用人ジェームス・ディーンが、わずかにもらった土地に石油が噴出すシーンが印象的だ。


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