シニア花井の韓国余話

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【コラム】「怒りの世代」を生んだ韓国政治

2011年09月09日 18時50分44秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 11.9.4記事抜粋)
 ちょうど7年前の今ごろ、当時与党だったヨルリンウリ党の勢いは誰にも止められそうになかった。ヨルリンウリ党は同年4月に実施された第17代総選挙で国会の全議席(299議席)の半数以上となる152議席を獲得した。これに民主労働党の10議席、ヨルリンウリ党を離党した昔の民主党議員の9議席を合わせると、現在野党のヨルリンウリ党の議席数は当時171議席にまで及んだ。当時の与党議員たちは公然と「進歩20年執権論」を口にした。韓国社会が2002年の大統領選挙と04年の総選挙を通じて左に大きく傾いた以上、左派は少なくとも20年は政権を手にすることができるといった主張だった。
 しかし、韓国政治はこれら議員の願いとは裏腹に左派政権の持続を許さなかった。07年の大統領選挙でハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)大統領候補は531万票という歴代最多の票差をつけて大統領に選出され、翌4月に行われた第18代総選挙ではハンナラ党が153議席を獲得、国会の第1政党となった。ハンナラ党の議席に自由先進党の18議席、親朴連帯(朴槿恵〈パク・クンヘ〉元ハンナラ党代表を支持する同党離党組が結成した政党=現未来希望連帯)の14議席、汎右派を名乗る無所属の当選者まで合わせると、右派陣営の議席数は200議席に迫った。左派が自らの「20年執権論」を掲げ始めたその瞬間から、韓国社会は右に向かって大きく傾き始めたのだ。
 そして来年4月には総選挙、同12月には大統領選挙が相次いで行われる。しかし、最近の与野党の雰囲気は4年前とは全く違っている。ハンナラ党は総選挙の敗北の恐ろしさを隠し切れず、民主党は勝利に対する自信がみなぎっている。
 2002年の大統領選挙以降、韓国の有権者たちは5年ごとに左折と右折を繰り返しながら、国の方向性を変えてきた。有権者たちの理念について調査しても、こうした流れと一致している。しかし、5年単位で変わってしまう理念を、果して理念と呼ぶことができるのかは疑わしい。一人の政治理念が、5年ごとに進歩から保守に、右派から左派に変わるとすれば、それは初めから理念を持っていないか、自分の政治理念を時の流れに合わせて変えてしまう「実用的」ケースに該当する。ところで、こうした事態が韓国社会では集団的に発生している。
ここ10年間、こうした方向転換を主導してきた世代を挙げるとすれば、今の30代といえるだろう。同世代のほとんどは、1970年代に生まれた。韓国が経済成長の高速ベルトに乗り掛けたころに生まれた今の30代は一時、すぐ上の世代の386世代(60年代に生まれ、80年代に大学に通った現在の40代)の代案とまでいわれた。民主化運動と左派理念に触れながら20代を送った386世代の限界を、これらの世代が克服してくれると期待したのだ。これらの世代は、10代後半と20代の前半を通じて、2002年に開催されたワールドカップ(W杯)ベスト4進出という神話を現場で楽しんだ。また、「大韓民国」に対する自負心は386世代とは比べものにならないくらいに強かった。「W杯世代」「広場世代」というニックネームが付けられたのも、こうした理由からだった。従北や社会主義理念の「閉ざされた世界」で成長してきた386世代とは違い、これらの世代は世界に進出する「開かれた世代」として成長するかに見えた。
 しかし、これらの世代は30代を迎えたころから「不満・不信・不安」でいっぱいの「3不世代」となってしまった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権後半に実施した世論調査では、同世代の約70%が故・盧前大統領の国政運営に否定的評価を下した。そして、李明博政権に対しても、全く同様の反感を抱いている。2007年の大統領選挙では李明博大統領候補を選んだし、今年4月の京幾道盆唐の再・補選では70%が野党民主党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)候補を支持した。わずか3年半で支持政党を変えたこの変化を、左と右という理念のフレームだけでは到底説明できない。
 ここ4年間に実施された各種選挙で30代が見せた一貫した情緒は、まさに「怒り」にほかならない。韓国社会の秩序に対する怒りと不満、不信と不安を選挙を通じてぶちまけているのだ。それなりの理由もある。不安定な雇用と上昇し続ける家賃、保育や学校外教育費など、これら世代を押さえ付ける社会構造的な問題は、一つや二つどころではない。こうした状況は今の30代で終わるものではないだろう。韓国の青年雇用率は40.3%と、経済協力開発機構(OECD)国家の中で最下位にランクされている。毎年大学卒業者15万人が非正規職としての就職を余儀なくされたり、就職浪人に甘んじてしまったりしている。毎年「3不世代」が増加しているのだ。子どもの世代の怒りは親の世代に波及していくものだ。こうした構造では、民主主義や選挙が正しく行われるわけがない。こうした風土では、今後どんな政党が政権を執っても、「成功する政府」になれない。韓国は今、時限爆弾を抱えているも同然だ。この爆弾の爆発力を大きくしてしまっているのが最近の政治といえるだろう。
(投稿者注)
韓国人は元々「自己中心主義」なので、自分に気に入らないことは必要以上にストレスが溜まるようだ。それが、時として日本人には理解できない程の大きな爆発になる。
そのために、韓国では民主化後の20年間、各政権は大衆迎合型(ポピュリズム)の政治をしてきたために、自己中心型の国民を甘やかせてきた、そのつけが現れている。




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