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後輪の車軸のずれは、ホイールアライメントを乱す大きな原因です / Misalignment of the Rear Axle leads to Misalignment of the Wheels

2024-06-14 13:16:39 | 基本講座・車両整備


オートバイにとって、前後タイヤは一本の直線の上進むのが正常な状態です。つまり、前輪の前後方向の向き(中心線)と後輪の向き(中心線)はぴったりと重なって走行するのが正常です。が、実際には、殆どの車両では前後のタイヤの向き(中心線)はずれています。その為、オートバイ本来の操縦性や運動性能、場合によっては安全性が損なわれています。

For motorcycles, it is normal for the front and rear wheels to move in a straight line. In other words, the front wheel's center line and the rear wheel's center line should be perfectly aligned. However, in reality, the front and rear tires on most vehicles are not aligned. This impairs the motorcycle's inherent maneuverability, driving performance, and in some cases, safety.


ホイールアライメント(前後タイヤの整列)が狂った状態で走行をすると、前後車輪の向きを一致させようとする力が働いて、下記の図で示す様に、車体が僅かに傾いた状態での直進走行を余儀なくされます。それをライダーが感じるか否かは別として、オートバイにとってはアンバランスな状態であり、旋回時の左右の操縦性の違いを生み、転がり抵抗が増し、タイヤの編摩耗の発生に繋がり、安全性にも悪影響を与えます。

If the wheel alignment is not correct, a force will act to align the front and rear wheels, forcing the vehicle to drive straight with a slight tilt, as shown in the figure below. Regardless of whether the rider feels it or not, it is an unbalanced state for the motorcycle, resulting in a difference in controllability between the left and right sides when cornering, increased rolling resistance, and lead to tread wear, which has a negative impact on safety.


後輪の車軸がずれる原因は 2つあります。1つ目は、車両メーカーで車体組み立ての際、前後のタイヤの整列(ホイールアライメント)の調整を厳密に行なっていない為で、同様に、ショップでのチェーン調整やタイヤ交換の際も調整していない為です。2つ目は、組み付けた後で、ドライブチェーンの作用によるものです。この不整列による悪影響を取り除く為には、【 前後タイヤの整列 】が必要です。また、リアタイヤ交換の際には、必ず、車軸(アクスルシャフト)の “遊び” 取りの作業が必要です。。

There are two reasons why the rear wheel axle becomes misaligned. The first is that the alignment of the front and rear tires (wheel alignment) is not adjusted when the rear wheel is installed, and the second is due to the action of the drive chain after installation.

 




この「 前後タイヤの整列 」の簡単な確認方法と調整方法については、下記の公式Webサイトのページで解説していますので、参照して下さい。

Please refer to the official website below for an explanation of a simple way to check and adjust "front and rear wheel alignment"

【 前後タイヤの整列 / Wheel Alignment 】

https://gra-npo.org/lecture/bike/Q&A/CB1300_Alignment/Alignment.html#Wheelalignment








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将来のガソリンエンジンと用途 / Future Gasoline Engines and Their Uses

2024-06-12 21:46:35 | オートバイの未来

via  SNKEI WEEKLY
https://www.sankeiweekly.com/autos/13476.html

 

仏・ルノーグループ と 中国・吉利汽車 の合同出資のエンジン製造会社・HORSE の 初となるエンジンが報道されています。将来、生き残るガソリンエンジンの姿を体現しています。

HORSE, an engine manufacturing company jointly owned by the Renault Group of France and Geely Automobile of China, has reported on its first engine. It represents the future of gasoline engines.

 


エンジンの名称は HR12.  1200㏄ で 3気筒、スーパーチャージャー付きの 3気筒のガソリンエンジンで、最高出力は 130 hp と一見普通ですが、その発生回転数は 4,500 rpm と低く、最大トルクも 1,800 rpm で 230 Nm と、日本の 軽自動車用の ターボチャージャー付き 660 ㏄エンジンと較べると、馬力。トルク 共に倍以上の値を、半分程度の回転数で発生させており、大変に高効率なエンジンです。 その上、世界で最も厳しく排気ガス中の環境汚染物質の帰省を進めている 欧州での最新規制・EU6D-Full をクリアしているとされ、更に、2030年迄に導入される更に厳しい規制・EU7 さえも視野に入れたエンジンです。

