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威風堂々

晴れ晴れと、伸びやかに日々を過ごすために。
「心」と向き合うことで、日々の健康を大切にしましょう!

物語る 8

2013年08月18日 | 私のなりたかったもの


”WITH NO LOVING IN OUR SOUL.AND NO MANEY IN OUR COATS”ローリングストーンズだ。
良介のお気に入りの一曲である。彼は、60'S
が好きで、ローリングストーンズ・ビートルズ・WHO・KINKSといったグループが好みであった。

 とても暑い日であった。

 通用門を出て、信号を左折した頃から雲が空を覆いだした。いつも渡る橋を越え、河川敷の堤防沿いの道に出た辺りから降り出した。驟雨だ。ザーッと夕立が僕を襲っている。いつも良介は窓越しに見るこの河川敷の光景が大好きだった。雑草が一面を覆い、緑で鮮やかだし、河川敷にはゴルフ場があって、隣接した小道を犬をつれて散歩する人、ジョギングしている人、こんな光景を垣間見ながら車を走らせるのが心地よいのだ。今は、ワイパーが忙しく左右に動き、打ち付ける雨を拭っている。ワイパーの音が彼の意識の中で谺して、「やっぱり気負って仕事するのはよそう。何事もばかばかしくなるばかりだ。」
そう思いながらアクセルを踏み込んだ。


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物語る 7

2013年08月04日 | 私のなりたかったもの

 早く家路につきたいという思いはたしかにある。良介は、顔をタオルで拭く。
「じゃ、帰りますよ。」
 階段を下りる。生徒達がその横を通り抜けて、階段を上っていく。挨拶というものをしない。教師の方から声をかけるのも癪だから、
こっちも無言だ。アルミサッシの窓とリノリュームの床がやけに無機的で、自分という生き物には感情が無いのではないか、と言う思いに一瞬囚われた。駐車場に止めてある自分の車のドアを開けると、ムッとくる熱気に体中の汗腺が反応する。シートに座ってクーラーのスウィッチをオンにすると、新車特有の臭気に煙草の臭いが掛け合わされた冷たい風が、顔面に吹き当たる。エンジンをかけると即座にラジオが鳴った。出勤してきた時、スウィッチを切らずにエンジンを止めたからだろう。


 さて、暑い日々が続きますが、みなさんお元気でね。




物語る 6

2013年06月29日 | 私のなりたかったもの


(そんなものだったかな)―愛―こんな場面で形而上学的なことを考えてみても場違いだろうし、結婚と愛を論ずるには二人とも既にアカデミックな環境に居ないように思われる。 しかしこの暑さの中で、深く考えてみたいと思った。テーマは何でも良かったのかも知れない。しっかりと椅子に座っていると、腰の辺りに疲労感が増してくる。太股の裏側は汗で塗れているようだ。ズボンが引っ付くのだ。「クーラーが欲しい」最高気温が37度だというのに、扇風機だけでは。扇子を一段とばたつかせて、「まあ、君も転勤したほうがええぞ。ぼちぼちな。ここだけが高校やと思てると、あかんのや。実は、どこも似たり寄ったりのとあるけどな。ハハハ。」木島はもう、勤続20年目で、ここでは生徒指導部長である。



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物語る 5

2013年05月26日 | 私のなりたかったもの


 ペットボトルから、粘っこいという形容がしっくりくる甘さのコーヒーを自分用のカップに注いで、額の汗を拭いながら木島は
「せやけど、自分とこはまだええやろ。新婚やからな。まぁ所謂、愛ちゅうやつは半年やな。何が愛で、何が欲望か実際の所はようわからんが、嫁はんのお腹ん中にガキが出来てもうたら終わりや。」カップを口元に運び損ねて、茶色い筋が何筋か頸もとから白いポロシャツの胸元へ流れた。
「おっと。すぐ水で拭いとかんと」
コーヒーの染みは落ちにくいそうで、早く石鹸を塗り込んだハンカチを水に浸して、染みの部分を拭っておくのが一番いい、と木島は言ってほんの数センチ蛇口を捻ってチョロチョロと水を流し、汗のついた紺色の格子模様のハンカチを取り出した。皺になったローン地のハンカチだ。



 暑くなります。梅雨が来ます。でも、まぁ楽しんで登校、出勤して下さい。

物語る 4

2013年05月11日 | 私のなりたかったもの


 ――窓の外を見ると、そこにはまるで小学生が描いたようなクレヨン画の風景が拡がっている。砂漠の色のグランドに、白いユニフォーム姿の少年が2,30人。金属バットが硬球を弾き飛ばすキーンという音。
 ノートを閉じた良介は、帰り支度を始めた。「やけに真面目な顔してたなあ。えぇ、もう帰るんか。」
「はぁ、暑いし、夕方になったら蚊ァ飛んでくるし。兎に角暑い。」
 7月の末。猛暑。良介の隣で扇子を煽ぐバ
タバタ、という音が一層暑さを誘う。「木島さんは帰らんのですか。」
「こんな早よ帰ったかて、ガキの子守させられて、自分の時間なんてものがないのでね。ここでしばらく、油うって、、、、そう。それから、パチンコでもして、それから、帰るという訳やね。」



だるいやつについつい目が行ってしまう。あー、今日も仕事である。
もう、自分に正直に仕事をしたいものだ。


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