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無償福祉に執着した野党、解決策を示すべき【社説】                       

2014年11月09日 18時27分18秒 | Weblog
韓国大手新聞  朝鮮日報14年11月7日記事抜粋
 2011年のソウル市長出直し選挙や12年の国会議員総選挙、大統領選挙を経て、無償福祉制度が無差別的に導入されてから3年足らずにして、重い財政負担というツケが回ってきている。このままでは福祉制度全体を揺るがし、計り知れない社会的コストを負担するという状況が現実のものとならざるを得ない。
 福祉のためにこれ以上費用を負担できないという地方自治体の抵抗は、今や全国的に見られる。慶尚南道知事が無償福祉のための予算編成を拒否すると宣言したのに続き、京畿道教育監(教育庁〈教育委員会に相当〉トップ)も「無償保育のための予算編成は不可能だ」と述べた。11月6日には全国の市長・郡守(郡の首長)約180人が、基礎年金や無償保育に使われる費用のうち、基礎自治体が負担する分を、これ以上負担できないと宣言した。
 このような動きには、対立する政党に打撃を与えようという政治的な意図が隠されているのかもしれない。野党側が始めた無償給食を、与党セヌリ党に所属する広域自治体(日本の都道府県・政令指定都市に相当)の首長が批判する一方、朴槿恵(パク・クネ)大統領が公約した無償保育の予算の計上を、野党側の教育監が拒否するという状況を見ていると、そのように思えてならない。だが根本的には財源の問題に行き着く。支払い能力を超える負担を強いられた場合、デフォルト(債務不履行)状態に陥ることになるのは明らかだ。それにもかかわらず、与野党はカジノでチップを積むかのように、無償福祉をめぐる競争を繰り広げている。
 2012年の大統領選でも、朴大統領は5年間に28兆ウォン(約2兆9500億円)かかると推計した0-5歳児の無償保育を含め、計97兆ウォン(約10兆2300億円)規模の無償福祉を実施すると公約した。一方、野党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は5年間で42兆ウォン(約4兆4300億円)を必要とする「医療費の100万ウォン(約11万円)上限制度」を含め、192兆ウォン(約20兆2500億円)規模の無償福祉を公約した。これらは誰が見ても実現不可能なものだが、政治家だけは「実現可能だ」と主張し、選挙戦を戦った。
 朴大統領は昨年、基礎年金に関する公約を下方修正したのに続き、高校無償化も事実上放棄した。そして今は、無償保育の財源を地方自治体に押し付けているという批判を浴びても、何も言えない状態だ。だが、最も責任を痛感しなければならないのは野党側だ。野党側はソウル市長出直し選挙や国会議員総選挙、大統領選挙で「普遍的な福祉」だけを争点にしたといっても過言ではない。専門家たちが「貧困層に多くのメリットを与え、高所得者への支援は減らす、選別的な福祉施策を行うべきだと主張するや、野党は「反福祉勢力」と決め付けた。
 2011-12年には、米国ニューヨークでウォール街を占拠するデモが行われるなど、所得の二極化問題が世界的な課題になっている。その流れに便乗した野党側が掲げた「普遍的な福祉」は、選挙の争点にするのは成功したかもしれないが、国の将来を考え苦悩した末の産物ではなかった。12年の大統領選は、与野党ともに経済成長の目標値すら定めないまま戦った初めての大統領選だった。経済成長の見通しや税収の予測も十分に考慮しないまま、大雑把な計算で作成した福祉施策の設計図を国民に売ったことになる。
 福祉の充実に反対する人はどこにもいない。だが、福祉施策のプログラムは、経済成長率や国家財政の状況を考慮し、慎重に決めていかなければ、現在全国で起こっているような予算編成拒否という事態につながりかねない。混乱を収拾するためには、政界が「福祉vs反福祉」「普遍的な福祉vs選別的な福祉」といった論争をまずやめるべきだ。政府・与党は国政を担う立場として、今の混乱を収拾することを避けて通ってはならない。だが、無償福祉により執着してきた野党側がまず、この問題の解決の方向性を示すべきだ。それこそが、国民の前で堂々と責任を取る姿勢というものだ。




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