債務名義となる確定判決と上訴

2024-04-12 15:48:45 | 民事手続法
【例題】原告をX、被告をYとする損害賠償請求訴訟において、第一審である甲地方裁判所は、「Yは、Xに対して、500万円を支払え」との判決を言い渡した。 (case1)Yがこの判決を不服として控訴したところ、控訴審である乙高等裁判所は、控訴棄却判決を言い渡した。 (case2)Yがこの判決を不服として控訴したところ、控訴審である乙高等裁判所は、原判決の全部取消判決(請求棄却判決)を言い渡した。 . . . 本文を読む
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株式会社が当事者となる民事訴訟の裁判籍

2024-03-30 12:09:42 | 民事手続法
【例題】X社とY社の間で係争が生じており、X社はY社へ5000万円の支払を求めており、Y社はX社へ9000万円の支払を求めている。X社は東京都に本店を、大阪市内と名古屋市内に支店を有している。Y社は札幌市内に本店を、横浜市内と仙台市内に支店を有している。   [普通裁判籍:被告会社の本店所在地] ・被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所が管轄権を有するところ(民訴法4条1項)、被 . . . 本文を読む
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訴え取下げの実務

2024-03-25 14:57:59 | 民事手続法
【例題】Xは、Yに対する損害賠償請求を提起した。その後、諸般の事情により、Xは、訴訟を取り止めることを検討している。   [訴え取下げの要件:期日外で取り下げる場合] ・時的制限:判決が確定する前であれば、訴えの全部や一部を取り下げることができる(民訴法261条1項)。被告に対する訴状副本送達前でも取下げは可能。□コンメ(5)285 ・取下書の提出:期日外での訴えの取下げは、書面 . . . 本文を読む
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民事訴訟費用の確定

2023-12-22 13:56:42 | 民事手続法
【例題】Xは、Yに対する1000万円の支払を求める損害賠償請求訴訟を提起したところ、600万円の請求を認める一部認容判決が言い渡された。この訴訟において、Xは訴訟提起手数料などを負担している。 ※民事訴訟費用等に関する法律:民訴費用法 ※民事訴訟費用等に関する規則:民訴費用規則   [訴訟費用の主な種目] ・「訴訟費用」は民訴費用法2条が列挙する(1号から18号まで)。□研究1 . . . 本文を読む
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訴え・請求・請求原因

2023-11-30 22:24:56 | 民事手続法
【例題】Xは、Yに対して、200万円の貸金返還請求権を有していると主張し、甲地方裁判所に貸金請求訴訟を提起した。   [各概念の関連]□講義案60-1(ただし、瀬木とは「広義」の説明が若干異なる) ・「訴訟物」:[例]原告と被告との間で締結された令和4年6月1日付け消費貸借契約に基づく200万円の貸金返還請求権 ↓〈+原告から被告へ向けたベクトル〉↓ ・「狭 . . . 本文を読む
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民事上訴審の立件と各種事務

2023-09-21 23:13:24 | 民事手続法
【例題】Xを原告、Yを被告とする損害賠償請求事件につき、甲地方裁判所はXの請求を全部認容する判決を言い渡した。Yはこの判決に不服がある。 ※記録符号は、民事事件記録符号規程の別表参照。   [控訴提起事件(地裁「ワネ」/簡裁「ハレ」)] ・控訴提起と立件:控訴状の提出先は第一審裁判所であり(民訴法286条1項)、第一審裁判所は控訴状を受理して「民事控訴提起事件」として立件する。第 . . . 本文を読む
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紛争の蒸し返しへの対抗策

2023-07-27 20:16:44 | 民事手続法
【例題】Xは、「Y1とY2の夫婦から誹謗中傷を受けている」と主張し、Y1に対する損害賠償請求訴訟(第1訴訟)を提起した。 (case1)第1訴訟の係属中に、Xは、Y1とY2に対する損害賠償請求訴訟(第2訴訟)を提起した。 (case2)第1訴訟の請求棄却判決が確定した後に、Xは、Y1とY2に対する損害賠償請求訴訟(第3訴訟)を提起した。   [対抗策(その1):重複訴訟の禁止] . . . 本文を読む
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被告所在不明の送達実務

