[ルールと「常識」の一致]
・法令によって社会を統制していくことを目指す場合、法令を適用した結果が社会構成員の納得を得ることが望ましい。その意味で、法律家は「常識」に合致する解決を目指すべきだろう。□山田144、伊藤14-5
・実定法秩序でも、一般条項や条理などの形式で「常識」が組み込まれていると考えられる。□山田144、伊藤14-5、田中570-2
[ルールと「常識」のズレ . . . 本文を読む
○デイリー六法
・三省堂。学部1回生時に購入したため、学部時代はずっとデイリーを使っていた(たぶん)。
・学部の定期試験で貸与されたのは、昔はデイリーで、途中から、今は無き「コンパクト六法(岩波書店)」に変わった気がするが、定かでない。
○判例六法Professional
・有斐閣。LSの入学前後に刊行された気がする(たぶん)。モノクロのいかした装丁、スタイリッシュな2分冊 . . . 本文を読む
まもなく弁護士登録をしてから丸13年になろうとしている。もはや若手とは呼んでくれない年次になった。「塀の上を歩いている稼業」を続けられた幸運にただただ感謝する。「できる弁護士」とは、次の能力を有する弁護士を言うのだろう(順不同)。言うは易し行うは難し…僕も精進します。
・手持ちの材料と想像から「事実」が認定できる。材料(主張と証拠)が与えられた裁判官とは異なり、弁護 . . . 本文を読む
Brian H. Bix, A DICTIONARY OF LEGAL THEORY, Oxford University Press, 2004, pp81-2
難しい事案(hard cases)
司法判断(judicial decision-making)や"法的問題にはいつも(大抵、時々、ほとんどない)正しい答えが存在するか否か"という関連する議題を議論する際、多くの研究者は「難しい事案 . . . 本文を読む
Brian H. Bix, A DICTIONARY OF LEGAL THEORY, Oxford University Press, 2004, p139
道徳の法的強制(legal enforcement of morality)
このフレーズは、通常、ある種類の道徳的義務の強制に言及する。法は道徳体系の下で禁止された活動を正当とすべきではない、などと本気で主張する者はいない。大抵の刑法 . . . 本文を読む
Brian H. Bix, A DICTIONARY OF LEGAL THEORY, Oxford University Press, 2004, p123
包含的実証主義/排除的実証主義(inclusive v. exclusive positivism)
「包含的法実証主義(inclusive legal positivism)」(時に「ソフトな法実証主義(soft legal posi . . . 本文を読む
Brian H. Bix, A DICTIONARY OF LEGAL THEORY, Oxford University Press, 2004, p126
法的妥当性(legal validity)
法(law)の中で・法(law)について議論する際、「妥当な(valid)」という用語は、複数の明確な意味を持つ。もっとも、これらの意味は、しばしば関連するか、重なっている。「妥当な(vali . . . 本文を読む
いろんな小中学校に「弁護士によるいじめ予防出張授業」に呼んで頂き、以下の授業内容に収斂してきた。多少なりとも参考になればどうぞパクって下さい。
(0)自己紹介。アイスブレイクとして、「弁護士」と聞いて何を連想するかなどを聞く。
(1)「いじめ」の具体例を挙げてもらう。
(2)法律上の「いじめ」の定義を説明し、その外延に(1)が含まれることを説明。
(3)「ジャイアン対のび太 . . . 本文を読む
[実定法上の「判例」]
・民事訴訟:上告受理申立理由を「法令の解釈の決定に関する重要な事項を含むと認められる」と規定し、その例示として「原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある」を挙げる(民事訴訟法318条1項)。□安達303-4
・刑事訴訟:上告理由の一つとして「最高裁判所の判例と相反する判断」「最 . . . 本文を読む
[釣り合った天秤としての「正義」]
・アリストテレスは、独創的な「正義」観念を提唱するのではなく、当時のギリシヤにおいて多様に語られていた「正義」を実証的に分析して体系化した。これにより、「正義」とは一個人の内面の問題ではなく、複数当事者間の公平(平等)な関係性の問題であると把握されることになった。□松島141,147-8
・もっとも、アリストテレスの正義論は「国家による個人の平等的取扱い . . . 本文を読む
【例題】心臓に疾患のある天才科学者甲、腎臓に疾患のある天才科学者乙、健康な凶悪犯罪者丙がいる。甲と乙はこのままであれば間も無く死亡するが、丙の心臓と腎臓をそれぞれに移植すれば生存できる。
→関連記事;義務論的倫理学、平等ーアリエルと白雪姫
[功利主義の特徴]
・最大幸福の原理(功利の原理);ベンサムは『道徳および立法の諸原理序説』[1789]において、すべての人々の . . . 本文を読む
ある大学法学部で開講された演習(半期)を非常勤講師として担当した。「受講者は公務員試験受験を予定している学生が中心」とのことで、授業内容は講師に一任された。そこで公務員試験の問題集(憲法、行政法、民法)を購入し、自身が学部生だった頃も振り返りつつ、「法律3科目のうち行政法と民法を中心に扱う」「公務員試験の出題レベルを身に付ける」「出題頻度の高い分野を中心にする」との方針を決めた。
1 . . . 本文を読む
中学3年生の皆さん、模擬裁判お疲れ様でした。今回の事件では、AさんがVさんを殴ってケガをさせました。このAさんの行為は「傷害罪」という罪に当たります。ですが、Aさんの言い分は、「Vさんたちが Sさんをリンチしていたので、Sさんを助けるためにVさんを殴った」というものでした。
刑法には「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」と書かれています( . . . 本文を読む
2020-11-06改訂、2022-12-03改題追記。
【例題】甲はA町に転居した。甲が愛犬ポチを連れて近所のB公園へ初めて赴いたところ、公園の入口には「動物の立入りはご遠慮ください」と書かれた看板が立っていた。
[ルールの発見と解釈]
・裁判規範となる法源には、[1]制定法(憲法76条3項)、[2]慣習法(法の適用に関する通則法3条、民法92条参照、商法1条2項参照)、[ . . . 本文を読む
【事例】Xは、Yに100万円を貸し付けた。
(1-1)Xが特段の手当をしないと、どのようなリスクを負うか?
・Yが任意に弁済しない場合、Xは、Yへの貸金請求訴訟を起こし、勝訴(確定)判決を得た上で、Yの財産に強制執行する必要がある。この際、Xの他にも債権者がいれば、債権額に応じて差し押さえた財産から配当を受ける。■債権回収、責任財産、債権者平等の原則
・Yの資産状態が悪化して . . . 本文を読む