【例題】Y社が出版する週刊誌甲では、タレントXに対する記事を掲載した。同記事には「Xはイカサマ師だ」「Xが経営する飲食店ではコンプライアンスが存在しない」との記載がある。
[証明可能基準]
・ある名誉毀損的言明が「事実/意見論評」のいずれであるかは、「証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項」か否かで区別される(最三判平成9年9月9日民集第51巻8号38 . . . 本文を読む
【例題】Xは、自分の父が某著名事件で服役した事実(α)を秘匿していたが、ある酒席で勤務先の同僚Yにαを告げたことがあった。しばらくして、Yが勤務先内でαを言いふらしていることを知ったXは、Yに直接抗議したところ、Yは間も無くして勤務先を退職した。→《最高裁による不法行為プライバシーの展開》
[用語の整理と根拠規定]
・「財産以外の損 . . . 本文を読む
【例題】
(case1)Y1(10歳)は、球技が禁止されている公園で友人たちと野球をしていたところ、Y1の打ったボールが公園内を散歩していたX1に衝突し、X1が負傷した。
(case2)Y2(30歳)は、「燃やせ」という幻聴にしたがって、X2の自宅に火炎瓶を投げ込み、X2の自宅は全焼した。
[責任無能力者(その1):12歳程度を超えない者(民法712条)]
・未成年者の中で . . . 本文を読む
【例題】
(case1)X1は、Y1に殴打されて傷害を負った。Y1の氏名や所在が不明なまま、事件から6年が経過した。※参照:最二判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁[白系ロシア人拷問事件]
(case2)X2は、宗教団体Y2の幹部であるW2から「水子の霊がついているので祈祷をしないと一族郎党が不幸になる」と言われ、W2に言われるがまま祈祷料と称して1000万円をY2名義の預金口座 . . . 本文を読む
[一応の結論(私見)]
・総論:不法行為の成否を決める判断ポイントは、侵害されたとされる「権利利益」の性質(客観的ファクター)と、侵害行為の態様(主観的ファクター)である。□吉村95参照
・侵害された権利利益が強固なものであれば、直ちに(直感的に)不法行為該当性が当然に認められている。ここではあえて「違法」を論じる実益はない。□加藤雅184,232-3、吉村38-9,41-2参照
・他方で、 . . . 本文を読む
2022-12-11追記。
[結論:最高裁判例の到達点]→《プライバシーの権利》
・最高裁による「プライバシー」の明確な定義はなく(※)、人に知られたくない情報であれば広くプライバシー該当性を認めているか。最高裁によれば、少なくとも次の情報は「プライバシー」に含まれる:前科前歴、ロッカーに入れた手帳の記載、生育歴、氏名住所電話番号学籍番号。
※209ある世界の実定憲 . . . 本文を読む
2020-06-22文献追記。
【例題】XとYとの間で交通事故が発生した。Xは、「この事故により総額5000万円の人的損害が生じた」と主張し、そのうち1000万円につき、Yに対する損害賠償請求訴訟を提起した。Yは、各損害費目を争うほか、過失相殺も主張している。
[訴訟物一個説]
・最一判昭和48・4・5民集27巻3号419頁は「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財 . . . 本文を読む
【例題】P社に勤務するAは、業務として営業車を運転中、相手方Bとの間で追突事故を起こした。この事故によってBは物的損害100万円を負った。※マイカー通勤事例の参考記事
(1)使用者Pが、民法715条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
(2)被用者Aが、民法709条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
[使用者から被用者への求償権とその制限]
○代位構成 . . . 本文を読む