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威風堂々

晴れ晴れと、伸びやかに日々を過ごすために。
「心」と向き合うことで、日々の健康を大切にしましょう!

原風景を駆け巡る

2013年06月20日 | 文学・評論(現代・近代)


黒岩重吾氏

高校生の頃、まだ司馬遼太郎、松本清張といった作家がテレビにでていた。イレブンPMか何かに黒岩氏が出ていたのを記憶している。『背徳のメス』を読んだときの衝撃は相当なものであった。土地勘があったゆえに。『人間失格』よりも身近であった。際物作家が歴史ものに向かうパターンはよくわかる。明治以降、鴎外先生を始め、得意不得意、興味関心もあろうが同時代日本人の闇や根元に迫ろうとすると避けては通れない気がする。分けても、黒岩氏はかの飛田遊郭(有名人で、
飛田新地料理組合の弁護士をしていた方もいらっしゃるが)を舞台に沢山の小説を書いている。飲む打つ買う、欲望渦巻くこの土地。最近ノンフィクションで最後の色町…という本も出たが。こういうところを題材に書いた人だけに、その人が書く古代史ものは本物だと私には思える。織田作之助、梶井基次郎、坂口安吾、と並んで好きな作家である。


春樹ちゃん 3

2013年04月28日 | 文学・評論(現代・近代)


草食系男子は日本男児の典型なのでしょう。

村上春樹の作品に出てくる主人公。ノルウェイの森あたりから顕著か。特に「多崎つくる」君はそうですね。分かりやすい。

ちょっと、内田樹氏の文章を引用致します。
「新渡戸稲造が武士道の真髄を、無防備・幼児性・無垢性のうちに見た」「その欠点は、外来の知見に対する無防備なまでの開放性というかたちで代償している。私達は外来の知見に対したとき、その適否の判断を一時的に留保することができる。一時的に愚鈍になる事が出来る」「一時的に愚鈍になることによって知性のパフォーマンスを上げる事ができるということを私達は暗黙的に知っているからです」「愚として外来の知見に無防備に身を広げることの方が多くの利益をもたらす」「列島の祖先は歴史的経験から習得した」

神話と符合します。スサノオですが、「甘えの構造」で理解すると非常に現代の草食系日本男児とダブルのです。無防備・幼児性・無垢性なわけですよ。日本男児とは実は草食系なんだと。

漱石の「こころ」や「三四郎」など、漱石先生は大正期の青年達にメッセージを多く送っておりますが、流れは一緒ですね。「日本よ。大人になれ。自分を持つのじゃ。」って。漱石が英語教師を辞めて作家になったのも僕には納得がいくのです。

さて、日本男児よ、どうしますかねぇ。


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参考文献:

『生き甲斐の心理学』 植村高雄 著
『人の身体は神の神殿』植村高雄 著
『新潮日本古典集成』シリーズ 新潮社
『日本の歴史』シリーズ 小学館・中央公論社
『日本語の歴史』シリーズ 平凡社
『直木孝次郎 古代を語る』シリーズ 吉川弘文館
『天皇の歴史』シリーズ 講談社
『生涯発達心理学』 川島書店
『心に効くゴルフ』 PHP
『道は開ける』 創元社
『人間尊重の心理学』 創元社
『人間復興の経済』 佑学社
『五輪書』『孫子』 岩波文庫
『物理学と神』 集英社新書
『日本辺境論』 新潮社
『自由からの逃走』 東京創元社
『カウンセリングの理論』 誠信書房 国分康孝 著

春樹ちゃん

2013年04月22日 | 文学・評論(現代・近代)


同僚から
村上春樹はどうしてこんなに売れるのか?と聞かれた。

うーん…。どうしてだろう。若者たちからは既に「文豪」扱いである。
確かに、比喩や描写は上手であり、現代の必須である 料理・音楽・セックスがキチンと表現されている。まぁ、草食系男子を旨く描いている。では、どうして外国でも受け入れられるのか?

