【例題】Xは、Yに対する100万円の貸金返還請求訴訟を提起した。Yは、金銭の交付を否認するほか、贈与だとも主張している。
[立証責任を負う者の「本証」]
・通説である「修正された法律要件分類説」は、実体法規の規定ぶりを第一としつつ、証拠との距離・立証の難易・事実の存否の蓋然性といったファクターも加味して主要事実の立証責任の分配を決める(この一つが司法研修所説=要件事実論)。□瀬 . . . 本文を読む
【例題】Xは、B弁護士を訴訟代理人として、Yに対する損害賠償請求訴訟を提起した。Yに期日への呼出しがなされ、B弁護士が第1回口頭弁論期日に出廷したところ、Yは欠席した。
(1)答弁書が提出されていない場合。
(2)答弁書が提出されている場合。
[擬制自白による欠席判決(調書判決事案)]
・適法の呼出し(ただし公示送達は不可)を受けたに被告が第1回口頭弁論期日に欠席した場合、 . . . 本文を読む
【例題】自動車部品製造業を営むX社は、自動車メーカーであるY社に、部品αを納めている。
[納品]
・企業間取引では「目的物の納品場所=買主工場渡し」とする例が多い。これ以外にも、取引基本契約や個別契約において、買主指定場所据付け渡し、売主工場渡し、発駅貨車積渡し、着駅オンレール渡し等の具体的な納品方法を約定することになる。当事者の意思表示によって定まらない場合は「行 . . . 本文を読む
【例題】XがYに対して貸金200万円の返還を求めた貸金返還請求訴訟において、この度、XとYの間で150万円を支払う内容で合意に至った。
[(1)双方が期日に出廷する場合]→《利害関係人を加えた訴訟上の和解》
・当事者双方が出廷した「口頭弁論期日/弁論準備手続期日/和解期日」に出席し、同時に一致した口頭での陳述をもって訴訟上の和解を成立させることができる。□条解1474 . . . 本文を読む
[年休権の発生要件:継続勤務と出勤率]
・要件[1]:雇入れの日から6か月継続勤務したこと(労働基準法39条1項)。
→法定の基準日は「雇入れの日(入社日)」とされる。もっとも、労働者毎に入社日を管理するのは煩雑なので、例えば「基準日は4月1日とし、4月1日~9月30日までに入社した者は10月1日をもって6か月継続勤務とみなす」などと定めることは可能。□石嵜443
→「継 . . . 本文を読む
[所定労働時間の定め方:1日8時間]
・労働基準法が上限とする法定労働時間は「休憩時間を除いて1日8時間」である(労基法32条2項)。法定労働時間は「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義され、客観的に定まる(労働契約等の定めに影響されない)(最一判平成12年3月9日集民197号75頁[三菱重工業長崎造船所事件])。□石嵜305
・使用者は、法定労働時間の範囲内で「就業規則におけ . . . 本文を読む
【例題】Xは、Yと同じ町内に住んでいるが、町内会の運営をめぐって関係が悪化した。YからXへは昼夜を問わない電話連絡や度重なる訪問がなされるようになった。またYは、Xの人格攻撃をする内容のチラシの配布も行っている。
[申立ての趣旨]
・妨害を受けている被害者としては、妨害者を相手方とする「面談等禁止を求める仮処分」を申し立てることが考えられる。
・主文例は、金子武志「面談強要禁 . . . 本文を読む
ここ最近のe内容証明の不調や、文書が6頁以上になってしまう場合に備えてアナログも覚えておこう…。
[その1:内容文書を起案しよう]
・ワープロソフトで、「26字、20行」「禁則処理なし(句読点が文頭に来る)」に設定する。
※一太郎の場合:書式→文書スタイル→スタイル→「設定:文字数と行数を指定する(Word互換)、字数:26.0字、 . . . 本文を読む
→関連記事《民事訴訟と刑事訴訟における「文書の写し」》《検察官請求証拠を争う弁護人の証拠意見》
[書証の生理プロセス]
・(step1)期日前での「文書の写し」の提出(民訴規則137条1項本文):これは「文書の写しの事前提出(=書証の準備行為)」にすぎず、仮に「文書の原本」を郵送しても書証申出とはならない。□講義案127-8、コンメ389
・(step2)期日におけ . . . 本文を読む
【例題】高齢の資産家Xには、同居する妻Y、別世帯の長男C、別世帯の二男Dがいる。Xは、自分の遺産をYに確実に承継させるため、Yとの間で死因贈与契約を締結しようと考えている。
[双務契約としての死因贈与]
・死因贈与は「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与」と定義される(民法554条)。贈与であるため「諾成・不要式」の契約である(民法549条)。□潮見73
・なお、遺贈と対比し . . . 本文を読む
【例題】Aは、イラスト作成を趣味としており、自分が作成したイラストをpixivにアップロードしていた。ある日、Aは、自分が作成したイラストαを、Bがブログにアップロードしているのを見つけた。
[侵害①-1:著作権者の複製権]
・「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」(著作権法21条)。ここでいう「著作者」とは「著作権のうち複製権に係る著作権者」を意味する . . . 本文を読む
[民事事件編]
・主張書面等には、年月日等の記載と記名押印を要する(民訴規則2条1項)。実務では代印がよく用いられるが、その法的根拠はよくわからない。□「代印について」WebLOG弁護士中村真
・書面提出にはファクシミリ利用が原則として認められており、明文で列挙される除外書面に限ってファクス利用ができない(民訴規則3条1項)。□講義案(1)13-14
・除外書面の類型:
[1]手数料を納付 . . . 本文を読む
【例題】賃借人Sは、賃貸人Gからアパート甲の101号室を賃借して居住している。この賃貸借契約から生ずる債務につき、Sの親族Dが連帯保証している。この度、Sが、101号室内で死亡しているのが発見された。死亡から発見まで相当の時間が経過しており、居室内の床は激しく汚損したほか、悪臭や死亡の事実を知った102号室の賃借人が退去をした。
(1)Sの死亡が自殺だった場合。
(2)Sの死亡が自然死だった場 . . . 本文を読む
2022-12-11追記。
[制定法上の「プライバシー」概念]→関連記事《プライバシーの権利》
・209ある世界の実定憲法のうち、176の憲法で「プライバシー(privacy)」を実質的に規定している。その意味で、「プライバシー」規定を持たない日本国憲法は少数派である。□宮下28-9
・法律レベルでも、日本法は「プライバシー」という用語を避けて他の表現を使う。
[ . . . 本文を読む
旧記事の再訂版。
【例題】Xが死亡した。Xには、配偶者Y、子Z、子Wがいる。YZWの間では、次の内容の遺産分割協議が成立した。各人の納付すべき相続税額はいくらになるか。
Yの取得した財産:預貯金2億円、有価証券0円、生命保険金2000万円、借入金▲1000万円、葬式費用▲500万円、
Zの取得した財産:預貯金0円、有価証券5000万円、生命保険金1000万円、借入金▲0万円、葬式費用▲0円
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