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遊漁船業情報センター

遊漁船(沖釣り船・瀬渡船・海上タクシー)にかかわる様々な情報を適宜発信します。

<磯焼け>の天敵<アイゴ(通称=バリ)>について

2008-09-10 09:13:06 | Weblog
 昨日は、社団法人西部海難防止協会の主催する<第二回西海防セミナー>が開催されました。
今回のテーマは【九州沿岸の水産動植物事情についてー魚類の食害による藻場の衰退】でした。スピーカーは、下関水産大学校准教授『野田幹雄』先生でした。
 講義中の眠さにもかかわらず真剣に受講してきました。
講義の内容は、<磯焼けによる藻場の壊滅>について統計資料及びビデオを併用したものでした。
特に、地球温暖化の影響で魚種の北上が顕著で、これまでに見られなかった<魚>が出てきて、それらの魚が餌る海洋生物が喰いちぎられている現状を報告していました。
北上する魚種は現在のところ17種に及んでいますが、特に主犯として挙げられていたのが【アイゴ】という学名で九州地方では<バリ>と呼ばれている海賊です。
 本来は、日本近海の暖かい海のサンゴ礁や磯に生息しています。
この魚の特徴は鰭の棘(トゲ)に毒をもっており、刺されるとひどく傷むのですが食用にされているのが不思議です。
釣り人にとっては『また、バリか!!』といって、再放流しますが海底では群れをなして藻を食べて生きているのですから<磯焼き>の完全実行犯なのです。
ですから、再放流しないで食用として今宵の膳に乗せるか処分することをおすすめします。
 英語ではラビットフィッシュと呼ばれ、顔つきがウサギに似ています。このアイゴには背びれ、腹びれ、尻びれの棘が太く、鋭く発達していて、それぞれに毒腺を備えていて、この棘に刺されると毒が注入され数日間激痛と腫れに襲われます。
アイゴ本体が死んでも棘の毒は消えませんので、採捕したら刺されないようにハサミなどで棘を切断することをお勧めします。
 このようにアイゴは、藻を好みますから水族館ではコマツナなどの菜っ葉を与えていますが、漁法としてはサツマイモを餌にしたカゴ釣りや酒かすや味噌などを練り餌にしたものでの釣りがあります。
アイゴは群れをなして海藻を食べますからこのような磯を釣り糸に垂らすと入れ喰い状況になるそうです。
 
 食材としては、皮と内臓に磯臭さがあって好みが分かれますが、その部分を除去すれば白みで予想外に癖もなく味が良いそうです。
ですから、調理する時の臭さは我慢ものですが、処理が終われば大丈夫です。
塩焼きや刺身にもいけますが、一夜干し、煮付けにも大丈夫のようです。この、継子扱いされたアイゴが食用としてグルメに乗れば、<磯焼け>の解消に役立つかもしれません。

<指定海難事件>について

2008-09-09 10:59:09 | Weblog
 6月23日午後2時ごろ、千葉県犬吠崎灯台から東に約300キロ沖の太平洋上で巻き網漁船(総トン数135トン)が転覆沈没しました。
この漁船には乗組員が20人いましたが、全員が海に投げ出され僚船が7人を救助しましたが、うち4人は心肺停止状況にあり、13人が行方不明の海難事故がありました。
 第二管区海上保安本部では、現場海域の当時の気象・海象は風速10㍍、波高2㍍と荒れており、漁船はイカリを打って船体の安定を保っていたそうですが、転覆してしまいました。
この海域は、カツオやマグロなどの豊かな漁場で多くの漁船が集まるところです。ところが、反面、荒天時には波が高く、危険と隣り合わせの海域といいます。
 この海域は水深5000㍍にもおよびイカリを降ろしたといえども、海底には届かないため停泊中の船体は常時不安定でもあります。
よって、沈没した船体の引き揚げは困難といわれています。
このような気象条件では浜に戻るか沖に留まるか?船長の判断に委ねられますが、このところの船舶燃料の高騰で経費の無駄遣いを考えられたのではないかと関係者は話しています。
今回の海難事故の原因は、転覆から10~15分で沈没していたことが僚船のレーダーで把握しているといいます。
そうなると、横浪を受けての転覆でしたから<三角波>を受けた可能性が考えられます。
 この海難事件を受けて、横浜海難審判理事所は9月1日【重大海難事件】に指定した。
【重大海難審判事件】は死者が10人以上や行方不明者が多い海難事故が指定され、これまで6人の調査担当者は6人であったが特別調査本部は10人に増強しほぼ専従で調査にあたるそうです。
過去に【重大海難審判事件】に該当した海難事件は、今年2月19日に発生した護衛艦と漁船の衝突事件がありましたが、10年代は9件、平成に入ってからでも7件、昭和60年代で5件、50年代で4件、40年代で6件、30年代で5件、20年代で2件、と数少ない状況です。

