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Z900RS「持込み整備」開催決定 / Kawasaki Z900RS "Fine Maintenance" to be held!

2024-06-01 21:57:09 | 基本講座・車両整備

 
オートバイをきちんと自分自身で整備したい人の要望に応える、妖怪ガレージ「持込み整備」企画に、カワサキZ900RS に乗る人から申込みがありました。

We received an application from a Kawasaki Z900RS rider for Yokai Garage's "Bring-in Maintenance" initiative, which caters to people who want to properly maintain their own motorcycles.


希望されている整備内容は『車体整体』です。オートバイの車体からストレスや歪みを取り、設計通り車体アライメントに修正して、車両本来の正しい動きと操縦性、運動能力を安全に発揮できる様にする整備の基本です。

The maintenance requested is "body chiropractic." This is the basis of maintenance, which removes stress and distortion from the motorcycle body and corrects the body alignment as designed, allowing the vehicle to safely perform its original correct movement, maneuverability, and athletic ability.



行なう『車体整体』(簡易版)のメニューは上記の通りですが、この「持込み整備」ではオーナー自身の理解と判断に基づいて、オーナー自ら整備を行なう事が一番の特徴です。もちろん、当方から工具や機材の提供やアドバイスの支援は行ないますが、上記のメニューを全て完了すると限りません。しかし、自身の手と頭を使って行なう整備は、必ず多くの知識と経験が得られますし、オートバイに、いつまでも、楽しく、安全に乗り続ける為に必要な知見が身に付くのは間違いありません。

開催日は 6月5日(水)で、結果報告 と オーナーリポート(感想文)は 約 2週間後になる予定です。 どうぞ、Z900(RS)に乗っている人はもちろんの事、オートバイを大切に、安全に乗り続けたいと願っている人は、是非、ご注目下さい。

The most distinctive feature of this "Fine Maintenance" is that the owner performs the maintenance themselves, based on their own understanding and judgment. Of course, we provide tools and equipment and advice, but it is not guaranteed that all of the above menu will be completed. However, maintenance performed with your own hands and head will definitely give you a lot of knowledge and experience, and you will undoubtedly acquire the knowledge necessary to continue riding your motorcycle safely and happily forever.

 

妖怪ガレージ「持込み整備」企画については、こちらを参照して下さい。
For more information about Yokai Garage's "Fine Maintenance" project, please see here.

https://gra.hatenablog.jp/entry/2024/05/20/230622




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妖怪ガレージ ❝持込み整備❞ 企画の紹介です / Introducing the YOKAI Garage "Your Bike Maintenance" Project!

2024-05-21 12:46:50 | 基本講座・車両整備


整備スペースや必要な工具が不足していたり、初めて整備内容なので少し不安に感じているなど、オートバイをきちんと整備したくても実現できていない人は多くいると思います。GRAでは、そういう人を支援する企画として【 妖怪ガレージ “持込み整備” 企画 】を用意しています。

We think there are many people who want to properly maintain their motorcycles but are unable to do so because they lack the space or the necessary tools, or because they are a little nervous about doing maintenance for the first time. At GRA, we have prepared the [Yokai Garage “Your Bike Maintenance” Project] as a project to support such people.



この企画は、以前から希望される方を対象に行なっており、持ち込まれた方には大変に好評を得ている企画ですが、改めて簡単に以下の通り紹介します。



【 ファイン メインテナンス / Fine Maintenance 】

一般的に広く行われている整備以上に、個々の部品を本来あるべき状態にして、部品の能力を発揮させ寿命を延ばし、オートバイの操縦性や安定性を高めて、いつまでも楽しく安全なオートバイライフを送る事を目標に行なうのが “ファイン メインテナンス” で、オーナー自身がこの整備の目的や価値を理解する事がこの企画の最大の目的です。
行なう整備内容によって、“ファイン メインテナンス” のメニューは変わりますが、以前に行なった企画から、『車体の整体コース』を以下の通り紹介します。

"Fine maintenance" is the process of keeping each part in its original condition, allowing the parts to perform their functions and extending their lifespan, and improving the maneuverability and stability of the motorcycle so that you can enjoy a fun and safe motorcycle life forever. ” The main purpose of this project is for the owners themselves to understand the purpose and value of this maintenance.
As shown below, we would like to introduce the ``Car Body Adjustment Course'' as an example of our ``Fine Maintenance'' menu.




