シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

【萬物相】ブランド品中毒

2012年01月24日 18時18分37秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 12.1.22記事抜粋)
小説家ペク・ヨンオクの長編小説『スタイル』は、30代前半の女性たちのブランド品をめぐるさまざまなストーリーを描いた作品だ。小説の中には「中身よりも包装紙のほうが重要で、『外見』は『内面』を反映する鏡だ」という一節が登場する。食事はインスタントラーメンで済ませても、ブランドのハンドバッグや時計をためらうことなく買う女性たちの話だ。国内のブランド市場の規模は、年間5兆ウォン(約3390億円)を上回るという。海外ブランド品は韓国で(どの国よりも)最も高く売れる。韓国・欧州連合(EU)間の自由貿易協定(FTA)により8―15%の関税が撤廃されたにもかかわらず、欧州で300万ウォン(約20万円)台のハンドバッグが、韓国では500万ウォン(約34万円)以上で売られている。
 あきれるような「ブランド中毒女」の話もたびたび登場する。昨年には26歳の女性が偽札を作り使用した疑いで逮捕された。この女性は、高級ブランドのハンドバッグや化粧品1億ウォン(約680万円)相当を購入し、6000万ウォン(約410万円)もの借金を抱えていたため、これを返済するためにコピー機で偽札を作ったという。別の20代の女性会社員は、会社の資金16億ウォン(約1億860万円)を横領し、2億ウォン(約1億3570万円)相当のブランド品を購入した容疑で警察に逮捕された。その中には一つ1000万ウォン(約68万円)を超えるバッグもあった。
 昨年、あるデパートに入店したシャネルが、オープン初日に4億6000万ウォン(約3120万円)の売り上げを記録した。オープン初日の売り上げとしては、全世界のシャネルの中でも記録的な金額となった。韓国の女性たちの間では「シャネルの製品で財テクをする」という意味の「シャテク」がかなり前から流行している。2008年に、シャネルのクラシックキャビア(ミディアム)バッグは270万ウォン(現在のレートで約18万円、以下同じ)で販売されていたが、昨年には579万ウォン(約39万円)まで値上がりした。高い値段で購入し、何年か使用した後に中古市場に出しても差益を受け取ることができるというわけだ。
 シャネルが2月から韓国国内での販売価格を再び10%以上引き上げることを決めた。現在663万ウォン(約45万円)の「ビンテージ2.55ラージ」は、740万ウォン(約50万円)で販売される予定だ。本場のフランスで買うより約191万ウォン(約13万円)も高い。08年に334万ウォン(約23万円)だったバッグが4年間で2倍以上高くなったことになる。それでも消費者たちは「嫁入り道具の必需品」を手に入れるために列を成して待っているのだから、高級ブランドが韓国人を「カモ」と見なしているのも仕方ないことだ。
 隣の女性が持っているから買わなくてはならないのがブランド品で、隣の女性が持っていないから買わなくてはならないのもブランド品だ。「ブランド品財テク」も他の国ではほとんど見られない「韓国病」だ。国内のブランドをいかに育てるかを考えるのではなく、ブランド品の輸入に熱中している財閥トップの子孫たちも情けない限りだ。韓国人のあきれるほどのブランド品好きは、海外のブランド業者をもうけさせるばかりだ。ブランド品中毒は、自慢したいという欲望が意思をまひさせる、はやりの病気だ。不治の病になる前にブランド品中毒から目を覚まさなければならない。
朴海鉉(パク・ヘヒョン)論説委員


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