シニア花井の韓国余話

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旅客船沈没:運航管理者、義務項目半数以上守らず

2014年05月01日 11時00分40秒 | Weblog
韓国大手新聞 朝鮮日報14年4月28日記事抜粋
日本と大違いの運航管理者資格
 韓国南西部・珍島沖での旅客船「セウォル号」沈没は、旅客船の安全の見張り役であるはずの運航管理者が法律上定められた事項さえ守っていれば十分防げたとの批判が巻き起こっている。
 運航管理者とは、旅客船が安全上の規則を守っているかどうか監視し、出港のたびに過積載の有無をチェックする担当者だ。運航管理者の給与は旅客船の乗客が支払う運賃と税金(国庫補助金)から出ており、法律上定められている義務を怠ったことに対する非難は免れないだろう。
 運航管理者は旅客船を所有する船会社の利益団体「韓国海運組合」が採用しており、海洋水産部(省)は全く監督をしていなかった。「運航管理者が本来の役割を果たしていなかったことが今回の事故の決定的な原因の一つだ」という指摘も相次いでいる。
■運航管理者、義務13項目中7項目守らず
 本紙が4月27日、運航管理者が行うべき職務13項目を規定した海運法施行規則(全15条8項)を分析したところ、セウォル号を担当する運航管理者A氏(32)はそのうちの7項目を守っていなかったことが分かった。セウォル号が安全に出航するのに必要な義務のうち、半数以上が実行されていなかったわけだ。
 まず、A氏は船長が出航前に提出する点検報告書を確認する義務(第3条)を怠ったと思われる。船長はコンテナの数を記載しておらず、車も運行管理規定(船積み可能な台数は148台)よりも32台多い180台を載せたが、A氏は報告書をパスさせていた。
 セウォル号は就航以来、158回に達する航海のうち157回が過積載だった。このことからも、A氏が積載限度を超えているかどうかについて確認義務(第6条)を果たしていなかったとみられる。そのほかにもA氏は「船長は船内の非常訓練実施状況を確認しなければならない」(第10条)、「救命装備が完備されているかどうか確認しなければならない」(第11条)という義務もおろそかにしたといわざるを得ない。一部乗員は「非常時の安全教育を受けたことがない」と供述しており、救命いかだは46艘(そう)のうち1艘しか開いていなかった。
 A氏は第1条に書かれている乗員の安全管理教育もチェックしていなかった。セウォル号のイ・ジュンソク船長(69)をはじめ航海士・機関士ら船舶職の乗員15人は乗客を全く救助せずに脱出し、全員逮捕・拘束された。
■海運組合「きちんと点検した」と主張
 海運法上、運航管理者は3級以上の海技士資格があり、乗船経験が3年以上でなければならない。A氏は2級航海士の資格を持っており、H海運で航海士として3年間勤務した経歴があるため、資格基準は満たしている。しかし、運航管理者としての経験はわずか3年4カ月にすぎない。海運業界関係者は「30代前半のA氏が父親と同年代の乗員にあれこれ命令をするのは容易でなかっただろう」と話す。
 運航管理者は、安全確保のため出航停止を命じる権限も持っている。しかし、A氏はこうした権限を行使しておらず、「安全上の致命的な欠点が複数あるセウォル号を野放しにした」との非難は避けられないだろう。
 しかし、韓国海運組合はA氏をかばっている。同組合関係者は27日、本紙の電話取材に「(A氏は)綿密に点検し、(セウォル号が)出航したときは何の問題もなかった」と主張した。さらに、「過積載かどうかも運航管理者は満載喫水線(船舶が水に浸かる最大の深さを示した線)を超えたかどうかだけを確認するのみで、バラスト水(船舶の重心を保つために船のバラスト〈底荷〉として使われる水)を抜いて過積載していたかどうかは1等航海士にしか分からない」と語った。
 韓国海運組合は運航管理者が受け取る給料に一銭も出していない。旅客船運賃のうち3.2%を海運組合が徴収し、足りない金額は毎年7億-10億ウォン(約7000万-1億円)を国庫補助金から支援されて給料を支払っている。運航管理者の給与(年平均4300万ウォン=約430万円)は全額、国民とセウォル号被害者家族の財布から出ているということだ。
■日本の基準なら運航管理者になれない
 1949年に運航管理者制度を導入している日本の基準で見ると、セウォル号担当のA氏は運航管理者になれない。日本は船長経験3年以上、または甲板員経験5年以上でなければ運航管理者になれないと定められている。したがって、船長を務めたことがなく、航海士の経験が3年だけのA氏は日本では資格要件を満たせないのだ。
 日本でも運航管理者は旅客船を所有する船会社が採用している。しかし、国土交通省港湾局所属の公務員である運航管理官が運航管理者を監視しており、韓国海運組合にだけ運営を丸投げしている韓国の海洋水産部とは全く違う。日本ではまた、船会社が運航管理者を任免する際、国土交通省の同意を得なければならないことになっている。
孫振碩(ソン・ジンソク)記者




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