 【 希望される方へ / For those who wish 】

〇 希望される方が、普段使用されている車両(オートバイ)を持込みます
〇 整備に必要な工具はガレージにある工具が利用できます
〇 希望される日時や整備箇所を事前に聞き、相談の上でニューを作成します
〇 整備に必要なサービス情報(マニュアル)は、ご自身で手配ください
〇 整備作業のサポートはしますが、基本的にオーナー自身が行ないます
〇 ガレージや工具の使用料、アドバイス等の料金は一切いただきません
〇 ただし、作業風景の写真撮影の許諾と、そして作業後の感想文を求めます
〇 また、GRAの活動に対して、ひと口 100円からの「支援金」を願います
〇 対応できる件数には限りがあります。事前にご了承の上でご連絡願います
〇 相談や質問は、https://gra-npo.org/office/info_mail/mail.html  より願います

〇 Those who wish to do so may bring their regularly used motorcycle.
〇 Tools needed for maintenance can be used in the garage.
〇 We will ask you in advance about the desired date and time and areas to be repaired, and create a new plan after consultation.
〇 Please arrange the service information (manual) necessary for maintenance by yourself.
〇 We will provide support for maintenance work, but the owner will basically do it himself.
〇 We do not charge any fees for the use of garages, tools, advice, etc.
〇 However, we will ask for permission to take photos of the work and write a review after the work.
〇 We would also like to request a donation starting from 100 yen for GRA's activities.
〇 Please understand in advance that there is a limit to the number of cases that can be handled.
〇 For consultations and questions, please visit 
https://gra-npo.org/office/info_mail/mail.html





【 妖怪ガレージ / YOKAI Garage 】

現在、兵庫県赤穂市内にあります。一般的なハンドツール以外に、ボール盤、双頭グラインダー、卓上旋盤、インパクト(エアー)レンチ、リューター(エアー/電動)、そして 車両スタンド(前後)など、簡単あ整備であれば対応できる設備は整っています。

Yokai Garage is currently located in Ako City, Hyogo Prefecture. In addition to the hand tools necessary for general maintenance, equipment includes a drill press, double-head grinder, table lathe, impact (air) wrench, router (air/electric), and vehicle stands (front and rear).








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「車体整備の基本」の紹介(1) <エンジン マウント編>その2

2023-12-01 01:07:44 | 基本講座・車両整備

オートバイが備えている能力を適切に発揮させる為、私が年に数回、機会がある度に必ず行なっている「車体整備の基本」を、整備する部位別に紹介します。中には、初めて見る整備もあると思いますが、それを行なう理由を基本的な事から分かり易く説明しますので、きっと参考になる事もあると思います。

 

2. 締付けトルク値 と 締付けの順番

エンジン マウントの整備の大切さは色々な車種で体験してきましたが、特に、この VTR250で、その大切を思い知らされた体験があります。それは、購入して間もない頃、エンジン マウントの整備を行なった後の確認走行での出来事でした。

『 変だ! 何かおかしい 』

いつも走り慣れた道を、交通の流れに合せて走っているだけなのに、乗り味が変わってしまったのです。車体全体が変に固くなっている様な感じで、特に フロント側が路面の凹凸を拾って突き上げてくる感触が強くなっているのです。
ただ、変わったと言っても、恐らく、人によっては変化を全く感じられない程度かも知れないのですが、それでも嫌な感触になっているのです。この感触だと、タイヤの接地性能(ロードホールディング)は下がり、操縦性も安定性も、安全性も悪くなる事が確実です。


『 4本(セット)の マウント ボルト 』

VTR250 のエンジンマウントの整備は、下記の画像で記載した通り、(A)から(D)までの4本(左右1セット)のマウントボルトで行ないます。その内、(C)と(D)のボルトは、スウィングアームのピボットを固定するサブフレームをエンジンに固定するためのボルトです。






『 メーカー指定 締付けトルク値 』

そして、マウント用ボルト毎のメーカー指定の締付けトルク値は以下の一覧表の通りです。実は、ここに VTR250 の秘密が隠れているので、みなさんも一度ご覧ください。