30年前ロンドンで、夏目漱石が全く知られていなくて、三島由紀夫の方が知られていたが、メディアによるところも大きいだろう。後、翻訳の妙味。ノルウェイの森辺りから一気に人気が上がったと僕は思うのだが、どうであろう。

軽いハードボイルド。安部公房的奇っ怪な比喩。「死」の考察。

精神・肉体、日本的ニヒリズム。といったテーマが感じられる。さて、彼の『魂』への洞察がいかほどのものか。僕の関心事だ。

母国語で表現

2013年04月06日 | 文学・評論(現代・近代)

さて、英語教育の充実が声高に言われて久しい。
グローバルスタンダードだ。日本は世界に取り残されている。
で、東大など大学は「秋入試」。高校では「英語」で授業。等々。

悪くはない。

銀行に勤める友人は「大学はもっと即戦力になる人材を育成しないといかん」「教師はサボっている」

なるほど。

いつの頃からか、大学生の就活は文系でも三年生の夏頃から始まるようになってしまった。一体大学の持つ意味は?
『自分がどうしてこうなった』『自分が何なのか』『これからどうしたいのか』という自分のアイデンティティーを日本語でさえ語れないのに、どうやって英語で表現出来ようか。

まずは、我々がどうして「秋入学」が良いと思うのか?留学生を受け入れやすくするため、という理由が言われているが、そうなのか?本当は高校生が米欧州の大学に出て行くために日本も「秋入学」にするべきではないだろうか?グローバルなんだから、、、。日本の若者が外国に出てしまって帰って来なくなるのが怖いのだろうか?
大学は最高学府である。理系・文系共に勉強を深める場所であって、企業人を育てる場ではないはずだが。

やはり、日本人の日本語力が衰えている。基本語彙を知らなすぎるようだ。漢字検定一級を取れとは言わない。イギリス人だって全員がTOEFLやTOEICで満点取るとは限らない。が、「山本五十六」が読めないとか、そんなレベルで日本人の日本語能力が落ちている。これは、日本史と現代文の授業、大学入試制度等様々なところで非常に能力主義成果主義に陥っている弊害である。書店で、現代文の参考書を見るたびに思うのだが、これを買って勉強する受験生は「不幸」だ、と。「わかりやすい」のだそうである。主客が転倒している。難しい物を読解する努力をしてこそ、『自分がどうしてこうなった』『自分が何なのか』『これからどうしたいのか』が日本語で表現出来るようになるのだ。残念ながら、試験を解く技術で満載の参考書が大変売れる。遺憾である。『日本語の作文技術』本多勝一 『文章読本』三島由紀夫 などを読むべきだ。そして、新聞だ。で、自分で読解方法を編み出さないといけない。まずは、「乱読」。だが、読むべきは、現代日本語で書かれた古典的作品だ。評論、ノンフィクションがよい。残念だが、新聞を読まない、ラジオを聞かないから、「類推」「想像」って事が貧困になっている。目の前にわかりやすく提示してもらえるテレビやアニメ。パソコン、マニュアル本(参考書)に頼りすぎ。若いのだから、背伸びして食わず嫌いはやめよう。




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「正義」の話をしよう

2013年01月13日 | 文学・評論(現代・近代)


 マイケル・サンデル先生の講座も、私が学生の頃講義を受けた倫理学も基本は同じである。

 まだ、最後まで読み切っていないが「エマニエル・カント」さんに触れられているようなので、その箇所を読む前にひと言。

 私はドイツ語で読むのは挫折した人間である。結局日本語訳で

  『純粋理性批判』『実践理性批判』『永久平和のために』などを読んだ。

 恐らく、功利主義や競争主義が幅をきかせている現代人の倫理観に冷や水を浴びせかけるのか、古くさい倫理観として一蹴されるのか。面白そうである。

 私は、超越した「正義」があるというスタイル。だから、現代の徒な銭儲けや弱いもの苛め。勝てば良い。何でも一番じゃないと駄目だ。というような感覚には違和感がある。これも、私の生育歴から来る、思考・感情なのだと思っている。

 あー、因みに、脱税はこの国民国家社会では最も許しがたい犯罪の一つ。脱税する者がテレビで人を批判し、裁判員になる資格があるなんて、、、。おかしいでしょ。




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