2023-07-17 11:48:04 | 民事手続法
【例題】Xは所有する甲土地の売却を考えているが、甲土地にはYを抵当権者とする抵当権設定登記がある。XはYとは面識がなく、Yが現在どこに住んでいるのかを知らない。   [一応の「最後の住所等」への送達] ・実際に被告が居住しているか否かはともかく、被告に関する記録(住民票、戸籍附票、不動産登記、商業登記、交通事故証明書、従前の契約書など)に一応の住所等が記録されていることがある。この . . . 本文を読む
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弁論の要領と口頭弁論調書

2023-07-13 20:14:51 | 民事手続法
【例題】甲地方裁判所では、Xを原告、Yを被告とする損害賠償請求訴訟が係属しており、既に期日が複数回開廷された。当事者からは複数の主張書面や書証の提出があり、裁判官や当事者は期日で種々の発言をしている。   [調書の意義] ・手続の経過を明らかにするため、裁判所(=手続の主宰者)とは別の機関である裁判所書記官が口頭弁論に関与し、そのための証明文書である「調書」を作成する(民訴法160 . . . 本文を読む
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準備書面を書こう

2023-06-27 22:09:03 | 民事手続法
[いきなり書き出すか、全体像を先に作るか] ・大部な事案は別にすれば、個人的には、厳密な構成をするまでもなく、「今回書きたいトピックのうちの1つ」についていきなり書き出すことが多いか。書き出す中で、頭の中の一応の構想が現実化していく感覚か。 ・ラフを承知で溢れる勢いのまま書き殴り、後で整えるのも一案。 ・15頁(1頁あたり26行*37字)を超えるような大部に渡る場合は、トピックも複数になる。 . . . 本文を読む
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法律用語としての「釈明」「求釈明」の混乱

2023-06-26 19:52:00 | 民事手続法
【例題】XがYに対して損害賠償請求訴訟を提訴した。Xには代理人が就いておらず、訴状の記載を見ても訴訟物が判然としない。   [裁判所が行使する釈明権] ・裁判所は、期日内外において、当事者の一方に対して「訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関して問いを発すことor立証を促すこと」ができる(民訴法149条1項)。この裁判所が有する権能を「釈明権」と呼称する(民訴法149 . . . 本文を読む
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家事事件における期日

2023-06-23 19:12:37 | 民事手続法
[期日の呼称] ・家事事件手続法は、「家事事件の手続の期日」と総称し(34条1項など)、この下位概念として「家事審判の手続の期日」「家事調停の手続の期日」「審判前の保全処分の手続の期日」を設ける。 ・家事審判法下での呼称を継承し、実務では、家事審判の手続期日を「審判期日」、家事調停の手続の期日を「調停期日」というのが通例か(たぶん)(※)。 ※裁判所職員総合研修所監修『家事事件手続法下におけ . . . 本文を読む
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解散した会社を当事者とする民事訴訟

2023-06-05 18:13:11 | 民事手続法
【例題】Xは、所有する甲土地を売却しようと考えている。甲土地には株式会社Yのために設定された抵当権が登記されているが、Xが商業登記を確認したところ、既にY社は解散していた。   [株式会社の解散:通常の解散] ・解散事由:株式会社の解散事由は会社法471条が列挙する。主たるものは、株主総会の特別決議による解散決議(会社法471条3号、309条2項11号)、合併(4号)、破産手続開始 . . . 本文を読む
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合意管轄をめぐる攻防

2023-05-15 20:39:42 | 民事手続法
【例題】XとYは、継続的売買契約を締結した。この契約締結にあたって作成された契約書には、「この契約から生じる一切の紛争について合意管轄裁判所を甲地方裁判所とする」旨の条項がある。その後、XとYの間では当該取引をめぐって係争状態が生じ、互いに相手方の責任で損害を被ったと主張している。 (case1)Xは、Yを相手方として、甲地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。 (case2)Yは、Xを相手方として . . . 本文を読む
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原告欠席の実務

2023-03-18 11:37:31 | 民事手続法
【例題】Xは、本人訴訟としてYに対する損害賠償請求訴訟を提起した。Yに訴状送達と期日への呼出しがなされたが、Xは第1回口頭弁論期日に出廷しない見込みである。 →《被告欠席の実務》   [当事者双方が欠席した場合] ・休止:民訴法263条前段は「①当事者双方の口頭弁論期日(弁論準備手続期日)への不出頭(申述前の退席も含む)+②そこから1か月以内の期日指定申立てなし」を要件 . . . 本文を読む
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