ここで、最初に注意が必要なのが ボルト(B)です。車体画像でも分かると思いますが、ボルト(A)と同様に目立つ場所にあって、ボルト(A)の六角部の二面幅と同じ(17mm)、つまり同じ工具が使えるのですが、実は、ボルト径は(A)より細く、当然ですが 締付けトルク値も異なるので注意が必要なのです。
  
しかし、締付けトルク値は何度も確認済み。ボルトのネジ山の状態も、緩める際の “緩めトルク値” を確認をして、締め込む時は最初に指で締め込んで、ネジ山に問題になる損傷は無い事は確認済み。だから、尚更、変化が起きた原因が分からなかったのです。

 ・・・と、色々と考えて、思い当たったのが「締付けの順番」だったのです。



『 締付けの順番 』

エンジンマウントのボルトを締付ける順番は、色々な車両で整備をしていますが、さほど難しくありません。車体中央部(スウィングアームのピポット近く)のマウントボルトから始めて、ボルトの太さと指定トルク(値)が大きい順に、車体前方のボルトへと、左右のボルトを一セットとして、順番に締付けていく方法で良い結果を出していました。
  
しかし、VTR250の場合はそうではなかったのです。と言うのも、VTR250の場合は、一般的な車両とは異なり、後輪サスペンションのスウィングアームはフレームに固定されず、固定用の部品( ブラケット)を介して、エンジンに固定する設計なので、そのブラケットをエンジンに固定しているボルト(図中の C と D)も緩めます。なお、この記事の本題とは関係ありませんが、その C と D のボルトを緩める為に、スウィングアームのピボットシャフトも緩めて、左右のステップホルダーを回転移動させる必要があります。
  
前回、乗り味が変わってしまったマウントボルト整備ですが、その締付け順番が 最初にボルト(B)で始まり、ボルト(A)、(C)、(D)の順番でした可能性が高いという結論に至ったのです、そして、ボルト(B)に始まり、次に ボルト(C)、(D)と進み、最後にボルト(A)として、確認走行して、これが正解でした。僕にとって VTR250 ならではお気に入りの接地艦・操縦性が得られているのです。

「 何故、マウントボルトの締付け順番 と 締付けトルク設定で、こんな変化が出たのか? 」と、理由を考えてみました。すると、そこには、設計エンジニアとテストライダーによる緊密で妥協の無い仕様設定があった事に気付きました。そして、それが VTR250 の最大の美点になっていると強く確信しています。

       ・・・ 次回は、【 VTR250 最大の美点 】を紹介します




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「車体整備の基本」の紹介(1) <エンジン マウント編> その1

2023-11-13 22:25:23 | 基本講座・車両整備


オートバイが本来備えている能力を適切に発揮させる為、私が年に数回、機会がある度に必ず行なっている「車体整備の基本」を、整備する部位別に紹介します。( 使用車両:ホンダVTR250 )中には、初めて見る整備内容もあると思いますが、それを行なう理由を基本的な事から分かり易く説明しますので、きっと参考になる事もあると思います。

 
1. 大切な、エンジンマウント整備


フレームにエンジンを固定している箇所がエンジンマウント部です。そして、その整備をなぜ最初に行なうかと言えば、エンジンマウント部には大きな「ストレス」が掛かる場所で、その「ストレス」によってオートバイ本来の動きが阻害されるからです。

この「ストレス」が生まれる主な原因は、フレームとエンジンの役割と個性が全く異なるからです。フレームはンジンを支える以外に、ステアリング(操舵系)と前輪サスペンション、後輪サスペンションも支えていて、走行中に車体が受ける様々な力に対して、適度に変形して、しなやかに受け止めて、車体全体のバランスが崩れない様にする役割をしています。一方、エンジンは、その内部で精緻な数多くの部品が高速で動いているので、変形を許さない頑丈な作りになっています。


そのため、エンジンマウント部では、フレームとエンジンの異なる特性と個性がぶつかり合い、結果として「ストレス」が生まれるのです。その上、エンジンは車体の中で最も大きく重い部品ですから、一番大きな「ストレス」が生まれ易い箇所なのです。そして、その「ストレス」が溜まると歪(ひずみ)が生まれ、それによって、フレームが本来の変形や “しなり” が発揮できず、ロードホールディング性能の低下、乗り心地の悪化、コーナリング性能の低下などの原因となるのです。

