閏年と平年

2024-02-29 23:51:09 | 契約法・税法

【例題】2024年の次の閏年は何年か。

 

・「閏年」の根拠法令は「明治31年勅令第90号(閏年に関する件)」である。条項は1つのみであり、本文とただし書からなる。同勅令の内容は日本国憲法の価値体系と矛盾抵触せず、現にこれを廃止する法律が制定されていないから効力を有する、という整理か(たぶん)。→《占領体制下の国制》《法律の構造》

・閏年と平年を決めるルールは2つのみから成る。

・[原則]神武天皇即位紀元年数の四をもって整除し得べき年を閏年とする(本文):ここでいう「神武天皇即位紀元年数」とはいわゆる「皇紀」であり、西暦に660を加えた数となる(※)。例えば「西暦2024年=皇紀2684年」となる。もっとも「660」自体が4で割り切れるので、閏年に判定にあたっては単純に4で割ればよく、4で割り切れる年は原則として「閏年」となる。

※e-Govでは、他に「神武天皇即位紀元年数」が登場する法令はなく、「皇紀=西暦+660」の根拠は日本書紀か(たぶん)。→《神話時代・古代初期の天皇》

・[例外]ただし、紀元年数より六百六十を減じて百をもって整除し得べきものの中、さらに四をもって商を整除し得ざる年は平年とする(ただし書):ここでいう「紀元年数より660を減じた数」とは、西暦にほかならない。既述のとおり「原則として、4で割り切れる西暦年=閏年」であるものの、その中でも「400で割り切れる西暦年=平年」となる。

・なお、「平年=365日/閏年=366日」の根拠は、明治5年太政官布告第337号(改暦の布告)である(※)。

※1890年(明治23年)に施行された大日本国帝国憲法は「法律規則命令又はいずれの名称を用いたるにかかわらず、この憲法に矛盾せざる現行の法令はすべて遵由の効力を有す」(76条1項)と規定し、「改暦の布告」の効力は存続した。日本国憲法下でも「改暦の布告」の有効性は肯定されている。→《占領体制下の国制》

 

参議院法制局「うるう年をめぐる法令」[2020]

参議院法制局「「法律」ではない「法律」」[2020]

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