しかも、その用途は、低回転で充分なトルクを発生している事からも予想される通り、ハイブリッド車(EV要素の強い)や EV車への搭載用で、特に 充電ステーションの心配を少なくする為の 発電用エンジン としての用途が考えられている様です。搭載車両は 一般乗用車もあるでしょうが、資料を読むと、EVバス用の発電用エンジンとしての用途も考えられていると思われます。

当然、ルノーグループに入っている 日産自動車や三菱自動車でも採用する車両が出てくるでしょうし、従来型のエンジンでは 欧州の環境規制局の規制をクリアするのは難しいと思われるからです。

そして、オートバイの話題へ切り替えます。  
当然ですが、オートバイも EU6 または EU7 の規制の対象となっていくでしょうから、現在の見慣れた姿のオートバイの新型車は少なくなると思われます。 このHR12の様に、一昔前ならば、モータースポーツ用と思われる程に高度に効率と出力・トルクを追及したエンジンが当たり前になりながら、実際には 発電用としての未来だけが残されている様に感じてしまい、頭の切り替えは必要ですが、少し寂しさも感じます。





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ダンパーに惹かれて、マスタングGTD / Mustang GTD, Attracted by the Damper

2024-06-08 20:16:47 | 日記


source : Motor Trend 
 
フォードムスタングの話題ですが、特にこの車に興味があるのではなく、そのダンパーを含めたサスペンションの構成にとても興味が惹かれたので、ここに共有します。何しろ、高い性能を誇る マルチ マチック社製のダンパーが 本来の性能を充分に発揮できるよに、特別に設計された サスペンション用メンバー(フレーム)に装着されているからです。
 
I am not interested in the Ford Mustang in particular, but rather in its suspension configuration, including the dampers, which is why I am sharing it here. The suspension frame is specially designed to allow the high performance of the Multimatic dampers to fully demonstrate their true potential.
 


マルチ マチック 社製のダンパーは、特にモータースポーツの世界では圧倒的に高い信頼とシェアを誇っていて、F1 車両の多くや、日本の スーパーGT選手権の 500クラスでは全車が装備している事からも明らかです。


この ムスタング GTDは 限定生産・販売される車両で、フォード社のプレスティッヂを高める目的で、スパフランコルシャン サーキットでのタイムトライアル や グッドウッドのフェスティバルなどに参加するのが主目的で企画された、サーキット専用車の公道用モデルとして販売される様です。

サスペンション構成は、ホイールストロー駆に対してより多くのストロークを得て高精度なダンピングを発揮させる為と、メンバーの剛性を高める目的で、シングルシーターを始めとするレース車両で一般滝な、ダンパーを車体左右方向へ斜め方向に配置して、プッシュロッドを介したリンクを通じて作動させる方式を採っています。
 


また、電子制御でダンピングを ミリ秒単位でコントロールしているのは当然として、ロード用とトラック(サーキット)用の両方に対応する為、二つのレートが異なるスプリングを配置して、トラックでは 一方のスプリングをダンパー上で圧縮させて、スプリングレートを一気に高めると同時に 車高も下げるシステムが装着されている点です。これは マルチマチック社製の製品として今まで知られていなかったシステムですが、数年後には、マルチマチック社や他の有力なメーカーでも採用して市販するシステムになると 思われます。(特許の問題が鳴ければ)


話は一気に変わって、最近のオートバイのリアサスペンションで良く採用されている方式ですが、ダンパー・コイルユニットを 前方へ大きく傾けて配置して、リンクを介して作動させる方式も このムスタングが採用している方式と似ていて、特にオートバイの場合は ストロークに応じて機構的にプログレッシブにレートを高めていますが、実は、一定の効果はありますが、リンク部の設計や素材、そしてメインテナンスが影響して、却って動作が悪くなっている例を多く感じています。 僕のトライアンフもリンクを介していますが、実際には、リンク部に特別な処置やメインテナンスを重ねた状態でも、リンクを介していない ヤマハ R6.やFZ6系の方が スムーズな作動性と高い操縦性でとても気に入っていた程です。  
 .