ただ、この「ストレス」による歪を取り除く方法は難しくはありません。それは、エンジンをフレームに固定しているボルト(エンジンマウントボルト)を一旦緩めて、それから決めている締付けトルクで締め直すだけです。

 
この時、注意している点が幾つかありますので紹介します。一つは、車体を直立状態に保つ事です。その理由は、サイドスタンドを利用して、傾いた状態で「ストレス」を取れば、その状態が基準となるので、直立させただけで「ストレス」が生まれ、反対側(右側)へ傾けた時には更に大きくなり、コーナリングの左右差を大きくする原因となり、オートバイ本来の操縦性をスポイルする事になるからです。
二つ目はボルトを緩(ゆる)める時、その ‘緩め’ トルク値に注意を払う事です。その理由は、緩めトルクによって、ボルトの健康状態や加わっている「ストレス」の程度を推測できるからです。そして、‘緩め’ トルク値が締付けトルク値とほぼ同じであれば良好だと判断しています。
三つ目は、マウントボルトを緩めた状態で、エンジン本体に軽い打撃を加えています。プラスチックハンマーや大きなゴムハンマーで、シリンダーヘッドカバー上部やシリンダーブロック下部など、頑丈な箇所に衝撃を与えて、エンジンを本来の最も安定した位置へと下げてやるのです。
そして、四つ目は、特にVTR250の場合は注意が必要な事ですが、適正な締付けトルクを守る事と締めつける順番に特別な注意を払っています。この事は次の項で詳しく紹介します。

   ・・・ 次回は、『 締付けトルク値と締付けの順番 』の紹介になります







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「車体整備」の記事企画、始めます!

2023-10-13 23:50:07 | 基本講座・車両整備

「車体整備」の記事の企画を進めています。と言うのも、オートバイ本来の能力を適切に発揮させるには、「車体整備」を適切に行なう事が一番大切だと考えているからです。そこで、完全に分解する程の ‘重’整備ではなく、一年に数回は行なうべき ‘中’整備を、部位や整備内容別に分けて、下記の 8つの話題(記事)をお届けする予定です。

  1. エンジンマウント 編
  2. リアサスペンション 編
  3. リアホイール 編
  4. リアブレーキ 編
  5. ドライブ チェーン 編
  6. フロント サスペンション 編
  7. フロントブレーキ 編
  8. 前後タイヤ整列 編
  
どうぞ、整備に関心のある人、オートバイに長く気持ち良く乗り続けたいと考えている人は、是非、ご期待ください。


  
 【 企画の背景 】
  
今回の企画が生まれたきっかけは事務局の「引越し」です。 
いつもならば、どの項目の整備も、少なくとも一年に一回から多くて数回以上は行なっている事ですが、10ヶ月以上も車両の整備を行なえなかったからです。その理由は、移転先探しに年初から多くの月日を費やし、その上、体調悪化から入院したからです。
引越しをしてから 2ヶ月が経ち、体調が少し回復してきているので、この機会に「車体整備」を少しずつ始めて、それに合せて「車体整備」の記事を掲載する企画が生まれたのです。
    
年に数回は行なう ‘中程度’ の整備ですが、一般的なライダーにとっては「なぜ、そんな事を!」とか「それって必要なの?」と感じる程、整備マニュアルだけでなく、今まで見た事も無い事を目にすると思います。だからと言って、【 〇〇は、こうすべき!】という様な記事にするつもりはありません。ただ、その整備方法を行なっている理由を、オートバイを構成している部品の材質や特性の説明も加えて、分かり易く詳しく書くつもりです。ですから、例え同じ整備を行なわなかったとしても、オートバイの構造やメカニズムを深く知る事に繋がり、オートバイとのより適切なつきあい方を覚えるきっかけになると信じています。
    
予定の車両は「ホンダ VTR250 」を最初に採り上げ、次に「トライアンフ ストリートトリプル 」の整備を行ないます。 整備項目も同じですが、それぞれの車両ごとに特有なメカニズムや特徴を掘り下げて記事にしますので、きっと、飽きずに楽しめると思います。 その為、記事の内容も深くて項目数も多い事から、最初の記事から最終の記事掲載まで、企画終了まで 2ヶ月以上になりそうですが、待ちきれない方は、是非、催促の「お便り」をお願いします。きっと、効果は高いでしょう。

   
 


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