補正予算として組んだ<燃油高騰水産業緊急対策>の骨子

2008-09-08 08:53:32 | Weblog
 突然の<福田首相>の辞任で風前の灯火となった、原油価格の高騰による【燃油高騰水産業緊急対策の骨子案ができていましたが、これがどうなるのか?
とりあえず、机上にきている骨子案をみると、全体で745億円。
 ①省燃油実証事業の創設
   燃油消費量を10%以上削減する操業の実証を行う漁業者グループに対し燃   油費の増加分に着目した支援を行う。=80億円
 ②省エネ機器等の導入の支援
   沿岸漁業改善支援資金(無利子)の要件を見直し、同じ漁業者が繰り返して   省エネ施設・機器を導入する際の融資
 ③省エネの支援=②+③で200億円
   省エネ操業を行うのに必要な運転資金を無利子で融資=①+②で200億円 ④休漁・減船等の支援対策
   燃油高騰を踏まえ、漁業者の負担を義務付けない等漁業種類の実情に応じた
   休漁・減船等の支援
 ⑤国際漁業対策=④+⑤で65億円
   国際的規制に加え、燃油高騰等も踏まえた減船に対しての支援
 ⑥流通の多様化等を通じた手取りの確保=40億円
   漁業者の手取り確保に資するよう
     1.水産物買取規模の拡大
     2.直接取引の支援措置の改善
     3.養殖餌料の直接取引を支援する事業の新設

今日は<海上タクシー>のこと。

2008-09-07 11:18:45 | Weblog
 今日のテーマは<海上タクシー>です。
陸上の街には<営業タクシー>あるいは<個人タクシー>が右往左往しながらランプをつけて走っています。
隣の国韓国は<イエロータクシー>といって車体の色は<黄色>です。
 ところで、海にもこのようなタクシーが走っています。
一般的には、離島に行く場合には定期船に乗るのが常識ですが、乗船するためには一定地域の乗船場に行くことになり、また、便数にも常時走っていませんから誠に不便です。
このようなときに利用するのが<海上タクシー>です。
海上タクシーのことを正式用語で【不定期航路事業】と呼んでいますが、これにはしっかりした規則があるのです。
船を持っているからといって勝手に運航することはできません。
 運航するには、法律的には<海上運送法>というものがありますが、これには<免許><許可><届け出>といった運航の方法に3段階の手続きを必要とします。
<免許>ということになりますと厳重な審査を経て合格すれば営業が可能ですが簡単にはいきません。
免許より多少手続きが緩和されたのが<許可>です。さらに、緩和されているのが<届け出>です。
今回は、海上タクシーで一般的に簡単な手続きですむ<届け出>について紹介します。
 まず、旅客定員が13人未満の船舶の用途が<交通船>でなくてはなりません。これには他の用途との<兼用船>でも構わないことになっています。
すなわち<遊漁船兼交通船>でもいいわけです。この書き換えは日本小型船舶機構(JCI)の全国の支部に申請すれば書き換えてもらえます。
次に、全国にある海運局に<人の運送をする不定期航路事業>の申請することになります。
これは、業務開始日の1ヶ月前までに行う必要があります。これらの申請には、損害賠償保険の付保が必要条件になっています。
 最後に、罰則規定があります。
<届け出>をしないで又は虚偽の届け出をして人の運送をする不定期航路事業を営んだ者は100万円の罰金が処せられることになっています。
ご注意ください。