【 Motor Trend 】

https://www.motortrend.com/features/2025-ford-mustang-gtd-trick-suspension-damper-window-design/?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTAAAR2e5JCnhUQUMYQooKf8_psbL-cwQwVjI6cO4EZws-B2aoEVNgXnxxeM7WE_aem_AXrZpoJR-vAPr2ygin1sDmHTX7tL38ZSS5MUVVB5ptfI6o1mO5hyq97X4-1lkfP0j7dyekiBRsEEQPepZLA1BcCp



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Z900RS「持込み整備」開催決定 / Kawasaki Z900RS "Fine Maintenance" to be held!

2024-06-01 21:57:09 | 基本講座・車両整備

 
オートバイをきちんと自分自身で整備したい人の要望に応える、妖怪ガレージ「持込み整備」企画に、カワサキZ900RS に乗る人から申込みがありました。

We received an application from a Kawasaki Z900RS rider for Yokai Garage's "Bring-in Maintenance" initiative, which caters to people who want to properly maintain their own motorcycles.


希望されている整備内容は『車体整体』です。オートバイの車体からストレスや歪みを取り、設計通り車体アライメントに修正して、車両本来の正しい動きと操縦性、運動能力を安全に発揮できる様にする整備の基本です。

The maintenance requested is "body chiropractic." This is the basis of maintenance, which removes stress and distortion from the motorcycle body and corrects the body alignment as designed, allowing the vehicle to safely perform its original correct movement, maneuverability, and athletic ability.



行なう『車体整体』(簡易版)のメニューは上記の通りですが、この「持込み整備」ではオーナー自身の理解と判断に基づいて、オーナー自ら整備を行なう事が一番の特徴です。もちろん、当方から工具や機材の提供やアドバイスの支援は行ないますが、上記のメニューを全て完了すると限りません。しかし、自身の手と頭を使って行なう整備は、必ず多くの知識と経験が得られますし、オートバイに、いつまでも、楽しく、安全に乗り続ける為に必要な知見が身に付くのは間違いありません。

開催日は 6月5日(水)で、結果報告 と オーナーリポート(感想文)は 約 2週間後になる予定です。 どうぞ、Z900(RS)に乗っている人はもちろんの事、オートバイを大切に、安全に乗り続けたいと願っている人は、是非、ご注目下さい。

The most distinctive feature of this "Fine Maintenance" is that the owner performs the maintenance themselves, based on their own understanding and judgment. Of course, we provide tools and equipment and advice, but it is not guaranteed that all of the above menu will be completed. However, maintenance performed with your own hands and head will definitely give you a lot of knowledge and experience, and you will undoubtedly acquire the knowledge necessary to continue riding your motorcycle safely and happily forever.

 

妖怪ガレージ「持込み整備」企画については、こちらを参照して下さい。
For more information about Yokai Garage's "Fine Maintenance" project, please see here.

https://gra.hatenablog.jp/entry/2024/05/20/230622




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欧州騒音規制と日本の / European Noise Regulations and Japan

2024-06-01 14:42:38 | 社会や環境との関わりについて

source : Cycle World Magazine
https://x.gd/7ubj4


KTM が出願した特許に基づいて、欧州(EEA:欧州経済領域)で規制が強まっている騒音規制に対して、KTM がどの様に対処しようとしているのか、日本のライダーにとっても無関係とは言えない状況が解説されていましたので紹介します。

Based on a patent filed by KTM, we will introduce how KTM is trying to deal with the increasing noise regulations in Europe (EU), a situation that is not unrelated to Japanese riders.

https://x.gd/7ubj4


記事によれば、EU を中心とした欧州経済領域:EEA(加盟・批准 33ヶ国)では、交通騒音を公害として認定して、人々が多く暮らす市街地や交通量の多い地域で騒音規制を行なっており、それに違反した者は、例え車両に改造を施していなくても検挙されて、違反金を徴収される様になっているとの事です。
 
その為、KTMでは、車両自体に騒音計測装置を装着して、GPSデータと連動させて、規制が厳しい地域で騒音が規制値を超えている場合、ライダーに伝えて騒音を抑える行動を促す装置の様です。

そして、この欧州での規制強化の動きは、私達が日本で親しんでいるオートバイにも大きな影響を更に与える事が予想されます。その理由の一番目は、1998年、日本が国際連合主導で行なっている『車両などの型式認定相互協定』に加入している為、欧州などの規制と無関係ではいられない事です。そして、二番目は、1970年代以降、日本製の大型バイクの主な輸出先は EU 及び EEA市場である為、その騒音規制の強化に合せた車両を製造し、その一部が日本国内の市場で販売されるからです。

