シニア花井の韓国余話

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「ほっといてほしい」という北朝鮮【コラム】   

2015年07月31日 20時10分37秒 | Weblog
北朝鮮は7月19日、韓国のソウル安保対話招請を「幼稚だ」と言って断った。同時に鄭義和(チョン・ウィファ)国会議長が提案した8・15光復(解放)記念南北議長会談も拒否した。
「米国の『戦略的忍耐』政策は北と対話をしないということなのか」とオバマ政権の官僚に尋ねれば、「米国が対話する意志がないのが問題ではない」という言葉が返ってくるだろう。1、2期目のオバマ政権は6カ国協議から秘密訪朝まで、朝米対話を開始するために試みなかったチャンネルがない。すべて断ったのは平壌(ピョンヤン)政権だ。
北朝鮮を対話テーブルに座らせようとする中国の努力もすべて徒労に終わった。高官級の特使を送ろうとしたが、平壌が拒んだ。5月のロシアの戦勝記念日行事に金正恩が出席するかと思われた。ロシアにのみ進展があるかと思われたが、金正恩は最後の瞬間にロシア訪問を撤回した。日本の安倍晋三首相は拉致被害者調査の再開のための新しい機会を北朝鮮に与えたが、いかなる成果もなかった。
平壌は7月21日、イラン核交渉のように「一方的な核凍結や核放棄を強要するいかなる対話にも関心はない」という意向を明らかにした。「我々の核抑止力は交渉テーブルに載せて駆け引きするものではない」とも述べた。北朝鮮とイランは比較できず、北朝鮮は非核化に関心がないということだ。
対話を拒否している北朝鮮は同時に非常に静かだ。予想とは違い、昨年から北朝鮮は大々的な弾道ミサイル試験や核実験をしていない。2010年の韓国哨戒艦「天安」沈没や延坪島砲撃後は大規模な挑発を敢行しなかった。
どのようなことが起きているのだろうか。いま北朝鮮は挑発周期にも外交周期にも属していない。北朝鮮の猛烈な修辞の中には対話に向けた欲求も攻撃の前兆も含まれていない。
平壌で何が起きているかについて、いくつかの「理論」や説明が可能だ。
可能性の一つはオバマ政権、朴槿恵(パク・クネ)政権に対する北朝鮮の判断と関連する。韓米両国政府は違う問題に没頭している。さらに平壌の過去の経験に基づくと、両国政府の前任者とは何らかの妥結に到達することはできるが、後任者が妥結を無効にする。オバマ大統領も朴大統領も新たな任期がない。もしかすると、北朝鮮はイランのケースも次期米政権が交渉を原点に戻すと予想しているのかもしれない。
2つ目の理論は金正恩に国内の問題があるというものだ。最近の人民武力部長粛清を含め、金正恩は執権後に約90人の高位層を処刑した。粛清は北朝鮮で新しいことではない。しかし執権からほとんど4年経過したが、粛清があまりにも多い。さらに粛清の対象は最側近グループに属する。まだ内部的に相当な困難が残っていることを示唆する。軍と党の間、もしくは労働党組織指導部と金正恩一家の間に葛藤があるのかもしれない。北朝鮮体制の内部で発生した問題は北朝鮮の国際関係の形態に影響を及ぼす。
3つ目の説明は、北朝鮮内部の脆弱性でなく、むしろ内部の安定を取り上げる。米国がイラン・キューバ・イスラム国(IS)と国内の問題のために、大韓民国が中東呼吸器症候群(MERS)収拾と経済回復のために余念がない間を利用し、北朝鮮が静かに体系的に能力の伸張を図っているという主張だ。米国と国連は北朝鮮がまた挑発をすれば新たに経済制裁を加えるということを北朝鮮に明白に伝えた。したがって新たな挑発は北朝鮮にプラスにはならない。
一方、平壌が外交からどんな利益を得ることができるのかは誰も明白に話していない。それで北朝鮮は弾頭の小型化、ウラン基盤の核兵器製造、サイバー能力の向上、ミサイル開発などに時間を使っている。このような背景で最近、スコット・スウィフト米軍太平洋艦隊司令官が北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)試演について述べた言葉は正しい。5月の試験発射は事実でなくとも十分に脅威だ。北朝鮮の非対称能力が停滞状態ではないということを見せたからだ。外交と挑発の合間の利用して北朝鮮は現代化した先端核能力を確保するために積極的に努力しているのだ。
4つ目の説明は、北朝鮮が内部の亀裂の解決でなく、内部の経済改革・再建に力を注いでいると主張する。金正恩が豪華スキー場やウォーターパークを建設する中で、農業分野に個人インセンティブを導入している兆候が少しずつ見えるということだ。これは北朝鮮の改革の意図を反映するものかもしれない。北朝鮮が今のような隠遁者の態度から抜け出し、最終的には外部の世界と相互作用を増やしていくという主張だ。
もちろん我々はこうした説明のうちどれが正しいかは分からない。これらの説明をすべて組み合わせれば何らかの答えが出てくるかもしれない。北朝鮮は党と軍と金氏一家の記念日を中心に動くため、北朝鮮の現状況を洞察するには、近づいてくる2つの記念日に注目しなければいけない。8月15日の光復節と10月10日の労働党創党70周年記念日だ。
                    ビクター・チャ・ジョージタウン大教授
韓国大手新聞 中央日報15年7月24日記事抜粋




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