【例題】X1が運転する甲車とYが運転する乙車が衝突した。この事故における両車両の過失割合は「甲車40:乙車60」である。
(case1)甲車の所有者X2が、Yに対して物的損害50万円の賠償請求を行った。
(case2)甲車の同乗者X3が、Yに対して人身損害80万円と物的損害10万円の賠償請求を行った。
[共同不法行為の効果と債権法改正]
・【例題】における「被害者」であるX . . . 本文を読む
【例題】2019年4月1日、Xが運転する甲車とYが運転する乙車が衝突した。2020年3月31日、甲車を被保険自動車とする自動車保険契約を締結するP損保は、Xに対して車両保険金を支払った。この車両保険は「保険価額100万円、免責金額5万円」と約定されており、Xは、甲車の修理費30万円(分損)、積荷20万円の損害を負った。過失割合はX30%、Y70%である。
[車両保険金が補償する損 . . . 本文を読む
[予備的考察(1):位置と時間]
・ベクトル量としての「位置」:物体の運動(motion)を調べるには、空間における物体の「位置(position)」を時々刻々調べればよい。3次元空間であれば、ある時点の物体の位置Pは、3つの変数(x軸、y軸、z軸)で指定できる。原点Oから点Pへ引いた矢印は、大きさと方向を持った量であり、「点Pの位置ベクトル」と呼ばれる。「位置」によって記述される「速度」「加速 . . . 本文を読む
[第三分野としての傷害疾病定額保険]
・保険法は「損害保険契約/生命保険契約/傷害疾病定額保険契約」との三分野に区分けする(保険法2条4号イロハ)。諸外国は「損害保険/人保険(傷害疾病保険を含む」との分類をするのが大勢であるため、日本保険法の分類法は特異である。□アルマ27-30〔洲崎〕
・傷害疾病定額保険は「保険者が人の傷害疾病に基づき一定の保険給付を行うことを約する保険契約」と定義される( . . . 本文を読む
【例題】Xが自家用車を運転して車道を走行していたところ、進路前方にある横断歩道に差し掛かった。
[法律上の横断歩道の位置付け]
・車両等が横断歩道や自転車横断帯に差し掛かった際(法文上は「接近する場合」)、次の行動が求められる(道路交通法38条1項)。
[a]横断しようとする歩行者等がないことが明らかな場合;そのまま通過してもOK。
[b]横断しようとする歩行者等がいるかも . . . 本文を読む
【例題】Aが、深夜、自動車を運転して片側2車線の道路を走行していたところ、Aの前方の道路上を、黒っぽい服を着たVが自転車(無灯火)で走行して横断し始めた。Aが、視界前方にVの乗った自転車を発見したため、Aは自動車のブレーキを踏んだものの、自動車は自転車に衝突し、跳ね飛ばされたVは頭部を道路に強く打ち付け、数時間後に搬送された病院で脳損傷により死亡した。□島田小林423-4の事例21を改変
&nb . . . 本文を読む
2023-02-20追記。
【例題】Xは、Y社(保険者)との間で、自動車甲を被保険自動車とする自動車保険を契約している。この度、Xは、Yに対して「甲を運転して堤防道路を走行中、ハンドル操作を誤って堤防下に転落し、甲が全損した」と申告し、車両保険金を請求した。
[契約成立要件としての「偶然性」]
・損害保険契約は「保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある . . . 本文を読む
[所有者による自動車の登録]
・軽自動車等を除いた「自動車」一般につき、運行の用に供する前提として「自動車登録ファイルへの登録」が義務づけられている(道路運送車両法4条)。さらに、後述の「自動車の検査を受けること」と「有効な自動車検査証の交付を受けること」も必須である(道路運送車両法58条1項)。
・この登録を申請すべき主体は当該自動車の所有者である(道路運送車両法7条1項など)。登録には、新 . . . 本文を読む
2016-03-19の記事を全面改訂。
2014年(平成26年)5月20日に施行された「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)」と道路交通法による規律の整理。
[人身事故一般]
・【過失運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)】=長期7年or多額100万円or刑の免除
→無免許運転の加重あり(自動車 . . . 本文を読む
【例題】Xは自動車甲を300万円でローンで購入した。甲の使用者はX、所有者はローン会社L社とされた。Xは、交通事故や盗難被害に備えて、T社の自動車保険に加入する予定である。
→関連記事:自動車保険の経済学
[保険の目的物と被保険利益]
・損害保険契約は、保険事故により生ずる損害の填補が約される契約である(保険法2条6号)。ここで、損害が生ずる客体(例;車 . . . 本文を読む
【例題】Xは自家用車を運転して単独事故を起こして傷害を負い、自家用車も損傷した。Xは、自動車保険契約に基づいてP損保に対して人身傷害保険金と車両保険金を請求した。Pは、Xが事故直前に飲酒していたのではないかと考えている。
[保険約款の酒気帯び免責条項]
・従前の自動車保険約款では、車両保険や人身傷害補償保険等の免責事由として「酒に酔って正常な運転ができないおそれがある状態」との . . . 本文を読む
2020-06-22文献追記。
【例題】XとYとの間で交通事故が発生した。Xは、「この事故により総額5000万円の人的損害が生じた」と主張し、そのうち1000万円につき、Yに対する損害賠償請求訴訟を提起した。Yは、各損害費目を争うほか、過失相殺も主張している。
[訴訟物一個説]
・最一判昭和48・4・5民集27巻3号419頁は「同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財 . . . 本文を読む
2018-06-29追記、2018-10-10追記
【例題】VとAとの交通事故が発生した。Vに生じた総損害は200万円、Vの過失割合30%である。Vに対して80万円の弁済(給付)が行われた。
(1)加害者Aからの弁済の場合。
(2)健康保険からの給付の場合。
(3)労災保険からの給付の場合。
(4)自賠責保険からの給付(16条請求)の場合。
[代位控除か損益相殺か]□若 . . . 本文を読む
【例題】Xの運転する自動車とYの運転する自動車が信号機のない交差点で出会い頭に衝突した。この事故によってXが所有する自動車は大破し、Yが所有する自動車は軽微に損壊した。またXは6か月の治療を要する傷害を負い、Yは1か月の治療を要する傷害を負った。この度、XはYに対する損害賠償請求(物損・人損)をおこなった。Yもこれを機に自己の損害をXから回収したいと考えている。
[物損の損害賠償 . . . 本文を読む
【例題】P社に勤務するAは、業務として営業車を運転中、相手方Bとの間で追突事故を起こした。この事故によってBは物的損害100万円を負った。※マイカー通勤事例の参考記事
(1)使用者Pが、民法715条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
(2)被用者Aが、民法709条責任として被害者Bに100万円を賠償した場合。
[使用者から被用者への求償権とその制限]
○代位構成
・我妻 . . . 本文を読む