従って、オートバイだけに限った話ではなく、自動車や飛行機を含まれますが、日本でも騒音を公害として扱いを強化する動きが必然的に高まるでしょう。その結果、走行中に無用に “空ぶかし” をして他車を威圧する行為や、峠道などで高回転を保ったまま走り続ける行為は罰則の対象として検討が進む事が予想されます。
本来ならば、運転者一人ひとりが社会的な良識を持ち、他者への配慮を行なって、そういう行為が少なくなっていく事が望ましい事ですし、罰則や取締りが実施されるよりも前に、啓発・啓蒙活動の一助が出来れはと考えています。

In the future, there will inevitably be a growing movement in Japan to treat noise as pollution. As a result, it is expected that the act of intimidating other vehicles by unnecessary "revving" while driving, and the act of continuing to drive at high speed on mountain roads will be considered as a subject of penalties.
Ideally, it would be desirable for each driver to have social conscience and be considerate of others so that such behavior will decrease, and I hope that I can help with awareness-raising activities before penalties and crackdowns are implemented.

< 以下、記事の一部 日本語直訳 >

ヨーロッパの型式承認規則には、ほとんどのバイクで 80 デシベルに設定されているデシベル制限と、ライダーがそれらの制限を回避するために改造するのを防ぐことを目的とした改ざん防止規制がすでに定められています。ただし、より厳しい地方および地域の騒音規制は、完全に標準的で公道走行可能なマシンでさえも依然として問題になる可能性があります。問題は、型式承認規則が特定の状況(所定の速度、ギア、回転数)での騒音をテストし、多くのバイクがそれらのテストに合格できるため完全に合法であるが、それでも高回転ではかなり騒音が大きいことです。現在、オーストリアのアルプスやパリの一部で人気のバイクロードを含む場所で地元の騒音規制が施行されているため、ライダーは罰金を回避するために自分の騒音出力を監視するという課題に直面しています。

                   ************

         

以下、EEB(欧州環境局) 公式Webサイトより 直訳日本語

https://x.gd/HoRTL

https://x.gd/HoRTL

 

『 騒音公害 』 
騒音は、ヨーロッパにおける大気汚染に次ぐ健康に対する最大の環境脅威の 1 つです。 EEB は、騒音公害を削減するための包括的な行動が欧州委員会の公害ゼロの目標に沿って展開されることを保証します。 
騒音は多くの人間活動の産物ですが、環境騒音の最も広範囲に発生する発生源は輸送に関連した騒音です。その結果、輸送に起因する騒音は、西ヨーロッパでは微小粒子状物質汚染に次いで 2 番目に重大な健康障害の環境原因であると考えられています。騒音公害の悪影響には、人類の幸福度の低下、野生生物の健康と分布の減少などが含まれます。 

2002 年に、環境騒音指令 (END) が導入され、EU の排出規制の有効性を監視するために、加盟国レベルでの環境騒音の評価が義務付けられました。この指令では、不快感と睡眠障害という 2 つの重要な指標が導入されており、これらを超えた場合、加盟国は暴露を減らす行動計画を策定する必要があります。  

WHOはまた、騒音に関する一連の推奨事項を維持しており、健康への悪影響を避けるために、道路交通による騒音への長期曝露が昼から夕方から夜間の間は53dB、夜間は45dBを超えないよう提案しています。航空機の推奨値は、昼から夕方、夜間までは 45dB、夜間は 40dB です。 

EEA によると、EEA-33 加盟国の約 1 億 1,300 万人が、55 dB 以上の道路交通騒音にさらされていると推定されています。このうち 3,600 万人が、少なくとも 65 dB という非常に高い騒音レベルにさらされています。  

したがって、人間の健康への悪影響と当面の問題の規模を考慮すると、環境騒音は国民や政策立案者にとって重大な懸念事項となっています。欧州委員会の公害ゼロ行動計画では、環境騒音の削減が主要目標として挙げられています。同委員会は、2030年までに交通機関の騒音に慢性的に悩まされている人々の割合を削減したいと考えている。 





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