昨年4月、長崎県平戸沖で発生した巻き網漁船第11大栄丸(135トン、乗組員22人)が沈没し12人の死亡者がのですが、この海難事故を調査していた<運輸安全委員会>は、28日に事故報告書をまとめて発表しました。
報告書の内容は、右舷後方から追い波の中を航行中、船体が波の頂上に乗って復元力が低下し、右舷側に大傾斜して転覆したとしています。
しかしながら、転覆した漁船は国土交通省の定める船舶復原性規則に適合していたが、安全委員会は同種の巻き網船が漁業法の総トン数制限の結果、作業スペースの確保などから船体上部が大きく、下部が小さい<やせ形>となり、重心が高く復原力が比較的小さいと指摘しています。
このことが、事故原因の一つとみられることから、安全運輸委員会は、水産庁に対し新造する場合、改造する場合の総トン数を増加する必要な場合の対応策を検討するよう求めました。
報告書の内容は、沈没した第11大栄丸は5隻の船団を組み、東シナ海の漁場に航行中、3~4mの第一波を右後方から受け左側に傾斜、数秒後に4~5mの第2波を甲板に受け、大量の海水が流入、20トンを超える巻き網が右にずれ、船体は第2波の背面斜面を滑るように右舷側に大傾斜して転覆、約25分後、船首から沈没した可能性が高いと報告しています。