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威風堂々

晴れ晴れと、伸びやかに日々を過ごすために。
「心」と向き合うことで、日々の健康を大切にしましょう!

物語る 13

2015年08月10日 | 私のなりたかったもの

 名前に関してはどんな気持ちで、何を考えて自分の子どもにつけるのだろうか。「お前はどうして今の名前になったのか」なんて今まで考えたことすらなかったが、我が子に名前をつけるに当たって”名前”って何なんだろうという疑問が脳中に滲み出てきたわけだ。地名もそうだろうが世界各国で、固有の何か意味を持った何かをそれぞれの地域の言語でもって呼ぶわけだ。意味を持たせるという所が味噌なのかもしれない。どんな意味を持たせるのか。主にそれは、美しく、佳く、嘉しものとして在って欲しいという願いによって名付けられる事が多いだろう。自分の子どもに、自分が果たし得なかった夢を託してみたり(押しつけである場合が多いかも知れないが)する場合もあることが今は理解が出来る。





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物語る12

2015年08月06日 | 私のなりたかったもの


「いろんな名前があるわねぇ。、、、 これなんて読むの?   ちむ?」
「そうじゃないか。かわいいかぁ?ま、かわいいかなぁ。40になって ちむ君ってのもなぁ。どうかねぇ。」
「あはは、しおん っていう 認知症の老人もいいんじゃない。もう良介とか、なになに子なんてのは古いのよ。」
窓が西にあるため、斜陽が急に差し込んできた。中背の恭子の鼻から下あごにかけて板チョコの幅ぐらいに太陽光が肌の上を横切ってい
る。







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物語る 11

2014年08月06日 | 私のなりたかったもの


「襁褓」と言うか、オムツというか、の違いでケラケラ笑い合ったりして二人の夫婦仲は良好であった。
「さて、今日は夕方から暇だし、ご飯作ってみるよ」
「へー。助かるわ。ま、レシピは流しの右の引き出しに入っているから何か作ってもらうかなぁ」(どうせ、口だけなんだから)





物語る 10

2014年07月28日 | 私のなりたかったもの


 良介の子供も妻もこうして柱の写真の一枚となるのだ。良介はこういった写真一葉一葉に全くかわいさも甘さも沸かなかったし、風味というものが沸いてこなかった。自分は冷淡なのかも知れない。実感が迫っていないのかも知れない。いずれにせよカーキ色の木目ボードにピン留めされたカラー写真が気持ちをわくわくさせる起爆剤とはならなかった。
「父親教室もあるのよ。」
「週に一回。週末の土曜日。そぉか。毎週は無理だなぁ」
「一度いってみる?」ガーゼ地の白いハンカチで鼻柱の右側を抑えながら、笑みを浮かべつつも「絶対にこの人は通いっこないわ」と心中つぶやいているのだ。別に愛していないわけではないし、愛想を尽かしているわけでもなく、また妊娠や日頃の家事といった自分にとって疲れる諸事情からの鬱憤が心の呟きになっているのでもない。良介の写真の一群に注がれる眼光と口元のちょっとした歪みから何かを感じ取った恭子の心が、勝手に反応したわけだ。出産、育児に関してお勉強である。この二人にとって出産、育児は一大事業である。それぞれの両親は健在だったし、親類縁者における今までの事例との遭遇は至って平凡であったし、彼ら自身今回の妊娠も望み通りであった。家内は次第に大きくなり出したお腹を、それでも複雑な思いでさするときもあったのだ。夫はたまには育児雑誌にも目を通すのだった。




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物語る 9

2014年07月21日 | 私のなりたかったもの


第2章 誕生

 恭子と待ち合わせている産婦人科病院に着く頃には、雨は上がり、湿気をたっぷりと含んだ地面から這い上ってくるような暑さが辺り一面に充満していた。病院の中へはいると独特の消毒液の臭いなのか、ツーンと鼻に来る。待合室の柱には生まれたばかりの赤ん坊を抱いている母親たちが、一枚のポラロイド写真となって貼られている。母親と父親の名前がワープロで打ったシール文字で貼られている。なるほど母親達の顔はどの顔も皆一様に窶れている。出産、いや分娩とはこんなにもしんどいものなのか。可愛いというには、あまりにもまだ早い赤ん坊達。母親達は疲れた表情の中にも、安堵感で満たされた感じが漂う。



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