10月1日より<海難審判庁>が変わります。

2008-09-06 12:14:40 | Weblog
 今年の10月1日から<海難審判庁>と<航空・鉄道事故調査委員会>から運輸安全委員会と海難審判所が発足します。
すなわち、これまでの海難審判庁>が廃止され【運輸委員会と海難審判所】の二本立てで運営されることになります。
 これは、現在の地方に8審判庁と東京に高等海難審判庁の二審制の対審方式によって海難の原因究明と海技免状所持者の<懲戒処分>が行われてきました。
 10月1日以降は、懲戒処分を分離し再発防止のための原因究明機能だけを専門に扱う<運輸委員会>と懲戒手続きのみをおこなう<海難審判所>とに組織を分離し、これまでよりさらに原因究明機能を進化させ、再発防止の体制を充実させることにしています。
 <運輸委員会>と<海難審判>については、これまでの地方事務所の所在地で行われることになりますが、詳しくは下記の図式を見てください。
ただし、9月30日までに申し立てられた事件についてはこれまでの通りの方法で初るされることになります。
 今後は、海難事故が発生すると<運輸委員会>の事故調査官と、<海難審判所>の理事間がそれぞれ、異なる目的と観点の元に事故の態様を調査することになります。

<遊業船業者>登録(開業)に必要な書類は?

2008-09-05 10:52:15 | Weblog
 先日紹介した<遊漁船業者>の登録の5年ごとの一斉更新が4月より所在地の都道府県の担当課で始まっていますが、必要な書類は次のような書類を提出する必要があります。
 ①業者登録申請書
 ②誓約書(添付書類に虚偽記載のない者であるということ。)
 ③損害賠償責任保険の証券
 ④遊漁船業務主任者の受講証明書
 ⑤申請者と遊漁船業務主任者の住民票
 ⑥遊漁船業務主任者の海技免状
 ⑦遊漁船業務に使用する船舶検査証書
 ⑧遊漁船業の実務経験又は研修証明書
の八つの添付書類が必要であると同時に、
 ①遊漁船業<業務規程>
 ②<業務規程>の別表1~10
の付属書類を提出する必要があります。
上記の書類は個人事業者の申請書類ですが、法人又は未成年者の場合は上記のほかに書類が必要です。
以上が、<遊漁船業者>を事業するための必要書類ですが、分らない時はお近くの都道府県の担当課に連絡してください。
担当課の連絡先は、パソコンを開きお近くの都道府県のホームページを検索してご確認ください。
<西日本遊漁船業協同組合>でもお答えすることができますので、お気軽にお電話ください。☎092-734-0463です。

イージス艦と漁船衝突に対する海難審判で艦船側は真っ向対立。

2008-09-04 16:31:34 | Weblog
 今年の2月19日午前3時40分の銚子沖野島崎沖の海上自衛隊最新鋭イージス艦<あたご>と漁船<清徳丸>の衝突事故にかかわる第一回海難審判が横浜海難審判庁で午後9時から開廷しました。
 漁船<清徳丸>の船長と乗船していた息子さんの二人は5月に<死亡認定>されたため審判からはずされ、イージス艦側からの5人が尋問となった。
イージス艦側は、『亡くなった二人には申し訳ないが、相手船の漁船が右転したことにより新たな危険が生じた。』と、これまでの主張とは異なった主張で真っ向から対立した。
 海難事故については、行政審判で原因究明や関係者の処分を決める<海の法廷>といわれていますが、刑事裁判の検察官にあたる理事官に申立して開廷されることになります。
被告にあたるのは、操船・操縦の免許を持つ<受審人>とそれ以外の<指定海難関係人>及び<海難審判官>で海難の事実調べを行うものです。
被告には弁護士にあたる<海事補佐人>が弁護にあたりますが、審決の結果として<懲戒処分>がありますが、それには①免許の取り消し②業務の停止③戒告の三つがあります。
②の業務の停止には、一ヶ月以上3年以下とする。と決められています(海難審判庁法第5条)

