独断と偏見の民法文献案内

2018-04-14 03:07:57 | 財産法・相続法

○…学部生向き

◎…学部生にも実務家にもおすすめ

★…実務家向き

【総則】

◎佐久間毅『民法の基礎1 総則〔第4版〕』(有斐閣、2018)
・現在、もっとも支持されていると思われる教科書。道垣内教授が東大LSで本書を教科書指定したことも話題になった。実務家にも得るものが多い(特に著者専門の代理法の箇所)。第4版は債権法改正に対応。

◎四宮和夫・能見善久『民法総則〔第9版〕』(弘文堂、2018)
・四宮旧版を書き換えてしまう改訂には批判も強いが、実務での引用例は多い。

◎潮見佳男『民法総則講義』(有斐閣、2005)
・著者の著作群の中ではマイナーな一冊だが、個人的にはもっともなじみがある。いまだに参照する。でかい。

★我妻栄『民法講義Ⅰ 新訂民法総則』(岩波書店、1965)
・実務家になって読むと「こんなことも書いてある!」と感動する。学部生は近づかないこと。

【物権】

○鎌田薫『民法ノート|物権法①〔第3版〕』(日本評論社、2007)
・教科書風な題名だが網羅的ではない。物権変動論がよくわからないなら一読に値する(ただし、物権変動論にこだわる勉強は流行らないか?)。最初の一冊には決して勧めない。あくまで副読本として。

◎佐久間毅『民法の基礎2 物権』(有斐閣、2006)
・総則の姉妹書。あいかわらず明快。

◎松岡久和『物権法』(成文堂、2017)
・教育的配慮にあふれた体系書。説例を多用して具体的イメージをつかませようとする工夫がなされている。これからのスタンダードになりそうな一冊。

★埼玉弁護士会編『共有をめぐる法律と実務』(ぎょうせい、2001)
・題名どおり共有法を扱う実務家必携。

【担保物権】

◎内田貴『民法3〔第3版〕』(東京大学出版会、2005)
・内民の中では「3」「4」がよいと思う(1と2はいまいち?)。債権総論と担保物権をまとめて講義する東大法学部流の構成が活きている。

◎松岡久和『担保物権法』(日本評論社、2017)
・物権法の姉妹書。同じくケースを織り込んだ説明は丁寧。道垣内と比べると良い意味でクセがない。

○和田吉弘『基礎からわかる民事執行法・民事保全法〔第2版〕』(弘文堂、2010)
・担保物権の理解の早道は、執行と関連させて習得することである。本書は初学者の自学自習に耐えうるように丁寧に書かれている。

★道垣内弘人『担保物権法-現代民法3〔第4版〕』(有斐閣、2017)
・高度な内容の体系書。実務に与える影響力は大きいと思われる。

★中野貞一郎・下村正明『民事執行法』(青林書院、2016)
・民事執行法の代表的体系書。実務家必携。学部生は近づかない。

【債権総論】

○池田真朗『スタートライン債権法〔第6版〕』(日本評論社、2017)
・債権譲渡法の第一人者による初学者向け教科書。一冊で債権法全分野(契約法、事務管理、不当利得、不法行為、債権総論)を網羅する。著者の教育的配慮が充ち満ちている。一読した時は説教臭く感じたが、やはり名著だと思う。

◎潮見佳男『プラクティス民法 債権総論〔第4版〕』(信山社、2014)
・独自説を押さえた教科書だが、内容はかなり高度。独習は辛い?

★中田裕泰『債権総論〔第3版〕』(岩波書店、2013)
・著者待望の体系書。学説の引用も抱負。潮見プラクティスと並んでよく読まれている。

★潮見佳男『新債権総論Ⅰ』(信山社、2017)
★潮見佳男『新債権総論Ⅱ』(信山社、2017)
・改正債権法に対応した体系書の最高峰。学部生は手を出すと森に迷う危険。

★奥田昌道『債権総論〔増補版〕』(悠々社、1992)
・著者は元最高裁判事。詳細な記述で実務家の支持を集めた。出版社は廃業したため、古書で見つけたら入手したい。さすがに古くなったが、いまだに実務で参照することがある。

★平井宜雄『債権総論〔第2版〕』(弘文堂、1994)
・伝統的通説の債務不履行論に徹底的な批判を加えた一冊。

【契約法】

○潮見佳男『基本講義 債権各論Ⅱ 契約法・事務管理・不当利得〔第3版〕』(新世社、2017)
・不法行為法の姉妹書。簡明でわかりやすい。不当利得と事務管理までカバーしていてお得。

○笠井修ほか『はじめての契約法〔第2版〕』(有斐閣、2006)
・薄くて簡潔なので始めの一冊におすすめ。改正債権法には対応していない。

★中田裕泰『契約法』(有斐閣、2017)
・改正前後での債権法の連続を意識した体系書。債権総論と同じくメリハリのある記述。支持が広がっていくだろう。

★山本敬三『民法講義Ⅳ-Ⅰ-契約』(有斐閣、2005)
・要件事実表の掲載でLS生必携となった体系書(少し熱は冷めた?)。初学者の手には余るか。辞書的に使用したい。

【不当利得法・事務管理法】

◎加藤雅信『新民法大系Ⅴ 事務管理・不当利得・不法行為〔第2版〕』(有斐閣、2005)
・著者は不当利得法の第一人者。著者が提唱した転用物訴権限定的承認説は現在の判例法理を導いた。

★藤原正則『不当利得法』(信山社、2002)
・不当利得のみで456頁もある体系書。学部生は手を出してはダメ。

【不法行為法】

○潮見佳男『基本講義 債権各論Ⅱ 不法行為法〔第3版〕』(新世社、2017)
・大ヒットした教科書。不法行為法の勉強はここから始めよう。手軽に参照できるので実務家の支持も熱い。

○窪田充見『不法行為法-民法を学ぶ〔第2版〕』(有斐閣、2018)
・軽妙な文体だが結構深い内容。分厚い。

◎吉村良一『不法行為法〔第5版〕』(有斐閣、2017)
・地味だが堅実な記述は信頼がおける。個人的に好き。

★潮見佳男『不法行為法Ⅰ〔第2版〕』(信山社、2009)
★潮見佳男『不法行為法Ⅱ〔第2版〕』(信山社、2011)
・実務家必携の体系書。新債権総論よりは手を出しやすい内容か。

★加藤一郎『不法行為〔増補版〕』(有斐閣、1974)
・伝統的通説を形成した名著。意見書で引用するために座右に置いている。

★平井宜雄『債権各論Ⅱ 不法行為』(弘文堂、1992)
・我妻加藤が形成した伝統的通説に致命傷を与えた一冊。平井の存在が事件と言われる。

【家族法】

○窪田充見『家族法-民法を学ぶ〔第3版〕』(有斐閣、2017)
・不法行為法の姉妹書。コラムが面白い。

◎二宮周平『家族法〔第4版〕』(新世社、2013)
・家族法の一冊といえばまず本書。改訂の度に記述が穏当になっていくのが少々寂しい? 実務家もよく利用する。

◎潮見佳男『相続法〔第5版〕』(弘文堂、2014)
・プラクティス民法と同じコンセプトの教科書。財産法との整合を意識した内容は高度。実務家の参照度は高い。

★二宮周平・榊原富士子『離婚判例ガイド〔第3版〕』(有斐閣、2015)
・実務家に超おすすめ。

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