今年の4月1日から<遊漁船業者登録>の更新が始まっているのをご存知ですか?

2008-09-04 10:34:40 | Weblog
 遊漁船業(釣り船業)を開業するには、登録する事業者は所在地の都道府県知事に<登録申請>する必要があります。
この法律は、昭和63年7月21日に東京湾横須賀沖で発生した潜水艦<なだしお>と遊漁船<第一富士丸>との衝突事故で31名の釣り客が犠牲になったことに端を発しました。
 その年の12月23日法律第99号で議員立法により【遊漁船業の適正化に関する法律】が制定され、一年間の公布期間を経て翌年の10月1日に施行されました。
当時は<届け出制度>としてスタートされましたが、平成5年11月12日法律第89号によって<登録制度>に変わり、登録の有効期間も5年間と限定され、その後は<更新手続き>により事業の継続を行うことになりました。
 これから<遊漁船業>を始めようとする方、あるいは、更新手続きを行おうとされている事業者は、手続き方法及び船客保険の加入等を親切にご指導いたします。
お電話ください。お問い合わせは、
☎092-734-0463<西日本遊漁船業協同組合>です。

一昨年(06年)10月の伊豆沖遊漁船転覆事故の第一審判決が9/22に延期

2008-09-03 15:05:31 | Weblog
 平成16年10月、東京都神津島村の遊漁船<第3明好丸>(16トン)が高波で転覆し、二人が死亡5人が行方不明になった事故で、業務上過失致死傷罪などに問われている元船長への第三回公判が9月1日静岡地方裁判所沼津支部で開かれました。
 当日は、事件に対する<判決>の予定でしたが、船長側が前回の公判で過失責任を否認に転じたため、検察官が論告の補足を求めたため判決は9月22日に延期されました。検察官の論告は、転覆原因となった後方からの三連続の波について『突発的なものではなく、見ていれば連続してやってくることは十分予見できた。』と、改めて船長の注意義務違反と指摘した。
これに対して、あらかじめ想定できないための操船ミスはなかったとする弁護人はこのように主張しました。

千葉県銚子沖のイージス艦と漁船衝突事故の海難審判は9/4(木)です。

2008-09-03 14:48:46 | Weblog
 今年の2月19日に千葉県野島崎沖で発生した海上自衛隊イージス艦<あたご>と漁船<清徳丸>衝突事故に対する事故原因の究明と再発防止を目的とした第一回海難審判が明日4日に横浜海難審判庁で開廷することが決まりました。
 刑事裁判の被告にあたる<指定海難関係人>として、あたごの前艦長『船渡健一』一等海佐や衝突時の当直責任者であった前水雷長の『長岩友久』三等海佐が意見を陳述します。
 指定海難関係人のについては、このほか、衝突前の当直責任者であった前航海長の『後潟桂太郎』三等海佐やレーダー監視を担当する戦闘指揮所(CIC)の責任者であった前船務長の『安宅辰人』三等海佐、さらに、あたごが所属する海上自衛隊第三護衛隊が呼ばれています。
 このたびの海難事故については、衝突前に漁船<清徳丸>を視認してから、艦長への報告を怠ったほか、当直交代の際に『危険性なし』として引き継ぎ、自動操舵を操船し続けるなどのミスの連鎖が指摘されています。
海難審判では、ずさんな運航実態や海上自衛隊の組織責任をどこまで追及できるかが焦点となっています。